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「もうええわ」で終わらない芸人

漫才のオチとして「もうええわ」の座りの良さは、群を抜いております。

ミルクボーイが優勝した2019年のM-1では、9組中6組が「もうええわ」を締めの言葉として選んでいます。さらマヂラブが優勝した去年のM-1に至っては、派生である「もういいよ」や「もうええ」を加えると、なんと10組中8組が「もうええわ」で締められております。設定やシーンを選ばない「もうええわ」という言葉は、スタンダードかつ一強の締め言葉として、確立された地位を築いております。

しかしながら、そんな「もうええわ」という、盤石すぎるキラーワード使わず独自の締め方をするコンビも存在しております。

例えば、EXIT

第七世代として、テレビで見ない日は無いほどに活躍されている彼らですが、彼らのチャラ漫才は「もうええわ」では終わりません


そう皆さんもご存知、「お後がヒュウィゴー」でございます。

令和イチ面白い締めの言葉といって過言やないでしょ。


そんな最強の締め言葉を持つEXITですが、EXITに限らず「もうええわ」で終わらない漫才師というのは、一定数存在しております。

そこで本日は「もうええわ」で終わらない芸人として、独特の締め方をするコンビをいくつか紹介していきたいと思います。

1.オズワルド

今年ABCお笑いグランプリ優勝を果たした、2年連続M-1ファイナリストのオズワルドでございます。どのネタを見ても、えげつないクオリティで何度見ても笑ってしまう、個人的にめちゃめちゃ好きな漫才師です。

そんな彼らの締めの言葉である「一旦やめさせてもらいます」は、ご存じの方も多いのではないでしょうか。どのネタでも「お世話になっています」から始まり、「一旦やめさせてもらいます」で締めるこの流れは、落ち着きを感じるような、オズワルド象徴するものとなっております。

加えて今回貼った割り込みのネタは、ABCお笑いグランプリで優勝したときのネタでもあります。かまいたちのUFJ漫才のような言葉の面白さと、オズワルド独特の狂気と緩急が混ざった素晴らしいネタですので、是非一度見ていただきたいネタでございます。

2.三四郎

現在テレビでレギュラーを6本も持っている売れっ子芸人、三四郎でございます。最近漫才を見ることは少なくなってしまいましたが、偶然の空気感をネタで完璧に作りだす天才的な間がとにかく面白いコンビでございます。

ゆったりした相田のボケに、必死に必死に小宮がツッコミ続けるという、全力疾走のような勢いにとにかく笑ってしまう漫才が多い二人。全力で走り切った後、振り絞る様に言う「おわりでーす」の気持ちよさは、独特の中毒性を持っております。

相田の自然体なボケに振り回され、ワードセンスが溢れるツッコミを叫び続ける小宮。この忙しい漫才最後の「おわりでーす」の爽快感は是非漫才で、ご覧いただきたいと思います。

3.紅ショウガ

「女子~!クリスマスまで2カ月やで~!松ぼっくり、緑に塗り始めや~!」に代表される、無敵の『女子』大喜利ツカミに持って来れるお笑い筋肉ムキムキの女性コンビ紅ショウガでございます。

昨年のTHE Wでは準優勝を果たし、数々の賞レースでの決勝進出経験もある、勢いのある若手芸人ですが、彼女たちも「もうええわ」で終わらないコンビでございます。ただ、このコンビの場合は他のもうええわで終わらないコンビとは違っておりまして、ツッコミの稲田は「もうええわ」と言ってるんですね。

ぜひここで紹介している動画の、THE Wで披露した美容院のネタを見ていただきたいんですが、ネタの最後ツッコミは「もうええわ」と漫才を締めております。そこから熊本プロレスが割って入り、「またきいて!」と手をあげて漫才が終わるというのが、このコンビの流れでございます。

地に足の着いた、しっかりとした漫才を作り続けている紅ショウガの、フランクで楽しい空気感象徴する締めの言葉を、皆様も一度見てみてはいかがでしょうか。

4.錦鯉

冒頭に書いた、M-1ファイナリストのオチを集計している時に「そういえば…」と思いだしたのが、錦鯉でございます。錦鯉で特徴的なのは「もうええわ」と言わずに、「どうもありがとうございました。だけで締めてしまう部分にあります。

あえて近い形を探すとなると、南海キャンディーズが近い形でございます。「セクシーすぎてごめんなさいね」で始まり、動きの多い激しいボケの応酬の最後、山里が大声で「もう!」と言って終わる南海キャンディーズの漫才。そういう、ぶつ切り印象に残る締め方をしているのが、錦鯉の「どうも ありがとうございました。」でございます。

以前は日曜チャップリンで見る芸人というイメージでしたが、M-1後のおじさんブームもあって、最近ではバラエティーで見ることも多くなったコンビでございます。とりわけM-1のパチンコのネタは、何度見ても引く位面白いネタになっておりますので、皆さんも是非もう一度、見ていただきたいネタでございます。

5.クールポコ

令和イチがEXITなら、平成イチはクールポコでしょう。「よーし今日もいっちょついていくか」「へい、師匠、お願いします。」から始まり、「世の中には、どんな男がいるんだ?」といって「なーに!やっちまったな!」でモチをつきながらボケる。もはや古典落語として、教科書に乗せても良い程、しっかりしすぎたシステムを持ったコンビでございます。

そんなシステム尽くめの彼らですから、締め方もしっかりとしたシステムを持っています。皆様覚えてらっしゃいますか?


クール クール クールポコ オッス あざっした



ほら、誰が何と言おうが、クールポコが優勝なんすわ。

クールポコしか勝たんのよ。



ネタがどうこうじゃないんです。独特の締めといえばクールポコなんです。漫才締めの牙城には、お後がヒュウィゴークールポコが、腕組んで仁王立ちしているんです。もはや「もうええわ」をしのぐ、座りの良さを持った締めでございますよ。


締めが独特なコンビは、ツカミも独特

調べていて気が付きましたが、締めが独特なコンビは、ツカミも独特で有ったり、決まっているコンビが多くありました。

オズワルドであれば「お世話になってます」ですし、紅ショウガも「女子!」が絶対。錦鯉も「こんにちわー!」「うるせえよ」を必ずツカミとして入れていますし、クールポコに至っては全部独特です。モテようとしての後とモチついた後以外、全部一緒です。えげつないシステムでございます。

締めもツカミも独特な、今回紹介した5組のネタを、皆さんもみて笑って楽しんでみてはいかがでしょうか。

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