ブラック企業ユーモア
常々言うてますけど、私は現在進行形でブラック企業に勤めております。「うちブラックやねん...」と仕事の愚痴を言っていた友人が、私が話し始めたら謝るくらい、まぁまぁちゃんとしたブラック企業なんですよね。
もちろん入ってきた人は、大体メンタル病んで来なくなりますし、入社歴問わずバンバン人も辞めて行きます。恐怖で事務所に入れずうずくまってしまう人や、急にトイレに吐きに行く人、無断欠勤で家に行くともぬけの空になっていたことすらあるらしいです。なんにせ、漫画で見るようなブラック企業なんですよね。
私はその中でもペーペーですから、当たり前のように、凄まじいパワハラを連日受け続けてるんですよ。そしてそんなヤバイ仕打ちをしばらく受けていると、だんだん思えてくるんです。
この人達、一周回って面白くなってきた。
これはブラック企業あるあるなのか、うちあるあるなのかはわからないんですけど、理不尽な事件ってのがとにかく日常茶飯事で勃発するんですね。何もしていないのに急に怒鳴られるなんて、ない日の方が珍しいレベルですよ。
ただそんな日常を送っていると、あるタイミングから、理不尽がなんか面白くなってくる瞬間が来るんですよ。「こいつ...本気で言うてんの...?」と、なんか笑えてきちゃうんですよね。
この前もそうですよ。いつものように次長が前でブチギレてましてね、我々を集めて怒鳴り散らしてたわけなんですよ。
「なんでこんな普通のことができひんのじゃ!」
から始まり
「必死さが足らんねん!だからこんなことになるんじゃ!」
と怒鳴られ
「気合い入れろよ!やり切る気持ちをもたんかい!」
と叫ばれる、なんてことない日常でございます。
流石の私でも、ここでは笑いません。毎日のことなので、大して気にもしていませんが、特に面白いとも思いません。朝から怒鳴られるのは、慣れるとはいえ気持ちいいものではありませんから、当然っちゃ当然です。
「おい犬井!」
そんな中急に銃口が向けられたんですよ。
「お前ここまで言うて別の仕事するんちゃうやろな!!」
いくら慣れてるとはいえ、単独攻撃は流石にヒヤッとするので、少しばつの悪そうな顔をするほかありません。
「お前は他の仕事全部止めて、すぐに東京の案件やれ!」
机をバンバン叩きながら、睨みつけながら、語気を荒げるパワハラ次長。私は聞こえるか聞こえないかの「はい」を呟きます。
「わかったかぁ!!!」
そうして1時間弱の説教から解放され、業務が始まります。元々別の案件をする予定や、業者とのアポイントなんかをとりあえずひとしきり断って、命令された東京案件の段取りを立てて行きます。
東京案件を一旦クリアにするには最低2時間はかかるから、社内打ち合わせもちょっと延期せなまずい...そう思って電話をかけようとしたその時でした。
「おい!犬井!!」
パワハラ次長が席から立ち上がり、叫んだ。
「お前!大阪の案件やったんか!!」
もちろんやってないよ。
それがあなたがさっき止めた、他の業務だよ。
もうマスクの下、笑いが溢れてニッタニタだよ。
そして、怒られた焦りと、おかしすぎる矛盾の面白さを堪えながら、聞こえるか聞こえないかの「はい」をつぶやくきました。
人間追い込まれると底力を発揮すると言いますが、この状況を面白く感じる気持ちが、底力でないことを祈るばかりでございます。
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