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映画系(2024/5/6):Final Re:Quest劇場版前編試写会記念レビュー(内容をあまり割れないので抽象度の高い書きぶりになります)


1.ここはなんだ?

RPG風ドット絵アニメ "Final Re:Quest" というのがあり、劇場版企画があり、クラウドファンディング等で応援をしてきたのでした。
5年後、2024/4/30、Youtubeで支援者限定で前編のみ公開されました。
(支援者限定という趣旨なのでリンクは貼りません。悪しからず)
その話をします。

2.原作はどういう作品か?

当初は講談社電子雑誌『水曜日のシリウス』および漫画プラットフォームサイト『ニコニコ静画』でドット絵漫画として、また後半からは動画プラットフォームサイト『ニコニコ動画』でドット絵アニメとして公開されました。

ゲームプレイ終了後、長らく放置されてきた、携帯ゲーム機用RPGソフト "Final Quest" 内部の話。
とある事情により生じたバグと、その周辺事象が原因で、データ上の世界は滅茶苦茶になっていました。
かつての7人の仲間キャラたち、別して老将軍戦士アソンテは、

  • 新たな世界滅亡の危機に立ち向かったり、

  • 実は彼らに託されていた、現実の「誰か」のメッセージを、死を賭して「当事者」に伝えたり、

  • 現実の「端っこ」でくすぶっている「当事者」の現状に「おまえーっ」となったり、

  • 「当事者」のケツを叩いて「誰か」の元へ送り出したり、

  • 現実の「プレイヤーだった人たち」に「ひょっとしておまえらも同じようにくすぶってる手合いなんじゃねーだろーな。だったらケツを叩きに行くぞオラアアアァァァ」と迫って来たり、

そんなとてつもない旅をします。

ほんものとまがいものは、こと効果面においては同じ土俵にあり、つまんねーほんものの現実が、何らかの素晴らしさを反映していたまがいものの架空に、ガツンと一発かまされることがあったりする。
そういう、現実と架空の間を、営為と言葉で越えていく話でした。
俺は大好き。

3.どんなキャラがいるのか?

以後、完結済作品なので、容赦なくネタを割ります。
この時点で「ヤバイ」と思ったら、この記事を読まない方が安全かもしれません。

3.1.戦士アソンテ

作中の実際の主人公。プレイヤーへの7人の仲間の1人で、忠誠心の高い老練な老将軍戦士。
プレイヤーがいないバグまみれの世界で流浪しつつ、かつての仲間たちと合流し、やがて世界滅亡の危機の中、自分たちに付与された役目を知ることになる。
最終的に架空と現実の境界を越え、現実の端っこでくすぶっているプレイヤーと対峙し、ケツを叩いて送り出した後、くすぶっているであろう似たようなプレイヤーたちのケツを叩きに、現実のどこかへ旅立って行った。

3.2.ミイポン

かつてアソンテについていった、マスコットめいた魔物の仔。その後、アソンテとプレイヤーが出会ってから、どこかへ去ってしまった。
バグに汚染されつつも、とある夢を抱いたまま、アソンテと再会する。
終盤にアソンテをプレイヤーの元へ導き、最後に悲願を果たしたと考えられる。

3.3.商人リカトク

7人の仲間の1人。金に汚く、仲間からであっても盗み、搾取的な商売をも辞さない、あまりお近づきになりたくないおっさん。
愛する妻子がいて、彼らの身に起きたバグとそのありもしない解決への試みが、商売が搾取的になったきっかけであった。
『ハイパーインフレーション』のグレシャムに似ていなくもないが、時々義侠心を見せるところと、サイコ経済人ではないところが大きく異なる。
物事に対する嗅覚が鋭く、そもそもプレイヤーがこの世界に戯れで関わり合いになり、戯れが終わって飽きたから捨てた、というかなり生々しい理解をしており、プレイヤーにあまり好意的ではない。

3.4.ヴァルキリー・シロテ

7人の仲間の1人。"SPY×FAMILY" のアーニャに似ていなくもないが、性格は大きく異なり、気高くも猛々しいレディース暴走族総長といった感じ。
機械めいた音速竜に乗って、アウラ(オーラ)を武器に成形して、斬る薙ぐ貫くの大暴れをするのが生きがいで、小難しい話に対して全く聞く耳を持たない。
一族郎党が全滅したので投げやりになって墓守をしていて、近寄る者は皆殺しにしていたが、アソンテらの説得に応じて同行し、行く先々で大暴れしては膠着した事態を打破している、物語駆動力の強いお方。

3.5.神官テネ

7人の仲間の1人。信仰が篤く、救済のために人道に反する選択を余儀なくされて曇りまくる、クソ真面目で融通が利かず思い詰めては無茶をするところのあるおかっぱの美少年。
バグで死にたくても死ねない衆生を、嫌々ながらもマップ攻撃で「救済」している、あまりにも可哀想な立ち位置。
その後も世界を救うために思い詰めて無茶をしたり、己のとんでもない出自と向き合った結果、仲間と戦いしかも自分が負けることで発動する無茶な解決手段に賭けてみたり、大変な目に遭う。

3.6.神聖教会教皇

おそらくはゲームの最初のマップでもある神聖教会の最高権力者であり、最初にゲームの説明を行ってくれるキャラ。
それはつまり、ゲーム世界の住人にとっては、「実はこの世界は現実の誰かの戯れのために作られたものにすぎない」というあんまりな真実を説明している、ということでもある。
既にバグに汚染されており、腹心であるテネは衆生を失望させないため、教皇を人前に出さないようにしている。

3.7.キャプテン・モケンキ

7人の仲間の1人。高速高機動武装飛空艇「シロカネ」船長の海賊。
右目にかつて廃止されたゲーム上の仕様が残っており、結果的にバグと周辺事象による世界の大崩壊を全部目の当たりにしてしまった。
その後、残された世界を守るべく、心を鬼にして、仲間の縁者であろうが何だろうが、バグに汚染されて撒き散らす者を砲撃で壊滅させたり、それで仲間に真剣に憎まれたり、損な役目を受け持っている。

3.8.ロボット・マツテル

7人の仲間の1人。古代文明の自律機械。超強力なビームを有し、また変形によって通常行けないところへ行ける。
バグと周辺事象による被害を、名前の書き換えというところで喰らっており、当初は別の名前である。これは現実の「誰か」のメッセージを歪めて伝えることになっており、現実においてメッセージの対象である「当事者」が誤解して打ちひしがれる原因ともなっていた。
最終的には、データ出力機能の解放条件が満たされたため、アソンテとメッセージを現実に送り込む。

3.9.魔女クレテア

7人の仲間の1人。読心能力があり、頭脳明晰だが、大事な自分というものがなく、大事な相手に尽くすところがある眼鏡のお姉さん。
ゲームの仕様をある程度知っており、世界を救うべくいろいろなことをする。その過程で一旦仲間をとんでもない目に巻き込んだり、他の仲間と戦ったりすることになる。

3.10.偽勇者

世界を救い人々を導くべく勝手に立ち上がった、心意気だけは立派なただの小僧。後にアソンテと行動を共にする。
人々を救えない自分に絶望し、世界に対して願をかけた結果、どういう訳か世界=ゲームシステムに勇者として認定され、かつてのプレイヤーとほぼ同じ性能を手に入れてしまう。
7人の仲間たちと共に、魔王を名乗る者と戦ったり、世界の滅びの中で抗ったりする。
実はある秘密があり、それはデータ出力機能を解放するいくつかの手段のうちの1つに他ならなかった。

(他のキャラについては説明しません)

4.今回はどういう差異があるのか? (ネタを割りたくないのでぼかします)

今は実は尺を詰めるための試写会の先行公開中なのです。先行公開を見せてもらって嬉しいなあ。

ということで、ストーリーとキャラの差異を通じて、ネタを極力割らないように紹介します。

  • ゲーム "Final Quest" の紹介ビデオと、ラストバトルと、エンディング。懐かしさと「めでたしめでたし」という感覚。ここは前回と同じ流れ(もちろん絵や動きのクオリティは大幅に上がっている)

  • 戦士アソンテの目覚め。バグで崩壊していく世界を前にした、混乱と絶望。ここも前回と同じ流れだが、声が付くことで生々しくなっている。老練な老将軍戦士ともあろうものが、ここまで狼狽えるとは…それでもプレイヤーのことを思い出し、勇気を奮い立たせるから、つくづく偉い爺さんだと思うよ

  • 今回はミイポンはアソンテとは特段旧縁はなく、ゲームの機能として存在している。思い切った発想の転換ですね。イベントも大きく異なり、ふつうについてくる

  • 商人リカトクとのエピソードはほぼ同じ。辛く重苦しく息詰まる苦悩の感覚。

  • ヴァルキリー・シロテの話は、偽勇者と新キャラ・偽シロテをここで出すことで、かなり印象が変わったところになる。ほんものとまがいもののどちらが偉いか、というのは、効果面では意味を成さず、まがいもののはったりがほんものに効くことだってある。という強い印象を与えるエピソードでもある。また哀切な悲話となった

  • 神官テネの話もだいぶ変わった。原作のあんまりなエピソードはムゴすぎるので排している。

  • 教皇の話でショックを受けるリカトクのエピソードについては、映画のセリフ回しと音声の方がより「あっショックを受けてる」と分かる

  • ゲーム中ではおそらくスタート地点にあたる神聖教会で、ゲームシステムの一環として、ミイポンが今までの話を吹き飛ばしてさっさと「仕事」を行おうとするシーン。分かるよ。お前の「仕事」はそうなんだから。とはいえ、おまえーっ、となるが、それもそういう意外性のためであろうし、それでよいのだろう。その後の「仕事」が「拾われない」焦りも含めて(何で「拾われない」んだろうな)

  • キャプテン・モケンキ、颯爽とやってくる。ヒューッ! 原作のあんまりなエピソードはムゴすぎるので排している。なのでシンプルに爽快感だけがあり、これでよいのだと思います

  • ロボット・マツテル、なんかいるが、多分本当の活躍は後編からなのだろう

  • 魔女クレテアはまだ出てきていない。多分本当の活躍は後編からなのだろう

全体的には大変肯定的な印象です。
ここからさらにブラッシュアップされるはずなので、もっと素晴らしくなる、ということです。これは嬉しい。
ブラッシュアップ、および後編、お待ちしております!


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