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【読書】慎重な人が上手くいく理由

前回の続きです。

最近、久々に麻雀をやりました。麻雀って初心者でも運が良ければ一局二局まぐれで勝てますが、長い目で見ると実力がある方が勝つので、娯楽でもあり知的でもある絶妙なバランスが凄いゲームだと思います。

今回はオリジナリティのある人についての解説と、その中で成功をしている人のリスクに対する捉え方についての記述をまとめました。

要するにオリジナリティがあって成功をする人は、リスクなど様々な不安をしっかりと受け止めた上で打席に立てる人という内容です。

オリジナリティな人は周りから作られる

カリスマや偉大なリーダー、ある分野で革命を起こしたと言われる一握りの人は、未来を予測して確信を持って何かを進めていたわけでは無い。偉大な功績のきっかけは、周囲の人に丸め込まれたり、説得されたり、強要されたりしていたことが多い。

・アメリカ独立革命の指導者は弁護士としてのキャリアを捨てたくなかったが、代議士になった途端にその周囲から革命運動を期待され、当初は渋々と活動に関与し始めた。

・キング牧師は牧師のキャリアを進み大学の学長になるという理想を抱いていた。モンゴメリー・バスなどにおける露骨な人種差別を皮切りに人々の不満が溢れ、たまたまその地域で慕われていたキング牧師が活動のリーダーをせざるを得なくなった。キング牧師は当時のことを「あまりにも急で考える時間がなかった、考える時間があったらうまく理由をつけて断っていたかもしれない」と言っていた。

・ミケランジェロの代表作のひとつに「システィーナ礼拝堂の天井画」がある。これはミケランジェロがローマ法王に依頼されて描いたものだが、本人はその仕事に全く興味が湧かなかった。彼は自分は画家ではなく彫刻家だと自負しており、その依頼が嫌すぎてフィレンツェへ逃亡したほどだった。ローマ法王に強要されやっと仕事に着手したのは、最初の依頼から2年以上経った後だった。

※ここにあげたのは一例で、本書にはより多くの人の事例が紹介されています。直近だとアップルのウォズニアックが、起業には興味がなくヒューレット・パッカードをやめたくなかったエピソードなど。

オリジナリティな人はリスクを取る

経済学者のヨーゼフ・シュンペーターの言葉で「オリジナリティとは創造的破壊をすることである」というのがある。何かを大きく向上や前進させるためには、古いやり方を取り払う必要が多いため、多くの人は波風を立てて不利益を被るのを恐れて行動を控えてしまう。

アメリカは個人を尊重する国と言われているが・・

アメリカ大手の医薬品企業、テクノロジー企業、メディア業界などに務める科学者やエンジニア、従業員に調査した結果、多くの人が「取り組む仕事の中で、顧客や社会に影響する安全性への不安がある。しかしそれを公にしたら報復があるのでは無いかという恐れがある」と答えていた。重要な懸念事項について黙っている人も多かった。

アメリカは個人主義で、個人の発言や表現に寛容な土地柄でありながら、実際は失敗や失点を恐れるあまり、目立つよりも周りに合わせることを選ぶ人が多い。

そうした人達は上辺はオリジナルに見せようとするが、真の意味でオリジナルな人になるリスクを冒そうとはしない。みんな「発言して目立つ」ことを恐れてしまうのだ。

ただし、オリジナリティな人はリスクを恐れる

一般的にオリジナルな人間というと、極端なリスクを冒して成功を収めた人物として思われている。人々はジョブスやゲイツのようなカリスマの「大学を中退し、壮大なビジョンを描きガレージで地道な努力を続け、大勝負に勝った人物」という美談を崇める。

実際に起業家を意味するアントレプレナーの原義は「リスクを負う人」である。確かに彼らのような人物は、バッターボックスに立ちバットを振ることでホームランを放つことができた。

だが実際は彼らのような人物も、いわゆる普通の人と同じく恐れやためらい、自己不信と戦っている。表向きは大胆で自信満々に見えても、上述のように彼らの態度や行動は他者に促されていることも多く、実際はできる限りリスクは避けたいというのが本心なのだ。

オリジナリティな人はリスクを計算する

何もかもかなぐり捨てて起業した人よりも、本業を続けつつ起業をした人の方が33%失敗が少なかった。前者の方が自信に満ちている印象があるが、実際は極端なリスクテイカーであり、失敗する確率が高かった。

本業や学業を続けつつ成功した事例

・会計士としての仕事も続けつつ靴を販売していたフィル・ナイト(ナイキの創業者)

・博士号課程を辞めるのが不安で、学業をこなしながらネット検索の性能向上に関するアイデアを追求していたラリーペイジとセルゲイ・プリン(google創業者)

・天体物理学の博士号課程の半ば、クイーンのギタリストになったブライアンメイ(完全にバンドに専念したのは結成から何年も経ったあと)

・経営コンサルタントの仕事を続け夜に作曲活動をする生活を何年も続けていた、グラミー賞を受賞したジョン・レジェンド。

・教師やガソリンスタンドの店員をしながら生計を立てていたホラー小説家のスティーブン・キング。

・ワービーパーカーを創業する前の4人も、起業に失敗した際に備えてインターンはしっかりやりたい、学校を辞めるようなリスクは冒したくないと言っていた。アダムグラントはその頃彼らから投資を依頼されたが、彼らの消極的に見える姿勢と、仕事のスピード感のなさから投資を断った。そのことが巷のイメージで語られる起業家精神が、現実の成功に繋がるわけでないことを学ぶ良い機会になったと言う。

バランスを取るのが大切

彼らの共通点として、ある分野でリスクのある行動をとるのなら、別の分野では慎重に行動し全体的なリスクのレベルを弱めようとする。つまりある分野において安心感があると、別の分野でオリジナリティを発揮する自由が生まれる。

つまり成功するオリジナルな人は、リスクを冒す場合には別の部分ではことさら慎重になることでバランスを取っている。ちなみにそれは常に中程度のリスクを選択し続けるという訳ではない。成功している人は時に大きなリスクを冒すが、その場合は慎重かつ綿密な計算をして、バランスを崩さないようにリスクを受け入れている。

終わりに

自分自身、走りながら考えるとか、やってから考えるとか、リスクを恐れず行動しろという文言が好きなので、自戒の意味で含蓄のある内容でした。

いわゆる「虎穴に入らずんば虎子を得ず」と「君子危うきに近寄らず」という相反する選択を二つ同時に実現させていく姿勢が大事ということですね。

余談ですが、冒頭でも挙げた麻雀って不確実性が大きいし、リスクを取り大きな点数を狙うべき局面と、リスクを取らず逃げるべき局面の判断が重要だったりするので、起業とか株式投資に関心がある人と相性が良い気がしました。

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