”政権潰しの狼煙”上がる?~あちこちから攻められる岸田文雄首相、年内もつか?
◆「年内総辞職」のウワサも~追い詰められる岸田内閣
今週は週明けから、自民党本部周辺にさまざまなウワサが乱れ飛んだ。
「岸田内閣は、臨時国会が閉幕した12月中旬以降、総辞職という可能性がある。事務方に日程調整の打診があった。岸田首相が首相、自民党総裁両方を辞任して、党総裁選を前倒しにするというシミュレーションがされている。この場合、総裁選は1月9日告示、同21日投開票だ」(自民党本部関係者)
こんな話を、筆者は月曜日に聞いた。あまりに低い内閣支持率、反対に高い不支持率のために、岸田首相は「伝家の宝刀」、衆議院解散を打てないまま臨時国会は閉会となる見通しだ。来年9月が自民党総裁の任期の終わりで、総裁選挙を迎える予定だったのだが、それを待たずに前倒しするのではないか、ということである。
先にサンフランシスコで開催されたAPECサミットでも、「外交得点」の期待をかけた日中首脳会談は”バイデン失言”(「習近平氏は独裁者」という)の煽りで完全”ゼロ回答”と成果があがらず、タイ首相や韓国大統領との会談だけでスゴスゴ帰国せざるを得なかった。その間に、世論調査は低支持率の記録更新を続けている。
27日に公表されたテレビ朝日世論調査(11月25~26日実施)でも、岸田内閣支持は26.1%、不支持54.2%で、いずれの調査でも支持率は20%台、不支持は過半数超え(7割近いものも)となっている。「岸田首相のままじゃ、政権交代も起きかねない」と自民党をはじめとする与党国会議員が考えても無理のない状況だ。
◆自民党派閥の政治資金パーティーで「裏金」疑惑
この間、本noteでも取り上げてきたように、岸田首相腹心の木原誠二前官房副長官の妻の元夫変死事件の「捜査もみ消し忖度」疑惑が持ち上がり、さらに政務三役(大臣、副大臣、政務官)のスキャンダル、辞任が相次ぐ事態が続いている。その都度、岸田政権の支持率回復を妨げてきた。
そしてここに来て持ち上がったのが、自民党の5つの派閥が政治資金パーティーでの収入を政治資金収支報告書に過少記載していることが告発され、各派閥から訂正が相次ぐ事態となっている。
「自民党5派閥が2018~21年の政治資金収支報告書にパーティー収入約4000万円分を過少記載したとして告発された問題が、政権を揺るがす新たな材料となっている。…パーティーなどを通じた派閥の収入は、22年は麻生派が2億9000万円近くで最多だった」
「派閥の所属議員には当選回数や閣僚経験に応じて、販売ノルマがあるが、『ノルマ以上の券を売ると議員個人の収入になる』(自民関係者)。政治家個人に対する企業・団体献金が禁止されている中、パーティー券収入が議員にキックバックされて『裏金』になっている実態があるとされる」
(参考)「パーティー券で『裏金』つくる自民党のやり方…5派閥の過少記載問題 関係者たちが語った実情とは」2023/11/25 東京新聞TOKYO Web
https://www.tokyo-np.co.jp/article/292085
この「裏金」づくりに関心を持ち始めたのが、東京地検特捜部だ。どうも関係者の任意聴取が始まっていると言われ、その対象は自民党本部事務総長も含まれるのではないかと、自民党関係者の多くが不安に襲われている。見方を変えれば、弱りつつある岸田政権の状況を見て、これまで手つかずだった政治資金の「抜け道」に捜査の手を入れ、あわよくば国会議員を含む政治資金絡みの脱法行為に断を下そうということだ。何しろ、自民党主要5派閥に関わるものでもあり、これは現実のものとなれば、岸田政権が揺らぐどころか、倒壊につながる可能性も高い。
いよいよ追い詰められてきた中で、にっちもさっちも行かない状態に年末に陥りそうな中で、事実上の「政権投げ出し」とでも言うような内閣総辞職、自民党総裁選前倒し論が語られているのだ。そして、自民党の”生存本能”として、党と政権の顔を不利な状況での衆院選挙など無しのまま、すげ替えようというのが、いまウワサされている動きの本質でもある。
その中で、身内の中から岸田内閣を追い詰めようという動きが出るのも、自然な流れかもしれない。長年、「奥の院」のようなところに棲息しながら、政権を背後から見守ってきた人物が、こそこそと岸田首相の足を引っ張る動きを始めたのである。
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