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【読書】無罪請負人 刑事弁護とは何か 弘中惇一郎

作者の弘中さんは,「無罪請負人」と呼ばれるほど,世間が注目した大きな事件を無罪にしてきた弁護士らしい。その事件というのが,

郵便不正事件
小沢一郎 鈴木宗男
薬害エイズ
ロス疑惑

などになるのだが,その一つ一つを詳しく説明して,どうして無罪を勝ち取ったのか…という事を書いてあると同時に,現在の日本の司法というか,何か事件が起きてそれを警察が捕まえて,検察が裁判に上げて争う…という仕組みに関して,徹底的に「おかしい」と糾弾している,とんでもなく面白い本。(こんなのがアマプラでタダで見れるのだから,Amazon素晴らしい)

この本読んで郵便不正事件に関して,どうして証拠を改竄までして村木さんを有罪にしようとしたのだろうか…と憤りを感じる。(この本読む前の新聞や裁判のほうどう見てても思っていたが)。というか,本人からすると「絶対にやっていない」と誠心誠意誓って言えるわけで,これを有罪にしようとしたのは,いったい誰がどう思ってやったのだろう。一つ考えられるのは,検察特捜部の偉い人が,そう思い込んで,その筋書きを組織に伝え,組織として村木さんの有罪を信じて,彼女がどんな供述をしても「嘘を言っているのだ」と鼻っから相手にせず,「やってるのに違いないのだが,なかなか強情で自白もしないから,とにかく決定的な証拠を突き付けるために偽造してしまおう」と考えて,フロッピーなどを改竄したのだとすると…。

もうとんでもない話なのだ。これが通用すれば,日本は法治国家ではないという事。

日本は刑事事件で検察が告訴したら99.9%有罪である。その中には少なからず冤罪もあるのだろう。でも普通考えてやってもいない事を自らやったと自供してしまう事はあり得ないだろう…と私も思うし皆も思うと思うが,この本ではその「やってもいない罪を自供させる手法」がいくつか挙げられている。その最たるものが村木さんの事件になると思うが,村木さんほど大きくない事件でも,例えば痴漢などの事件でもそのような事が行われているらしい。

どうしてこんな状態がわかっているのに放置されているのか。結局泥棒が法律を作ったみたいな感じになっているのか,最初は立派な法律だったが使う側が悪知恵を働かせてこんな事になっているのかのどっちだろう。後者としたらそれを規制するのは無理と思われる。

とにかく自分はこんな問題に関わらなくていい様に清廉潔白に生きるしかないのだろうなぁ…。しかし検察官ってとんでもない人しかいないのですかね。だんだん勘違いしてくるのだろうか。私たちが正義なのだ…という感じで。

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