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[導入事例:広尾学園中学校]生徒の集中力が向上。将来を考える機会に。

Inspire Highは、日本全国の小学校から高校まで、多様な地域の学校に導入されています。
実際に、学校現場でどのように受け入れられ、授業や生徒たちの学びに活用されているのか。Inspire Highを授業で活用いただいている学校を取材し、教員の準備から授業の様子、児童生徒たちの反応、さらには導入の効果まで、実際の活用事例をご紹介します。

今回は、東京の私立広尾学園中学校の事例を紹介します。毎年難関大学合格者を多数輩出する難関進学校として知られている一方、早期からICTを活用した教育を進めており、全国から教育関係者や自治体が視察にくるICT先進校としても注目されています。

「本科コース」のほか、帰国子女や英語力を養いたい生徒向けの「インターナショナルコース」、医学やサイエンス分野での研究に取り組む「医進・サイエンスコース」という3つの特色あるコースを設置し、生徒の自主性を重視した教育を行っています。

共学中高一貫校の広尾学園

広尾学園は、早期からICT活用を行っており、本科と医進・サイエンスコースはChromebook、インターナショナルコースはMacBook Airを1人1台所有し、授業から学級活動などあらゆる場面で積極的に使用しています。

2021年度からはInspire Highを中学の全学年に導入し、探究や英語の授業で年間を通して取り組んできました。同校の中学3年部長と進路部を務める、英語科の小林貴洋先生に、1年に渡って継続的にInspire Highを活用した感想と、その効果についてお聞きしました。

【学校情報】
学校名:広尾学園中学校
所在地:東京都港区
実施コース:中学1年生(全コース)、2~3年生(本科コース)

1. 導入の背景:
全国の学校・生徒と繋がる機会を届けたい


――まず、広尾学園について教えてください。広尾学園はICT活用でも有名ですが、小林先生から見た広尾学園は、どんな学校なのでしょうか。

本校には、本科、医進・サイエンス、インターナショナルの3つのコースがあり、コースによってそれぞれ文化があります。学校全体で見ると、とても自由な校風ということもあり、どのコースの生徒も生き生きと過ごしています。

広尾学園の小林貴洋先生。英語科として、今年度で13年目。
男子バスケ部の顧問も務めている。

都心の真ん中にある学校ですが、通っている生徒たちは、とても素直な子が多いです。例えば、教員が「これをやろう」と言ったときに、みんな一生懸命取り組んでくれますね。そして、元気な子が多いです。 

――小林先生が、初めてInspire Highをご覧になったときはどんな印象を受けましたか。

色々な方々によるお話を、生徒たちがただ聞くだけではなく、それについてのアウトプットやフィードバックを行うという点が、とても斬新だなと思いました。2020年からのコロナ禍以降、校内での講演会の開催が難しくなっています。そんな中、Inspire Highで多様なお話を聞けることは、生徒たちにとって、とても刺激的な体験につながるのでは……という期待を感じました。

――授業イメージは、すぐに持つことができたでしょうか。

教員によってイメージの違いはあると思いますが、本校の場合は、実際に使い始めてみたところ、どの教員も複数の動画を見て、それぞれイメージを深めていきました。私たち教員にとっても、すごく勉強になっているプログラムだと感じています。

――Inspire Highを導入する決め手は、どの点でしたか。

まず、本校では1人1台の端末を生徒が持っているので、Inspire Highを教材としてすぐに使えること。そして、自宅からでもプログラムにアクセスができ、その後アウトプットやフィードバックを行うことができること。特に決め手となったのは、Inspire Highを通じて、全国の学校や生徒の方々と繋がれる機会が生まれるという点でした。

2.授業事例:
探究だけでなく、英語学習を目的とした授業に活用


――Inspire Highを活用した授業について、具体的に教えてください。

2021年度から、中学1~3年の全学年でInspire Highを活用した授業を、探究の時間で実施しています。中学1年生は全コース、2・3年生は本科コースに取り入れています。

2021年度は月に1回程度、クラス単位で授業を行いました。この授業では、学年ごとにテーマを設けており、例えば2年生のテーマは「自分探し」でした。今年度は、昨年のテーマに加え、英語学習を目的に、海外のガイドの話を聞いて生きた英語に触れ、視野を広げることにもチャレンジしています。

小林先生が行った中学2年生の授業

――小林先生が担当された2年生では、授業はどのような流れで進められましたか。

授業の最初に、どのような意図でこのテーマを選んだのか説明をしました。そして、ある程度、生徒が目的を理解した上で動画を流します。
また、途中で集中が切れてしまう生徒もいるので、教室の様子を見つつ、場合によっては途中で動画を中断し、「ここまで、どういうふうに理解したか、周りの人と相談してみよう」といった声がけをすることもありました。そうした短い振り返りをして、また続きを流すように工夫しました。

――他にも、Inspire Highを使ううえで、小林先生が意識していたことがあれば教えてください。

例えば、中学2年生では「自分を見つける」というテーマで、1年間行ってきました。その際の動画の選定については、「生徒たちは、どの人の話に刺激を受けるのか」を意識しながら、動画を選定しました。授業を年間通してやってみて、生徒が目の色を輝かせているセッションと、反応が薄いセッションがあることがわかったので、色々な方のお話を聞くことは大切だということを改めて思いました。

――反応のいいセッションはどういうものでしたか。

全体的に少し波はあるかもしれませんが、目が輝くセッションは、自分たちが興味をもっている分野という印象でした。例えば、宇宙に興味がある生徒が多かったこともあり、宇宙飛行士の山崎直子さんのセッションは、身を乗り出して話を聞いていましたね。そういった場合は、アウトプットやフィードバックにも意識高く取り組んでいたようです。

――教員の方々の準備について教えてください。

授業では、予定していた動画を選んで再生ボタンを押すぐらいの作業なので、とても簡単に進めることができました
生徒たちも柔軟性が高く、どんどん自分たちで進めてくれて、積極的に他の動画も見るようになっていったので、とても良かったと感じています。

3.導入後の効果:
アウトプットとフィードバックで授業中の集中力が向上


――生徒さんの反応はいかがでしたか。

最初に触れたときは、アウトプットパートなどで生徒たちがとても盛り上がっていた印象があります。また、生徒同士でのフィードバックもあるというところに感心している生徒も多かったですね。生徒たちが大人に関わる機会は、家庭や学校などの限られた中ですので、Inspire Highの時間は、それ以外の大人に出会えるという意識があるのかなと感じています。

印象的だったのが、普段はおとなしい生徒たちが積極的に発言していたことです。Inspire Highのアウトプットやフィードバックでは、普段のディスカッションではあまり発言しない子たちが発言していたということが、私としても勉強になりました。

話を聞く一方向の授業ではなく、その後のアウトプットとフィードバックがあることで
様々な効果があったという。


――他の教材と比較して、Inspire Highの特徴はどんな点にありますか。

一番の特徴であり強みは、ただ話を聞くだけではなく、アウトプット、 フィードバックがあることですね。それがあるとないとでは、生徒たちの聞く意識も変わってきますし、自分の中で興味のない話でも、その後にアウトプットとフィードバックがあるので、ほとんどのセッションで集中が高まったと感じています。

また、清水イアンさんのガイドがとても良かったです。生徒たちにも人気があり、生徒たちを盛り上げてくれる雰囲気があると思います。動画では、オードリー・タンさんのお話が刺激的で印象に残りました。若くして国の中枢を担う方の話を聞く体験は、生徒たちに対して「若くても、こんなことができるのだよ」というメッセージが含まれており、教員にとっても学びになりました。

Inspire Highのナビゲーターである清水イアンが、セッションの解説を行ってくれる。

――Inspire Highを体験して、生徒や教員の方々の変化があれば教えてください。

最初は、自分の進路に関してあまり考えていない子が多かったのですが、1年を通じてこの授業を受けたことで、留学や大学進学後の進路についての質問がすごく増えました。また、職員室でも話題にあがり、「このガイドが面白かったね」「このセッションは生徒たちが盛り上がっていた」という、教員同士の会話も増えたように感じています。

4. 今後について:
生きた英語にふれる機会をもっと提供したい


――今年度もInspire Highを使った授業をスタートされていますが、今後の活用のイメージはありますか?

本校では、2022年度から中学3年生においては、英語を使用している動画を採用していきます。私は英語科なので、字幕を見ずに英語だけで聞いてもらうことも考えています。ただ、実際にやってみてハードルが高ければ、字幕が日本語でなく英語になっていると理解も深まるので、英語の字幕機能も活用していきたいと思います。

--これからInspire Highを使ってみたいと考えている教員の方に、利点をどうお話されますか。

学校にゲストを招聘してお話をうかがう講演会も大事ですが、数を重ねることは難しいのが現状です。一方、Inspire Highであればオンラインで学校でも家庭でも、自分が好きなだけ話を聞くことができます。しかも、様々な分野に特化した方々のお話を聞く機会を、生徒たちに提供することができる、とお伝えしたいですね。

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Inspire Highに用意されている多彩なガイドの動画は、好奇心旺盛な広尾学園中学校の生徒たちにとって、自分の興味関心を広げてくれる入り口となりました。
さらに、「自分を見つける」というテーマで挑んだ中学生が、ガイドの話によって世界を広げ、新たな自分を発見していくこと、国際教育を重視し、生きた英語力を育む有用な教材として活用されることが期待されます。