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【論考:ロシア情勢】プリゴジン氏が陥ったポピュリズムの罠

 2023年6月26日(月)。21時37分。

 こんにちは。井上和音です。

 ツイッターでも見てみましょうか。

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 「プリゴジン氏に関して言えば便りがないのは良い便りとは言えませんね。

  SNSが発展して直ぐに情報を発出できる現代では、誰しもが便りがないのは良い便りとは言えないのかもしれません。

  🇷🇺<便りがないのは良い便り(ニッコリ)」
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 🇷🇺って言うのはツイッターでロシアの国旗をコピペしたら文字ではこのように出てきました。この文字は一体どうやって出すことが出来るのでしょうか。組み合わせの式、C🇷🇺とかで使えるかなと思いましたが一文字では使えないようなので使えそうにないですね。

 このツイートは伸びるかなと思いましたが、全く伸びませんでした。いつも通りです。何を言うかよりも誰が言うかのほうが大事なのですよ。ええ。中身が良いのかも分かりませんが。

 ワグネルが反乱を起こしたことへの解説を報道1930で見ていました。NHKnews7では「ロシアのプーチン政権に亀裂が走った」と報じており、また、NHKnews7の時間の枠の使い方もかなりの時間を使って報道していました。なんでこんなに長くニュースの枠を使うのだろうと思っていましたが、次の番組のクローズアップ現代が「ロシアでのワグネルの反乱」をテーマに取り扱っておりました。まさかとは思うけれども、クローズアップ現代でワグネルの反乱の解説番組を流すために NHKnews7 での時間の枠を多く設けたとかそういうわけではないですよね。NHKさん! NHKさんは普通にそういうことはやりそうですね。大河ドラマでどうする家康をやっているときは、どの番組であろうと徳川家康に関連する番組が NHK 総出でやって来ます。最近は明治維新とか鎌倉幕府の時代の話を聞きませんね。どこを見ても家康家康。NHK! 別に悪いとも思いません。何も悪いことはありませんし、私がどうこう言ったところでNHKさんの番組編成の仕方が変わるわけでもありません。多分NHKさんは放送受信料を取る明確な理由として、視聴率が高く国民に欠かせない報道機関であることをきちんと理由として示しておかなければいけない時代に入っているのだと思います。みんなから支持されるNHKでなければいけませんからね。

 プリゴジン氏の話です。

 民間軍事会社ワグネルのロシア国内への進軍がプリゴジンの乱と言われていますので、新たな単語、プリゴジンの乱を頭にインプットしてとうおこでも使っていきましょう。

 キーワードは、便りがないのは良い便りではない、です。

 プリゴジン氏は毎日のようにテレグラムというSNSにおいて、ロシアのウクライナ戦争における立ち位置の批判を行ってきました。報道1930によると毎日のように投稿していたそうです。それが今や、ぱったりとSNSは更新されずにどこにいるかも所在不明ということだそうです。

 便りがないのですね。現代のSNSの発展して発信が身近になってしまった時代では便りを作ることは簡単です。ものの数秒で出来て、ものの瞬間で皆さまが見ている画面上へと送ることが出来ます。何かしらの情報がないと、病院にでも入院になったのか、永遠と仕事中なのか──それもスマートフォンを操作することが許されない結構過酷な仕事──なのか、それとも警察にでも自由を束縛されているのか。それともスマートフォン等を何者かに没収されているのか。何にせよ、身に危険が迫っている時はSNSにアップする自由さえ与えられることはありません。余談を申しますと、私の場合は投稿がストップしたら高い確率で精神科の閉鎖病棟に入院したと思ってもらって構いません。余談でしたが、とにかく現代では、便りが無いのは良い便り──No news is good news──というのは現代においては誤りと言っても良いのかもしれません。調べてみたら16世紀のイギリス、ジェームズ1世のことわざとして有名になったそうです。SNSが登場するまでは「そうだそうだ」と確信を持ったことわざとして君臨していたようですが、SNSが登場してからは「本当にそうですかね。No news is bad news じゃないのですかね」と思ってしまうことがあるなと思いました。今回のプリゴジン氏のケースとかまさにそんな感じがします。

 プリゴジン氏は、報道1930でも言われていましたが、ポピュリストだったのかなと今のところ思っています。人々からのある程度の賛同だったり支持を得ることに必要なことって実は一つだけで、既存の権力に疑問を呈す、ということだけだったりします。新しい代替案を示すのが大事だと私は思っているのですが、とりあえず今の強い権力が発信する考え、思想に反論したことを言えばある程度の民衆は付いて来ます。それに加えて既存の立場で、その立場では普通は権力に賛成するであろうと思われる人や団体が、権力とは反対のことを言うと民衆はかなり盛り上がります。例をあげるならば、トランスジェンダーだけれどもLGBTQの政策には反対だ、とか。女性だけど女性の社会進出を後押しする政策は反対だ、とか。女性が働かなくても良い社会を目指しますと若い女性が言うと民衆に受けます。例えば外国になると、トランプ氏が元大統領という法律上トップにいる人間が選挙結果を公平ではない選挙が行われた民主主義の崩壊だと法律に対して反対するかのようなスピーチを行い挙句の果てには議事堂に向かえと民衆を煽ったり、とか。エミネムでは黒人差別が往々にあるなかで田舎町では黒人が支配層となっていて白人であるエミネムがラップを武器に黒人を圧倒するシーンが8mileで表現されたり、とか。大いに民衆に受けます。

 プリゴジン氏も同じような感じで、民間とはいえ軍人のトップで、そもそもがプーチン氏と間柄も近しいと思われていたプリゴジン氏が毎度のようにロシア軍に対して「弾薬を出せ」など言い、「ネオナチからウクライナを救うという論調は間違っている」と徐々にプーチン氏の大義名分すらも否定し始め、徐々に民衆から、既存の権力に疑問を呈することの出来る期待できる人物なのではないかと支持率が急激に上がっていったりします。そして挙句の果てには「モスクワに進軍する」と宣言してしまいました。モスクワの200km手前で「やっぱりやめました」というのがプリゴジンの乱のオチでしたが、これはトランプ元大統領の「議事堂に向かえ」と言ったのととてもよく似た人間の在り方だなと思いました。立場があるのに既存の権力に疑問を呈す→少しずつ民衆の支持を集め始める→既存の権力に疑問を呈している自分の言動は正しいのだと錯覚する→突然に軍事的な意味での実力行使に出てしまいその国内でお騒がせする→途中で「自分のやっていることは既存の権力に対してちょっとやり過ぎているのではないか」と気付く→そもそもが「既存の権力に疑問を呈す」しか目的が無かったために途中で終わる。という人間の陥りやすいポピュリズムの罠──一言で言えば過信──は既存の立場持っているにもかかわらずとりあえず反対意見を述べて人気を博していく人達に多く見られる結末なのかなと思いました。まだプリゴジン氏がどういう結末を迎えるかは分かりません。ただ、世界をお騒がせしてしまった行動の原理原則はトランプ元大統領と同じようなポピュリズムの法則性、ポピュリズムの罠に引っ掛かったのかなと思いました。

 英雄たちの選択という番組がありますが、プーチン氏は選択を迫られているのかなと感じています。もちろん、プーチン氏を英雄として捉えているのではなくて、そういう番組にならって英雄たちの選択と言っているのですが──。プーチン氏は選択に迫られています。

 一、ワグネルとどうしても手を結ぶために新しいワグネルの代表を置く、もしくはプリコジン氏をなんとか説得させて、ロシア軍にワグネルを吸収して軍事力を保つ。

 二、民間軍事会社は信用ならないとして、軍事力を減らすことはウクライナ紛争では急激に負けに近付くために国民に対して動員令を出す。

 どうにかして、一の選択をするのかなと思います。動員令を出して国民の反発が上がらないわけがありません。プリコジン氏も支持率が上がってきているので、どうにかしてプリコジン氏をロシア軍司令部の中のそこそこの地位に置くしか方法は無いと思いますが、しかしながらロシア軍そのものに反発したプリコジン氏をロシア軍内の指揮系統に置けるのか、それこそロシア兵から反発の声が一斉に上がるのではないか。では一の選択は無理なのか。では、二の動員令を出してしまうのか。

 そう。一でも二でも反発が出てしまうことは必至なのです。NHKnews7では「プーチン政権の基盤に亀裂が入った」と報じましたが、本当にロシア国内に亀裂が入る可能性があるのは、《《これからのプーチン大統領の選択の後に》》どこかへ亀裂が入る可能性があるということなのです。プーチン氏がどのような選択をするのか、そこで本当にロシアのこれからの道筋が決まっていきます。

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