見出し画像

#2. バス停を降りると、そこは...

↓前回まではコチラ


「あ、着いちゃった」


バス停を降りると
そこは
シドニーだった。


その昔
トンネルの先には
白い雪国があると聞いたことがあったが


シドニー行きの
バス停の下には
当然
シドニーがあった。


なし男は
驚いた。


バス停には
ちゃんと「Sydney」と書いてある。


着いた場所が、
ちゃんと「Sydney」だったのだ。


「そっか〜(ピロリ〜ン!)」


なし男の
レベルは上がった。



そう言われると
確かにというか


「Sydney」の綴りに
母音の「O(オー)」などの発音は、
まったく含まれていないことに
なし男は気づいたのだ


「SI DO NIEー」じゃなかったんだ〜


なし男の国では
なぜか
「Sydney」が「SI DO NIEー」と発音されており


中学校の英語の授業でも
「SI DO NIE」と
ゴリゴリ発音されており



そう唱えなければ
「✖️(バツりんちょ。減点〜)」
と、なっていたのだ。


驚愕だった。

というか、


誰が
何の目的で

「O(オー)」なんて
勝手に潜りこませちゃったんだろう?


何十年も
そう習ってたのに…


一体、あれは何だったんだ。



となった
なし男は思った



じゃあ
「SI DO NIEー」って
いったい世界のどこの町のことなのよ〜
いったい世界のどこにあるのよ〜?!!


そう、
その時!



そこで
なし男は
すべてを理解した。


そっか〜


「SI DO NIEー」という町

あれは
たぶん


なし男が育った国の
あの何十ページかの
英語の教科書の中だけに
存在する場所、
だったんだ。



きっとそうだ、
そういうことだったんだ!


きっと
そういうことに違いない!


だから、
そう、


ここは
「SI DO NIEー」とは
別の国、別の街、別の場所


ここが…


そう!
「Sydney」なのだ!



降り立ってみないと、分からなかった
ここにきて、立ってみないと、分からなかった


立ってみないと
来てみないと


気づけなかった
知り得なかった。


……


何時間かのフライト


いや
違う


何十年も前に
教科書で
「SI DO NIEー」を知ってから

何十年もかけて
たどり着いた


見たことないような
大きな大地、
大きな空の下にある町


「Sydney」


何十年もかけて
なし男は
ついに
「Sydney」に
降り立ったのだ!


なし男は
いちいち大げさだった。

「そうか〜、そういうことだったんだ〜!」
「空港のおっさん、ありがとう!」
(おっさんは、Sydney?と聞いてくれていたことに気づいたから。)


ふたたび
感慨の波が押し寄せる



感慨


キュウリが
漬物の汁のお風呂に
浸るように、、


感慨に浸る
なし男。


だったが


なし男には
キュウリのように
熟成され美味しくなっているほど、
浸りきってる程のヒマはなかった、



いや、あった。

よく考えたら
ヒマだらけだった。


しかし


「はよ、はよ」と


なし男には
次なる重要なミッションさんが
急かしてきていた。



「宿を探す」


そう


「ガイドブックなんか要らないぜ!」派だった
なし男には



「今日泊まる宿を探す」という
次なる重要なミッションが迫っていた、のだ。


(つづく)


【↓前シリーズの続きです、まだ進行中ですが】


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?