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(物語) #3. 見知らぬおじさん

(前回まではこちら)


声の方を見やると


ひげをたくわえた
見知らぬおじさんが立っていた。
なし男と目があうと
ニーッコリ、笑った


Tシャツ、チノパンの
小ぎれいな様子

年齢は、ちょっと分からない
50代前後かな、と見てとれる


ケ○タッキーのカーネルおじさんと
おやつのカールのカールおじさんの中間位

でも
ちょっと引っかかる


なんだか
すこし惹き込まれ
おだやかな余韻が漂い
波紋が広がるような

そんなニッコリも
そうだし

なんだか会ったことのあるような
ずっと昔から知っているような
すこし懐かしい気がするのだった


「ん〜、、あぁ、そうか!苦笑」


なし男は気づいて、ひとり苦笑いした。


「おさんぽアルケミスト」の中で
主人公がインドのアシュラムに訪れるシーンがあり


そのアシュラムをつくった
南インドの沈黙の聖者と呼ばれた
ラマナ・マハルシさんの写真に


ちょっぴり似ていたのを
思い出したのだ。


「なーんだ」


やっぱり
疲れたまってるのかなと
すこし笑った。

そして


ふと
我にかえり


次には
セールスの勧誘かなと
ちらり思ったのだが

そのニッコリした笑顔が
ずいぶん
おおきく、ゆったりしているように見えるし


張り詰めたり
ピンとしたところもなく

不自然なところも
まるでない、


宗教の勧誘かな?とも思ったけど
気構えた様子もない


しかして、、、


やっぱりシチュエーションが
変だ、
どう考えても


なぜ、
こんなくたびれたボクなんかに、
わざわざ声をかけてくるのだろう、、


あ、、、あやしい



しかして
よく見ても
害があるようには見受けられない



でも
なんだか
まあ、なんというか、
ちょっと変わった様子


浮世離れ、


そう、
浮世離れ、
してるように、も
見える



めんどうだったが、
いずれにせよ
この本について尋ねられたら
まあ、多少はこたえなければならないな、

なし男は思い直した


なにせ、大好きなこの本についての質問だったから


(つづく)

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