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#5. 思い違って、苦笑う

(前回まではコチラ)


「ほ〜、この本は…」


「ご、、、ご存知ですか?」


一瞬、
なんとなく、
ためらいのような
戸惑いのような


微妙な表情が見えた
気がした後に


「“コーヒー豆たろう“の人の本だよね」


知っているように見えたのは
自分の思い違いだったのかなと
なし男は苦笑いした。



気持ちが前のめりになっていたの
かも知れない



たしかに
ココニイルーヨさんの
1作目『コーヒー豆たろう』は

キャッチーで
一般的にも読みやすく

タイミングよく
有名な人に紹介もされたこともあり

ベストセラーとして売れたから
知っている人は多かった。

たしかに
面白くステキな話だった。


しかし
なし男的には

クセが強いし
読み手を選ぶだろうし


売上には
パッとしなかった
この2作目の方が


ココニイルーヨさんの
真髄と本領が発揮されているように思えたし


コーヒー豆たろうの原形とも言えるような世界で


読めば読むほど
味わい深さのある作品に思えて


もしかしたら
ココニイルーヨさんは
本当はこちらを描きたかったのかなと
思ったりもしていたのだ。


「しかし、、」


おじさんは続けた。


「ずいぶん擦り切れているね」


(つづく)


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