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#8. 半信半疑を突き抜けて

(前回まではコチラ)


「ごめんね、

 本を見せてもらって
 最初に言おうかとも思ったけど
 どうしようか
 迷ってしまったんだ

 まあ、信じられないだろうしね」


なし男は
戸惑っていた。

「え、、

 でも、写真の様子と全然違う、、」


本のそでの写真は
まったく違う人


たくましく
いかにも旅人というタイプの人だったからだ。



なし男は
まったく半信半疑だった。


「ハハハ

 だよね

 ホントは
 表に出たくなくてね。

 でも
 どうしても
 出版社の人が
 必要だというから
 友人の写真を出したのさ」


 たしかに
 ココニイルーヨさんは

 自分の著作以外で
 メディアにでたことはなく


 「おさんぽアルケミスト」も
 最後は未完で終わっているようだったが


 次の作品は出ておらず
 謎に包まれた部分が多くあったのだ。


「ほら、

 昔々の作家の
 カルロス・カスタネダさんや
 エンリケ・バリオスさんだったり、にも
 憧れたりしてさ〜」


 か、、かるい、
 かるくて、ポップ、


 色んなところに
 旅をしてたように
 書いていたから


 もっと
 どっしりとした

 そんなところもあっていいのかなー、
 そっちの方なんじゃないの??


 他人事ながら
 なし男は
 心の中での
 ツッコミが止まなかった。


 でも
 突然、
 すっと、
 おじさんが


 ほんわりしながらも
 なにやらモードが変わった
 (どうも何やら大事なことを言おうとする時のような、、)



 その瞬間
 ふわっと
 全体の雰囲気
 周囲の空気までもが
 変わったように
 なし男には思えた


「だからね、

 ホントは
 すこしコトバを交わして
 立ち去るつもりでいたのさ。


 でもね、、

 キミは
 本をGIVEしようとしてくれた、

 タイセツなモノこそを
 GIVEする



 ボクが
 旅で学んできた
 タイセツなことを

 自らの中に
 ずっと守り育ててくれていて


 トライしようとしてくれてる、、


 驚いたさ、 


 ボクが
 旅で出会えた
 純粋なスピリットを持ち得た
 多くの友、仲間、


 そんなスピリットを継ぐものが
 いた、んだよ、


 だから、、


 思わず、
 伝えてしまったんだよ」


 茶目っ気まじりな微笑みを
 少々ブレンドして


 ふわっとした中に
 すっと
 まっすぐ届くように

 おじさんはつむいだ


 それは
 半身半疑を突き抜けて
 信じるべきコトバとして

 なし男の内側に響いた。


(つづく)




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