芝居を演ること、芝居を観ること~舞台『あのよこのよ』~
演劇の魅力・面白さは「見立て」にある。
劇作家・演出家・俳優の野田秀樹氏は、そういったことを口にする。
舞台『あのよこのよ』(青木豪作・演出。以下、本作)は、まさに野田氏の言葉どおりの、少し硬く云えば「"芝居・演劇"そのもののメタファー」といった作品である。
「見立て」を換言すれば「(観客の)想像力」であり、誰も見たことのない明治初期の、しかも、実際にはなかった出来事の物語に夢中になることでもある。
しかし本作はそれだけでなく、物語の構造、セリフ、演技、衣装はもちろん、セ