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木曜日の読書

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木曜日に投稿する本に関する記事
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記事一覧

俳優の身体性~松尾スズキ『演技でいいから友達でいて 僕が学んだ舞台の達人』~

自分がこの"note"に書くようになって、他の人の記事を読むようになった。 とはいえ、読むのほ…

アンマchan
3日前
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第33回日本映画批評家大賞 授賞式

2024年5月22日。東京・有楽町の東京国際フォーラム ホールCにて、『第33回日本映画批評家大賞 …

アンマchan
10日前
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斎藤美奈子著『挑発する少女小説』

映画『水深ゼロメートルから』(山下敦弘監督、2024年)は、補習と称して教師から、水を抜いたプ…

アンマchan
2週間前
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何故働くのか、何故本を読むのか~島田潤一郎著『古くてあたらしい仕事』~

2024年のGWが終わった。 世間は「最大10連休」と騒ぎ立てたが、職場はカレンダーどおりだった…

アンマchan
3週間前
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歌の力は凄い!~映画『ラジオ下神白』~

震災なんて無かった方が良かった。 もちろん、そのとおりだ。 2011年の東日本大震災では自然災…

アンマchan
1か月前
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原作ものの映画を撮る~西川美和『スクリーンが待っている』~

ここ1カ月の間に、偶然にも、原作ものの映画制作についての本を立て続けに読んだ。 一冊は、『…

アンマchan
1か月前
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渡辺芳子著『夢さがし アルフィー・高見沢俊彦物語』&『THE ALFEE SUMMER EVENTS 1982-1991 永遠の夏』『THE ALFEE STAGE PROJECT』~

40年以上も前の出来事だ。 2024年現在、多くの人にとってアルフィー(現・THE ALFEE)は、物心ついた時から「スターバンド」だっただろうし、毎年夏に大きなイベントライブをやっていたり、クリスマスにも毎年必ず武道館ライブを行うことを知っている人も多いだろう。 しかし、1983年8月24日、彼らにとって初の武道館ライブは「異例」ー「事件」と云っても過言ではないほどーだった。 何故なら、当時の彼らには「ヒット曲がなかった」からだ(後述するが、同年発売の「メリーアン」は武道館

中島たい子著『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』

『パリのキッチンで四角いバゲットを焼きながら』(幻冬舎文庫、2024年。以下、本書)の著者・中…

アンマchan
1か月前
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私はどんな本を読んだらいいですか?~なだいなだ著『娘の学校』より~

なだいなだ著『娘の学校』(ちくま文庫、2023年。原著は1969年刊。以下、本書)の「指導にならな…

アンマchan
1か月前
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原作と映画の素敵な巡り会い~森下典子著『茶の湯の冒険 「日日是好日」から広がるし…

2024年が始まって間もない頃、テレビドラマ化された漫画を巡って、とても悲しい出来事があった…

アンマchan
2か月前
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これを書いているのは誰? 「わたしたち」って誰?~松浦理英子著『裏ヴァージョン』…

読み進めるうちに、嫌悪が混じった感情が生まれ、混乱した。 松浦理英子著『裏ヴァージョン』(…

アンマchan
2か月前
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石田五郎著『天文台日記』

映画『夜明けのすべて』(瀬尾まいこ原作、三宅唱共同脚本・監督、2024年)で主人公2人が勤める…

アンマchan
2か月前
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多和田葉子著『献灯使』

デストピア小説というものがある。基本的にその物語世界は、空想或いは創造で現実ではないが、…

アンマchan
2か月前

植本一子・滝口悠生著『さびしさについて』

自分が知らなかったことを知り、経験していない(できない)ことを疑似体験できるのが、読書の醍醐味の一つである。 それが、最先端や専門的な知識を得たり、過ぎ去った遠い日々やまだ見ぬ未来、或いは全く架空の世界を体験することだけを意味しないのだと、植本一子・滝口悠生著『さびしさについて』(ちくま文庫、2024年。以下、本書)を読んで改めて実感した。 本書は、2022年に自費出版された、2021年11月~2022年4月まで写真家・植本一子と小説家・滝口悠生の間で交わされた往復書簡集『ひ