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シニアになって働く意味を考える⑭ ~10社に勤め、山あり谷あり、紆余曲折、多事多難、波乱万丈、奮闘努力、成功裏?~

 定年前後のシニアに「働く意味」についてインタビューした記事です。一人一人のインタビューを積み重ねて、「働く意味」のスペクトラムを描けたらいいかなぁって思っています。
 その切り口を「働く理由の8区分」から考えます:カネ、自己実現、社会貢献、承認欲求、自立、地位獲得、他者との絆、その他(仕事があるという幸せ、色々な経験、不安の解消など)

10社に勤め、山あり谷あり、紆余曲折、多事多難、波乱万丈、奮闘努力、成功裏?

 Nさん(男性)は現在66歳。昨年(2022年)定年退職され、現在は個人事業主として技術コンサルとして独立しながら、大学の博士課程(社会人選抜)でも研究生活中。
 いつもの仕事人生満足度曲線からご覧ください。山あり谷あり、紆余曲折、多事多難、波乱万丈、奮闘努力、成功裏、等々どんな表現が当てはまるんでしょうか?Excelの多項式の近似曲線も描いていただき、人生満足度は右肩上がりの極値を持たない3次関数のようです。スゴイ!

 高専卒業後、工場勤務として就職するも将来性に不安を持ち大学に進学。大卒後からは一貫して技術研究職として、昨年65歳で定年退職するまでに合計10社に勤められてきました。そして現在、博士課程でも研究を続けられています。

10社も経験するってどんなですか?

 「転職するのってとてもエネルギーがいるんですよ」(同感です。ボクの場合、転職は一回だけですが)と言いながら、「自分ではいい研究ができていると思っても、一向に待遇が良くならない。やりたい新しいテーマに取り組ませてもらえない。だから自分のやりたい研究ができそうな所へ、働く場所を移していった」そうです。
 とは言え、超ブラック企業みたいな会社や素人オーナー経営の会社もあったり、研究委託契約を取るための営業までやらされたり、報酬のアップダウンのふり幅も大きかったりと大変でした、と。

そのモチベーションは何ですか?「子どもの頃からの夢」

 「子どもの頃からの夢です」と。(えっ、なんですか?よくよく聞いてみると)
 「(Nさんのなりたい人の)理想は、手塚治虫の(鉄腕アトムの父親代わりであった)お茶の水博士です、あるいは(アトムの創造者兼父でもある)天馬博士」
 「壊れた真空管のTVを家まで修理しに来る電気屋さん。何も映らなかった画面を魔法のように直して帰っていく実在のスーパースターでした」
 この人たちが理想です。そして、研究テーマは「直感的に」着目したものを大事にし、すぐにはお金にならなくても、あれこれ挑戦してみるということが重要だと言います。
 ここではその内容について詳しくは書けませんが、確かにNさんの取り組んできた、あるいは取り組まれている現在の研究テーマは、過去に光が当てられずに取り残されてきたものや、実現に疑問視されてきたものが多かったです。ところが今やどれも省エネ時代に注目されている技術ばかりでした。

今後は、研究してきたことを世の中に返すことで収入を得る

 Nさんはすでに、これまでのキャリアと技術士の資格を武器に、個人事業主として委託契約の技術指導コンサルとしても活躍されています。博士号の学位をとってさらに委託契約先の幅を広げ、技術者不足に困っている中小企業の役に立ちたいと考えてられます。

「オレ、何で働いてるの?の図」

 著者の勝手な指標で作った「オレ、何で働いてるの?の図」を作ってもらいました。Nさんのは、こんな感じです。

 Nさんの労働観、このレーダーチャートを見れば納得です。子どもの頃の夢を実現しつつ、それが社会貢献にもなり、しっかりおカネもいただく。
 退職後は自然豊かな田舎の山小屋に住んでいるそうで、自立の得点はフルスコア。うらやましいです。ボクには、なかなかこうはいきませんが、たくさん学ばせていただきました。

後記:


 後日、メールをいただきました。
『イノベーションは100発撃って3つ当たればいいので、あれこれ挑戦してみるということが重要。日本の会社(特に大企業)は、株価を上げ内部留保をためるばかりで、新規性のある研究提案には、なかなか「うん」と言ってくれませんでした。(海外他社製品が)新聞発表になる頃にはもう手遅れです。』
 (著者談)かつての技術大国ニッポンはもうどこにもありません。我々は個人戦で生き残るしかないのでしょうか?

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