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009.本当は悲しいインボイス制度の話

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2023年10月から始まるインボイス制度。
制度の内容は色んな方が解説しているのでここでは割愛します。

「給与・外注費問題の決着」

インボイス制度の本質は、ここにあるんじゃないかと思っています。

給与と外注費の争い

事業をされている方ならピンとくるかもしれませんが、
雇用して給与を払っているのか、単なる業務委託先への外注費なのかによって消費税の扱いは大きく異なり、事業者が税務署と揉めることがとても多い論点です。

どういうことかを、私がAさんに帳簿の入力を月22万円でお願いした場合で考えます。

■Aさんを雇用した場合
給与には消費税がかかりません。すなわち、事業主である私は給与を22万円Aさんに払っても消費税控除のメリットはありません。
そればかりか、社保負担、源泉徴収、年末調整、簡単にクビにできないなど、負担が増えます。

■Aさんに業務委託をした場合
同じ22万円をAさんに支払っていたとしても、
「本体20万円、消費税2万円」
みたいな会計処理ができ、2万円を消費税の計算から控除できます。

給与に係る諸手続きや社保負担がなく、いつでも契約解除できる外注費のがめっちゃ得じゃんって思いますよね。
同じ支払額で、ですよ?
できたら事業者は外注扱いにしたいんですよ。
でも、税務署は消費税の納税が減ったらおもしろくないですよね。
だから税務署はなんとしても「給与」認定したいんです。

誰が得しているの?

インボイス制度が始まると、事業者は、免税の外注先に対する、上記消費税「2万円」は控除できなくなります。
すなわち、22万円を給与にしても外注費にしても消費税の納税額は変わらないことになります。
だから税務署としても、まぁどっちでもいいや案件になる可能性が高いです。※源泉徴収義務など細かい話はありますが。

今まで免税事業者は10%得してたんだから文句言うな、益税を除外するんだ!

こんな論調がよく見受けられますよね。
確かにその側面もあるにはあるんですが、会計事務所経営者の立場からみてると、それだけじゃないんですよ。
フリーランスのような外注さんは、別に10%で上乗せして請求して、その10%儲けてます、みたいな人ばかりじゃないんですよ!

「22万円ね!」

って契約して、
「まぁ外注だろうが給与だろうがどっちでもいいや、確定申告めんどくさいけど」
ってぼんやり思ってた人が、インボイス制度により

「お前免税事業者だから2万円いらないよね?20万にするわ!」

っていきなり危機にさらされるケースが多いんですよ。
だったら最初から、給与にするなら22万円、外注にするなら24万円(消費税2万円)の選択を外注先にさせとけよ、と。

結局弱肉強食資本主義により、強い側がどんどん強くなっていきその差は広がっていくんだろうなーと感じます。

私の思うところ

インボイス制度はめっちゃ賛成です。当然益税は除外すべきです。
税務署との、消費税に関する不毛な「給与か!外注費か!」論争もなくなりそうです。

ただ、インボイス制度開始による、外注先に対する、免税事業者であることを理由にした値下げ交渉や外注先変更、はたまた課税事業者になるように圧力をかける、などのフリーランスが不利になるような行為は固く禁止すべきだと考えます。
これまで額面契約されていた弱い立場にある外注先が、不利になるような制度改正であってはならないと思います。

ふぅ。。。
長い文章書くとめっちゃ時間かかるし疲れるし続かない気がする。。。
ちょっと熱くなった時だけにしよう。
普段はもうちょっとライトに。。。

◆ひとこと税務会計


インボイス制度めんどくさすぎる。。。
毎回請求書に番号書いてあるか確認せなあかんの?
100点の帳簿作るの多分無理。絶対みんな無理そんな暇じゃない。

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