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公務員を辞めて民間企業に転職してしまっても、また公務員に戻れるのか

※注意:以下の「公務員」とは「事務系地方公務員」を指します

この記事は「公務員辞めて民間企業に転職してもまた公務員に戻れるのか」という疑問にYESという答えを記したものだ。
筆者自身「官→民→官→民→官→民」という通常ではありえない転職を繰り返している。その経験から、今回は主に「志望動機」と「面接」に触れたいと思う。

1.こういう人に向けて書きました

公務員を辞めて民間企業でやりたいことやるんや!
しかし、高い志を持って辞めた人の中には、「理想と違った。。やっぱり公務員に戻りたい・・」「民間企業のスピード感についていけない」「家庭の事情で地元に帰りたい」・・など、やっぱり辞めなきゃよかったと後悔している方も結構いるんじゃないかと思う。

また、「公務員を辞めて民間企業に転職したいけど、うまくいかなかったらどうしよう」と迷っている人もいると思う。公務員を辞めると仮に親や家族に相談しても、大方反対されるだろう。バブル崩壊を経験した親世代から見たら、自殺行為に見えるに違いない。私も役所を辞めたいと親に言ったとき、烈火のごとく叱られた経験がある。そういう環境にいる人からすれば、民間でやりたいことをやってみたいと思うが、もう公務員に戻れないことと天秤にかけるとどうしても現職にしがみつきたくなるはずだ。

しかも、自治体の民間企業経験者枠はどこも倍率がばか高く、採用者のインタビューは東証一部上場企業のエリートサラリーマンの顔が並ぶ。(倍率が70倍を超えるところもある)元公務員の出戻り可能性についてネットで調べても全然情報なく、「そんな軟弱なやつがまた採用されるわけないだろ」みたいなコメントもあり、余計に自信がなくなる。

しかし、安心してほしい。

民間企業に仮に転職したとしても、公務員には戻れる(ので、是非民間企業でやりたいことを挑戦してほしい)。

時代も変わりつつある。自治体は多様な経験をした人を求めているし、そもそも行政経験がある人は教育コストがかからないし、即戦力で使えるというメリットがある。個人的には3回くらい転職しても問題ないと思う。

筆者自身、官→民→官→民→官という通常では考えられない転職を繰り返している。官はすべて政令市、都道府県庁クラスだ。しかも、官に戻るときはその都度、複数の自治体に合格している。

筆者の経験からすると、公務員を辞めて民間企業に行って、しかも民間企業を1年程度で辞めてしまっても受け入れてくれる自治体は確実にある(自分がそうだったから)。もちろん万全の対策が必要だが(後段、また後日別記事で展開予定)。

2.志望動機が思い浮かばない人に

一回辞めた人が出戻りするって、志望動機どうしたらいいのよ・・筆者も悩んだ。しかし、転職を繰り返すうちに以下のやり方で問題ないと自信を持てるようになった。

「現職が嫌になった」はもちろんNGだが、それ以外であれば「正直に話している風」を出せばなんでもよい。
筆者の経験や合格者のインタビューから、話の内容自体は実はあまり問題ではないと感じている(もちろん書類選考があるなら自治体研究して、自分のやりたい事業をしっかり書く必要がある)。

ポイントは、堂々と正直に話すことだ。
例えばこんな理由でもよい。「実家の母親の介護が必要になった。」「民間企業に進んだが、公益的な仕事の中で自己実現を果たしたい(未来志向的)。」「転職先が経営悪化で破綻しそう。」など。ともかく一度はやりたいことを実現するために民間企業に行ったが、そうはいっても家庭環境や背景が激変したのでどうしても戻りたい!と正直そうに言うことだ。

こんな感じでこれまで10近くの自治体を受けたが、面接で「本当?」とか「うそでしょ」なんて言われたことは一度もない

結局仕事とは、お金を稼ぐ手段であり、自分のバックグラウンドと折り合いをつけて従事するものだ。公務員の面接官も仕事と生活の調和については理解があるはずだ。ちなみに私の同期の民間企業出身者の志望動機をいくつか紹介したいと思う。ちなみにどれも転職歴ありの人の動機だ。

・転勤ばかりでこのまま親の死に目に会えないのは嫌だ。
・縁もゆかりもない地域だが、その自治体がやっている事業が面白そうで自  分のキャリアが行かせそうだったから。
・残業が多く、ワークライフバランスの取れた職場で働きたい。
・子供が喘息で田舎に引っ越したい。

どうだろうか。特にカッコつけた動機はなく、正直に話したものだ。嘘でもかまわないから、ともかく正直に堂々と話せばよいと思う。

3.通常枠で受けるか民間企業出身者枠で受けるか

 30代以下ならば通常枠で受けることをお勧めする。民間企業出身者枠に比べれば倍率が低いことが多く、過去に受けたことのある人なら、勉強さえすれば筆記はパスできるはずだ。最近は教養試験のみだったり、専門分野も簡易的にしか問われない(いわゆるC日程)ところも多い。筆記後の面接は倍率3倍~4倍という低倍率のところもある。
 30代以上の人は年齢制限で通常枠を受けれなくなってくる。その場合は民間企業出身者枠で受けるしかない。自治体によっては70倍を超える難関だ。ただ、筆記試験がなく、書類審査後に面接に進める場合や、対策のあまりいらないSPIのようなテストで最初にふるいをかける自治体が多く、面接にさえ進めれば倍率は6倍くらいからスタートというところもある。

倍率というのは数回にわたる試験の最終的なものであり、最初の関門さえクリアしたら、倍率は一桁に落ちることが多い。2倍でも高い!と言われたら元も子もないが、新卒就職活動で人気企業の倍率が50倍超えなどザラであることを考えても倍率6倍などは現実的に狙えるところではないだろうか。

4.元公務員が縁もゆかりもない自治体の採用試験に合格できるのか


結論から言うと「受かる」

筆者は、住所地の2県隔てた県庁を受けたが、問題なく受かっている。ちなみに、同期にも他県出身者などザラにいたし、面接で初めてその地域に来たというツワモノもいたが、結局合格している。縁もゆかりもない町役場も合格した経験から基礎自治体であっても問題なく挑戦してほしい。

志望動機は、「旅行して好きになった」程度で受かったこともある。
面接時間は限られているのだから、それよりも「この人と一緒に働きたいか」というところの心象のほうが重要なのだと思う。

5.面接時の注意点

面接では「また辞めたくなったら?」という質問は避けられないだろう。
ちなみに筆者はこう乗り切った。

「辞めません」の一言を快活に放ち、すでに話した志望動機を簡潔にして繰り返す。

シンプルだが、これが一番効く。言い訳みたいなことを考えてグダグダ話すくらいなら、「今回は最後と思って面接に臨んでおります!」とスパッと切り抜けよう。

今はそうかもしれないけど、やっぱり辞めたいと思ったら?という第2の矢が飛んで来たら「繰り返しになりますが、今回は最後と思って面接に臨んでおります!」だ。

さらに「最後に一言言いたいことはありますか」は転職歴を前向きにアピールできる絶好のチャンス!
・複数の職場で様々な視野を得たこと。
・自分にとって必要な時期に必要なことをしてきた
・貴自治体ではそれらを生かしたい。
これらをしっかりとアピールすることを忘れずに。

6.おわりに

上記に懐疑的な人もいるかもしれないが、筆者は毎回5位以内の順位で合格しているので自信をもって言えることだ。
過去の自分に後悔することよりも、次に働くであろう自治体での自分をしっかり想像して、前向きに明るく話せば合格に近づけるはずだ。

■次回以降の記事では以下の点に触れたい
・転職の時に資格取得は役立つか
・社会人の教養試験の勉強方法

需要があるのならより具体的な内容にも踏み込みたい。皆さんの背中の後押しになれば幸いだ。

標題画像:santiagotorrescl95さまによるPixabayからの画像

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