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育児でととのう瞬間

自由に歩き、小走りまでできるようになった1歳半の次男。

一気に行動範囲が広がり、好奇心にメラメラ火がつき、その火の粉をまき散らしている。

拾ったものを何でもゴミ箱に捨てたり、本当にガスコンロに火をつけたりと、ひとときも目が離せない。

お気に入りのクシをゴミ箱から発見して悲鳴をあげる長女。その様子を見て手を叩いて喜ぶ次男。

喉乾いたウーウー。くれくれアピールしてくるので牛乳をあげたら、それはもう炎天下1杯目のビールみたいにゴクゴク美味しそうに飲む。

大きな丸い白ひげを口の周りに作り、かわいいかよ。

と感じた刹那。

ブッシャ―!!!


すごい勢いでブブブブッ〜ブ~と絞り出すように口から牛乳を撒き散らす。

ぎゃー!奥さんの悲鳴が家にこだまする。

やんちゃな次男のおかげで賑やかな家が、さらに騒がしさを増している。

先日、朝一、眠い目をこすりながらお弁当を作ろうと食器棚を開けると……

ギャー!!ボールからクレイジーチキン!

朝から心臓止まるやん。

こんなイタズラも大好きで、色んなものがなくなったり、発見されたりと、迂闊にモノを置いておくこともできない。

平日の休みは、奥さんも仕事、子どもたちは学校の為、夕方まで2人で過ごすことが多い。

家にいる間は後ろから息子を追いまわし、朝夕1時間ずつの散歩、抱っこひもで寝かしつけとクタクタになるけれど私にとって貴重な時間だ。

夕方、次男を庭で遊ばせながら玄関の掃除をしていると中2長男が学校から帰ってきた。

「2人で掃除してるの?可愛いね」

ふと次男を見ると、身体の倍はあるデッキブラシで私の真似をして掃除していた。

兄ちゃんに声をかけられ、何かを思い出したかのように次男がデッキブラシをひきずりながら家の外へ駆け出していった。

おい、ぼうやよ。どこへいく……?

どうやら思い通りにブラシが言うことを聞かない感じがツボらしい。こうなると制御不能。デッキブラシを連れながらどんどん歩いていく。

どこまでいくんや?

純粋に興味が湧いてきて手にほうきを持ったままついていくことにした。


犬の散歩気分でどこまでも歩いていく次男

結局、家から500mほどブラシを散歩させると、もう飽きてしまったのか、スイッチが切れたおもちゃみたいにブラシを投げ、その場に座り込んでしまった。

いやいやいやいや…

そして上目遣いでウーウー言いながら私を見る。これは抱っこサイン……。

どうするねん…そして私はなにもの…

夕陽に照らされ、ほうきごと伸びた影がなんともおかしくて思わず撮った写真。

ほうきを持って抱っこして帰れるのだろうか?困って思案していたら絶妙なタイミングで中2長男から連絡が来た。

”どこいるの?”

場所を伝えると飛んできてくれた。急に家からいなくなったので心配して見に来てくれたそうだ。

でもほうきを持った私を白い目で見ながら、めっちゃ引いとるやん。ほうきかブラシ、どっちか持って欲しいとお願いするが「絶対ヤダよ!」と全力で断られる。

「しょうがないな、ヨイショ」

代わりに逞しくなった大きな身体を折り曲げ、弟に優しく微笑みかけながら抱っこしてくれた。
優しい兄ちゃん。イケメンかよ。

息子と一緒に過ごす1日。

ほとんど気忙しく過ごしているけど、

無邪気な笑顔を見たり…
安らかな寝顔を見ていたり…
私より少し温かい肌に触れたり…

子の時間軸にどっぷり浸かり、ゆったりとした時の流れに身を任せた瞬間、頭の芯から溶けていくような「ととのう」感覚になることがある。

サウナみたいに心身共にリラックスできるわけではないけれど、確実に頭の中が解きほぐされている。今日もその瞬間、私は仏さまみたいに優しい表情をしていたはずだ。


こんな時間を家族と共有できることが嬉しい。

夕陽を背に受け、さらに伸びたほうきとブラシの影を見て長男と笑いながらポカポカとした気持ちで家路に着いた。






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