しがらみだらけの世の中で、どうすれば自由に生きられるか?【田中元子対談Q&A】
Q:コミュニティを育む「器」としての自分に悩むことはありますか?
――古民家を使った居場所づくりの仕事をしています。常識や正義に厳しい環境に育てられたせいで、相手も自分も管理しようとしてしまって、つらそうな方たちが多いなと思います。そんななかで、それぞれの正義がぶつかり合い、カオスにいろんなことが起こる日々を過ごしているのですが、自分がそれすらもありのまま受け止められる器であることの難しさを感じています。「あの言葉は器としてどうだったかな」と問う毎日です。元子さんは器として、迷ったり悩んだりすることはありますか。
田中元子(以下、田中):ご質問をありがとうございます。ほとんどないです(笑)。
小林弘人(以下、小林):(笑)。
田中:なぜかというと、私の命なり、何か権利なりを意図的に奪おうとしてるもの以外は、だいたいどうなってもいいと思っているからです。私はすごく諦めが早いかもしれません。すぐにどうなってもいいやと思えるし、そのどうなってもいいという状況も楽しいと思えます。そういう性格なんでしょう。
ただ逆に、意志にはしつこいです。自分がこうしたいとか、あれが欲しいとか、この人と仲良くなりたいとか、自由って何だろうって考え続けることも同じです。そういうことに対しては、すごくしつこいので、その割り切りがはっきりしてるところはあると思います。
ご質問に対してアドバイスすると、そういう秩序の面で人とぶつかったり、正しさって何だろうって悩むときにも、本当はその人も悪魔じゃないんだということは念頭に置いてほしいです。それが少し自分の気持ちをラクにするポイントだと思います。
Q:「オンラインサロン」はサードプレイスになりますか?
――お二人は、オンラインサロンのようなオンライン空間上のサードプレイスについて、どう考えられていますか。
田中:こうやって今も紙とペンを使っているぐらい、私はすごくオンラインの世界には疎いんですよ。小林さんはオンラインサロンもされているんですか?
小林:僕はけっこうやってきましたね。
田中:そうなんですね。小林さんのには入りたい(笑)!
小林:(笑)。でも、これはもう定説になっていることですけど、リアルで会っていると、オンラインサロンも活性化するんですよ。だから、ある種のサードプレイスにはなりえると思うんですけど、やっぱりハイブリッドであればという話なのかなとは思います。やっぱりヒューマンタッチは重要ですよね。
きっと人間の絶妙な機微というのは、携帯の周波数のように、微細な信号を出してるんですよ。それがなかなかオンラインだと拾えないけど、オンライン上でも顔は見知れるし、考えていることもわかってくるので、さらに会うことで上手くハマるケースが多いんですよね。
田中:なるほど。私はオンラインサロンは経験がないんですけど、今はお若い方でも、ご年配の方でも、社会には面白いことを考えてる人がたくさんいると感じます。既成概念にとらわれないで、本当に人にとっての豊かさについて、まっすぐに向き合う方がいます。
だから、今の希望のなさそうな社会、不安ばかりがある世の中にも、「この人は面白いな」とか、「この人とは気が合うな」と感じられる人がいるんだって知ることができる環境のひとつとして、オンラインにもすごく可能性を感じています。
小林:単純にオンラインなら、地理的な制約を超えられますからね。どこかに通わなくちゃいけないという制限は、とりあえず取っ払えるので。
田中:そうですよね。それが厳密にサードプレイスと言えるのかどうかはさておき、その機能として、リアルとは別の良さがあると思いました。
Q:不自由な組織の中では、どうすれば自由にふるまえるでしょうか?
――自治会やPTAなど、ルールや踏襲の多い既存の組織において、自由でいるにはどうすればよいでしょうか。自由でいたい人間は、そういう組織には入るべきではない?
田中:その組織がどんな組織かによると思いますが、ある程度アクションしても絶望的だったら、別に辞めてもいいと思います。アドバイスになっていないかもしれませんが、本当にそう思います。
行き場のないお気持ちはすごくわかります。私も仕事をしているなかで、人は束になるとバカになるんだと感じることがよくあります。一方で、束になった良さもあるはずなので、その良さが生かされている組織であれば、付き合っていくメリットはあると思います。
不自由な組織のなかで何か問題意識を感じて、自分で何とかしようしても手強いようなら……。ある程度は頑張ってもいいけど、時間の無駄になるのではないでしょうか。生きていられる時間は短いですからね。
小林:僕もそう思います。どうしても変えられないようなら、もうそこはすぐに逃げたほうがいいと思います。無駄に戦うよりも、その労力を違うところで使ったほうが良いかなと。
田中:そうなんですよね。先ほどのオンラインの話にも通じるのですが、そのストレスとはまったく違う別の世界線というものは、探せばいくらでも見つかります。それなのに何か一つの組織と戦っていると、「この世界はダメだ」という狭い思考になっていっちゃうじゃないですか。
小林:なっちゃいますよね。
田中:だから、そういうふうに自分の人生をストレスフルにしすぎないように考えて、組織とは付き合っていくのが最前だと思います。
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