ユキ

無為なままで

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四半世紀モノローグ

その重さに耐えられなくなり、いつしか恐れを抱くようになっていた「言葉」。救われたと感じる時、いつも隣にいたのは、会ったことのない、もうこの世に存在しない人の「言葉」。生身の人間に救いを求めたかったはずの私が、声をあげることを幾度も拒んできたのは、それを伝えることで目の前の人が消えてしまうという強迫観念にも似た思いにあった。 "自分の感情を伝えること" 人生のハードルを著しく困難にさせていたのは、 その行為の難しさにあった。 「もっと気軽に、気楽に。ただ伝えるだけ」 そ

    • 追懐のよすが

      #1 混沌と秩序の間に真理があるのなら、双方を経験した人間はもはや無敵。ふたつを知ってるから自分の現在地もわかるし、どこへだって行ける。まん中の世界を知ろうと追い続けることが、実は生きる醍醐味なのだとしたら、人生は余りにも短すぎる。決して取り零しなんてできないね。 #2 叙情的と叙事的。徹底的な叙事は、トラウマレベルの経験、飽きるくらいに自己を追究すること。感情の奥に潜み隠れている、核となる真実に気づいた、気づこうとする者。ありのままの事実を前面に押し出し、戦い抜き、炙り

      • 心を動かされる言葉には生命が宿っている。言葉が放出された瞬間、読み手は書き手の心を自身に透写する。それはやがて一筋の光となって人々を照らし始め、めぐりめぐって書き手はその広大ななにかに包まれることになる。書き手の生死は問わない。あの時たしかに私はこの手で、あなたの魂にふれたのだ。

        • だれかの金言が私に正しいとは限らない。自分の経験を基にし、相手の立場になれる人ほど、発する言葉も慎重になる。自分の金言が真理であり、目の前の人間にもあてはまると思い投げ込まれた言葉は無責任である。兎にも角にも、私の心は動かなかった。今や響かなくなった過去の亡霊たちよ。

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        四半世紀モノローグ

        • 追懐のよすが

        • 心を動かされる言葉には生命が宿っている。言葉が放出された瞬間、読み手は書き手の心を自身に透写する。それはやがて一筋の光となって人々を照らし始め、めぐりめぐって書き手はその広大ななにかに包まれることになる。書き手の生死は問わない。あの時たしかに私はこの手で、あなたの魂にふれたのだ。

        • だれかの金言が私に正しいとは限らない。自分の経験を基にし、相手の立場になれる人ほど、発する言葉も慎重になる。自分の金言が真理であり、目の前の人間にもあてはまると思い投げ込まれた言葉は無責任である。兎にも角にも、私の心は動かなかった。今や響かなくなった過去の亡霊たちよ。

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        • 日々
          11本
        • 記憶
          9本

        記事

          過去に生きている自分が未だ私のなかで存在している。日々過ごしていると、意識もしなくなるけれど、ふと立ち止まったとき、ほんとうの気持ちがあふれ出て止まらなくなる。いろんな情報にかき消され、わからなかった自分の気持ち。外界の音は聞きたくない。今はただ、私の声にそっと耳を傾けていたい。

          過去に生きている自分が未だ私のなかで存在している。日々過ごしていると、意識もしなくなるけれど、ふと立ち止まったとき、ほんとうの気持ちがあふれ出て止まらなくなる。いろんな情報にかき消され、わからなかった自分の気持ち。外界の音は聞きたくない。今はただ、私の声にそっと耳を傾けていたい。

          人生、ずっと同じことを繰り返してきたのかなって思ってたけど違った。もがいてたんだ。だからふと活路が見出せて、闇から抜けきる瞬間が何度もあったんだ。抜けきることが存在していたということは、ちゃんと戦った証拠。現実を上手く生きることだけが、「戦う」ということではないのかもしれない。

          人生、ずっと同じことを繰り返してきたのかなって思ってたけど違った。もがいてたんだ。だからふと活路が見出せて、闇から抜けきる瞬間が何度もあったんだ。抜けきることが存在していたということは、ちゃんと戦った証拠。現実を上手く生きることだけが、「戦う」ということではないのかもしれない。

          しきりに惹かれてやまないもの。目を捉えて離さない出来事。繰り返し衝突してしまう内的側面。それらを意識化し、向き合い続ける道は、やがて個性の発見へとたどり着く。個性が導き出された時、意識化することなく、自然に人は、より広い枠組みの外で生きるができるようになる。

          しきりに惹かれてやまないもの。目を捉えて離さない出来事。繰り返し衝突してしまう内的側面。それらを意識化し、向き合い続ける道は、やがて個性の発見へとたどり着く。個性が導き出された時、意識化することなく、自然に人は、より広い枠組みの外で生きるができるようになる。

          この暗闇がどこへ繋がっているかわからないまま、進み続けている10年前の私へ。この世にはどうすることもできないでありふれている。でもその抗えない力に流され、考えなくなったら、そこで終わってしまうんだ。何故を問いかけ続けた先に、あなたの景色が待っている。腐り果てるな。眠るなよ。

          この暗闇がどこへ繋がっているかわからないまま、進み続けている10年前の私へ。この世にはどうすることもできないでありふれている。でもその抗えない力に流され、考えなくなったら、そこで終わってしまうんだ。何故を問いかけ続けた先に、あなたの景色が待っている。腐り果てるな。眠るなよ。

          宿世

          どこまでも近づけなかった。 最適な距離を探るために待ち続けることはできなかった。 触れた目には、数えられるくらいの可能性が広がっていた。 澱みなく映るその姿に、ふたりは新しい自分をみた。 伝えたい言葉はいつもありふれていて、飾れば飾るほど陳腐なもののように思えてならなかったその「言葉」は、それほど重要ではないことを意味していた。 「言葉」なんてただのまやかしに過ぎなかった。いくらなにをどう伝えられても、私に響く時、それが本物だとすでに「心」がどこまでも理解していたからだ

          かつて忘れ去られた匿名性のある人々、無意識に通りすぎる狭間で揺れ動く日々の事情。自我の声を透明にし、いま再び眼前に呼び仰せば、何時何時でも帰れるであろう。哀愁漂う我らの故郷に。

          かつて忘れ去られた匿名性のある人々、無意識に通りすぎる狭間で揺れ動く日々の事情。自我の声を透明にし、いま再び眼前に呼び仰せば、何時何時でも帰れるであろう。哀愁漂う我らの故郷に。

          春の記憶にあなた

          季節を重ね、春を待った。 春めいたあの日、私はあなたに会いに行った。 ほんとうに優しい目をしている。 それは今も変わらずで、なんだかとっても嬉しくなった。 穏やかに時が流れ、心があったかくなる、 日常の花束みたいな人。 寄り道をして、 通れない道が次第にわかるようになった。 通れないと思っていた道は、 いつのまにか通れるようになっていた。 でも、ページの続きはめくれないでいた。  最後の最後、なにも伝えないまま、 風向きを読むのに必死だった、そのまま。 大切な

          春の記憶にあなた

          あなたに照らされて

          #1自分じゃない何かを変えようとすることは、 いつからかしなくなった。 変えられないものと変わっていくもの。 変えられないもののために走り回っていたから、 いつも憔悴していた。 コントローラーを握っていたのは私ではなかった。 でもずっと私が握っているのだと思っていた。 私さえなんとかすれば、現状打破できる。 でも現実はあっけないくらいに私を素通りする。 私のコントローラーは私以外の何者かが握っていた。 我が物顔で太々しいほどに居座っていた。 コントローラーの動かし

          あなたに照らされて

          無理解の果て

          #1ずっと分からないことがある。 「必要、最善なことは常に今に起きている。逃げずにきちんと向き合い続ければ、過去の自分も癒される。この世はそんなにむずかしくない」 「今の場所で戦え。賢くなるな。分かろうとするな。なにかもわからず戦った先で見えてくるものがある。見えた先に大きな運命が待っている」 ふとYouTubeを見ていて、発言している人がいた。 わたしはなぜかこの発言に対し、違和感を覚えたので、 ない頭なりに考えてみることにした。 #2ドラマ「逃げるは恥だが役に立つ

          無理解の果て

          心騒がしい日も、時が過ぎ、いつかすべて灰になったあとできらきらと輝く記憶になることをわたしは知っている。だからどんな日もかけがけがなく、うつくしい。ずっと覚えている。忘れることも失われることもない。

          心騒がしい日も、時が過ぎ、いつかすべて灰になったあとできらきらと輝く記憶になることをわたしは知っている。だからどんな日もかけがけがなく、うつくしい。ずっと覚えている。忘れることも失われることもない。

          二月日記

          #1年が明けて、早数ヶ月。 noteに心情を書き綴っては、悩んだ。 自分はなにを大切にし、生きたいのか。 過去の記憶との折り合いのつけ方。 手放したい人間関係や環境はなんなのか。 だれと会話するわけでもなく、 只々、自分の心と対話し続けた。 ハッとさせてくれたのは、 本、音楽、映画、YouTube、過去の記憶だった。 今のわたしにスッと入ってくる。 理解しなければとかではなく、腑に落ちる感覚。 YouTubeではおもしろい人を発見した。 真理とも思える考えにも

          二月日記

          いつかの君へ

          あの時かけてくれた言葉がよくわからなかった。 でも本当はわたしのためを想って吐いてくれた 言葉だったんだ。 表面をただなぞるだけ、 真意を理解できるほどの自分ではなかった。 きっと、あなたの好意に甘えていたのだ。 境界線を引いて伝えてくれたあの言葉の意味が、 やっとわかったよ。 あなたはいつもわたしの一歩先を見ている。 何年経ってもそれは変わらない。 奥底にこびりついたものを引き剥がすように。 あなたの言葉は私に忘れかけていた大切ななにかを 思い出させてくれる、そ

          いつかの君へ