小林信司(こばやし・しんじ)

1969年兵庫県西宮市生まれ。家元池坊華道会。作家。近著に『覇者早稲田に学んだ核融合の…

小林信司(こばやし・しんじ)

1969年兵庫県西宮市生まれ。家元池坊華道会。作家。近著に『覇者早稲田に学んだ核融合の神学』パレードブックス2023

最近の記事

信華傳

覇者早稲田に学んだ核融合の神学 抄本 大学在学中、虹の架け橋となるべく、外交官の道を志して、二十代で渡米し、その後機会があるたびに、三十四ヵ国に渡る海外放蕩旅に出た。三十代でフランス語の恩師エリック・プリユ先生と出会い、厄年の四十代で東日本大震災の福島第一原子力発電所事故を経験するも、ギリシャ文明において、哲学者デモクリトスが名付けた、物質を構成する最小単位であるアトムという核が、悠久の時を経て、原爆開発に始まる核科学史が、冷戦による核兵器拡散の課題と共に、核の民生化に伴う

    • 珍島の海割れ

      司馬遼太郎は朝鮮半島と日本との関係で、日本は秀吉の朝鮮出兵と太平洋戦争の二度の禍根を遺した、と述べている。なかでも外交復権のため取り持った朝鮮通信使の日韓関係に果たした役割こそ、自らの日韓関係の外交復権と合致し重なり、モーセの十戒にも匹敵するような珍島割れの奇跡を起こしたのに他ならない。足利幕府の南北朝時代から、自伝を取り混ぜながら日韓史を省みたい。新羅飛鳥時代の仏教伝播に触れる他は、南北朝時代以前は割愛としたい。チョーヨンピルの釜山港に帰ったら、天童よしみの珍島が割れたとい

      • 21世紀の戦争

        20世紀前半、2つの大戦が、リアルな世界でカタストロフィーとして終焉を告げると、米ソ核軍拡冷戦が20世紀末まで続いた。英、仏、中、イスラエル、パキスタン、インドにも核は拡散した。21世紀に入り、米中新経済冷戦は、軍事のレベルへとエスカレートしようとすると同時に、米朝核緊張が生じている。北朝鮮は、20世紀始まった核保有大国の7番目に仲間入りを果たそうとするばかりか、ICBM大陸間弾道弾ミサイルの開発も成功させようとしている。こうしたリアルな世界で核やミサイルが満ち溢れ、一触即発

        • 覇者早稲田に学んだ核融合の神学

          令和五年(ニ〇ニ三年)、中国の不動産バブルが弾けようとする現在、外需頼みの日本経済は低迷を続け、絢爛たる欧米文化の衰退に代わって、台頭する躍動するアジアが存在感を示す、宗主国英国を凌ぐ香港、シンガポールは遥か雲の上、経済規模で、勢いのある先端半導体や有機ELで先頭を疾走する韓国や台湾など、新興国に益々追い抜かれ、タイやベトナムなど若年層による労働力を基調とするASEAN諸国にも猛追を許し、世界第二十四位にまで凋落していく斜陽にあるかに見える。 一方で、昭和という時代が終わり

          「明治天皇」ドナルド・キーン著を読む

          平成三十年二〇一八年十〇月二十三日に、明治大政奉還百五十周年記念を迎えたことから、これまでの祖国の近現代史を顧みるとともに、今後の国家百年の計を展望して、国家と共にある我が身の日本人としての自覚の覚醒を試みることとして、平成十九年二〇〇七年、日本学研究者でコロンビア大学名誉教授ドナルド・キーンが著した「明治天皇」の訳本が、角地幸男氏の手で文庫化されたことで、私も皇国史上、最も重要な明治天皇について整理することとした。 明治天皇祐宮が誕生した頃、朝廷は、攘夷の嵐に揺れていた。

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