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五月雨、病


 5月は誕生月だ。気づけば僕も数週間で30歳になってしまう。
『30』
 何とも言い難い、多くも少なくも無い中途半端な数字であろうか。年齢で言えば40歳程大人な雰囲気は無いし20歳程フレッシュさは無い。集客で言えば一般的なアーティストレベルから言えば少ないし、無名無所属のアーティストとしては多い。なんだか煮え切らない。アニバーサリー感も薄い。
 そもそも自分の誕生日に興味が無い自分にとって年齢とは必要書類や妙ちくりんなアンケートに必要な記号でしかないのだ。卑屈だということは(重々)理解しているが自分が祝福される様な人間じゃないと本気で思っているのだ。その気持ちは嬉しい。嬉しいしありがたい、が、その想いの明るさに純度に笑顔に目が眩んでしまう。きっと向いていないのだ。交友の営みや人並みの思い遣りが。
 決して後ろ向きなわけでは無いが前向きにもなれない。特別な感情を持つ必要もない訳だが。今から10年前(10年前!振り返れば長いな、とは思ってしまう面倒な男である)の20歳を迎える今頃、瞬間、その後の記憶もほぼないのだが「ああ、なったなァ」程度の独り言をポツリ零したことだろう。若しくは酒とタバコを堂々とやれて嬉しいとか、いずれにせよその程度だ。
 あと自分の誕生日はなぜか有り得ないくらい土砂降りがちなので最近まで梅雨が始まるのは5月からだと思っていた。違うじゃん、全然。五月雨って梅雨の季語じャないカ。


病みます。


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