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「探すこと」より「決めること」に解決を求めている。特に「買うこと(決めること)」が難しいBtoB商材において。

もう2年前なのでずいぶん前の話ですが、元同僚であり、今は『まぐ.NET』の代表であり、Webアクセシビリティにおける個人的メンターでもある松下まぐさんから、下記の問いが投げかけられました。

ときどき@inada_hさんにからんでみる。
 最近、Googleの検索結果がつまらなくなったというツイートを割と見るのですが、どう思いますか?

唐突ですよね。以下は松下さんへのお返事です。
テーマは「Googleの検索結果はつまらなくなったのか?」

検索の時代は終わり?

「Googleの検索結果がつまらなくなった」というのは感情の話なので、同意も否定もあると思います。

ぼくが印象的なのは 「検索の時代は終わりつつある」という指摘がネットで散見するようになったことです。

例えばけんすうさんのツイート

* * * * * * *

「検索の時代の終わり」については、湯川鶴章さんが十年前(2010年7月27日)にすでに指摘していて驚きます。

「主戦場はソーシャルメディアの領域であり、最大の敵はFacebookである。(略)なのでヤフーとグーグルが組んだのである。 時代は検索の時代から、ソーシャルメディアの時代に移行した」

【ヤフー、Google提携解説】検索の時代が終わった、それだけのこと【湯川】

ぼく個人でいえば「検索の時代は終わりつつある」というフレーズを見たときに、「あ、そうだろうな」と反射的に思ったことが重要で。

実生活で感じているが、まだ言語化してないこと。自分の反射的な同意はそんな風に捉えています。

まず反射的な同意を信じる。
ロジックはその後でいい。

「検索の時代は終わりつつある」に反射的に同意

ということで、ぼくは「検索の時代は終わりつつある」に反射的に同意している人間なのです。
そこから興味関心をエンジンにして、いろいろなコンテンツを読み散らかすことになるのですが。

「ブロックチェーンによる非中央集権型サービス」という未来予想も、ぼくは湯川鶴章さんの解説が読みやすかったです。

Googleの時代は終わる。ブロックチェーンxAIが次のパラダイム=George Gilder氏

ただ、「ブロックチェーンによる非中央集権型サービス」という未来予想だとあまりにも現在から遠いよ…というツッコミも入ると思いますので、検索をめぐる「今」の変化を下記のように考えています。個人的に。

検索をめぐる「今」の変化(個人的な妄想)
・検索の時代はすでに終わりつつある
・検索で全てをやらなくていい
・網のような各SNSも重要な流入チャネル
・新しいコミュニケーションツールは今後も無数に登場する
・検索は君臨していた「唯一無二」の座から降り、重要な流入チャネルの一つになる

かもしれない。と思っています。

まだ個人的な「かもしれない」という話ですが、「変化」は間違いなく起きるし、今も起きていると思っています。

…とお返事を書いたら、松下さんからTwitterでさらに質問が届きました。

松下さんへのお返事はまだまだ続きます。笑

ぼくたちは何を求めているのか?

松下さんからの質問
これってつまり、みんなのニーズは「検索すること」じゃなくて「○○を探すこと」にあるっていうことですよね。検索でGoogleを上回ることはできなくても、何かを探すことで上回ることはできそう。そこにブロックチェーンを絡めると現実的になりそうですね。AIについてはまだ懐疑的ですが。

ああ。そうですね。「探すこと」だと思います。
そして、その手段として唯一無二の存在が「検索」で。その時代が終わりつつあるのかなと思っています。

「知りたい → 検索で探す」

この単純なアクセスルートが変わってきてるんじゃないかと。

例えば、ベイジ枌谷さんのインタビューで印象的だったコメントがありました。

最近、どの企業のWebサイトのログを見ていても、ノーリファラーからの流入割合が以前より多いように思います。これは、ブックマークをする人やURLを直接入力する人が増えているわけではなく、社内メールやチャット内でURLがシェアされて、訪問に繋がる機会が増えているのだと考えています。

「現場が語る、BtoBマーケの最前線~BtoBに強いWeb制作会社が生まれるまで~株式会社ベイジ 枌谷(そぎたに)社長の視点』

印象的な一節でした。

また、以前見た誰かのツイートで下記の書き込みがあって。 こちらも印象的でした。

SaaSのサービスでDLするとすぐ電話かかってくるけど、そんなので決めないよね。それより社内チャットでその業界に詳しい人に「これいいよ」って教えてもらったサービスの方にだいたい決まる

つまり、「探すこと」は「決めること」につながっている。
とぼくは思います。

「探すこと」より「決めること」に解決を求めている

そして、たいてい「決めること」には負荷が伴う。
誰だって間違えたくないし、失敗したくない。
誰かの評価を得てから「決めたい」というのは自然な欲求だと思います。
負荷を減らせるので。

「探す」と「決める」

ここを混同しがちですが、実はポイントで。
ユーザーは「探すこと」はもうインフラとして考えていて。
「決めること」に解決を求めていると考えた方が合点がいくかと思います。

インターネットの登場で情報は爆発的に増えた。探すことはできるようになった。選択肢も増えた。その分、決めることが難しくなった。

そういうことじゃないかな、とぼくは思っています。

「決めるための価値」のポジションがスライドしている

かつては「知りたい → 検索で探す」この単純なルートしかなかった。
今は「知りたい → 評判にアクセス → 検索で確認する」このようにルートが変化していると思います。

つまり 「決めるための価値」のポジションがスライドしている

旧:検索結果(メーカーが作った情報)
今:評判(社内外のレビュー・評価・UGC)

Search(検索)から Decision(決定)へ。
みんなの気持ちは動いているのではないでしょうか。

これは、SNSやチャット、グループウェア、SaaSといった各ツールが普及し、どの場面でもコミュニケーションが可能になったことが大きいとぼくは思います。

どの場面でもコミュニケーションできるぼくらは「探すこと」はもうできて当然で、「決めること」に解決を求めている。

「これってつまり、みんなのニーズは「検索すること」じゃなくて「○○を探すこと」にあるっていうことですよね」

松下さんのツイートを見て、「右足はそうで、左足はもう次に行ってる」とぼくは思いました。

これからの企業は「自社はどのように決めてもらっているのか」というメカニズムの把握から、「それをどう強化すればよいのか」という仮説と検証の作業に取り組む必要があるかもしれません。

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ここで2021年の追記を入れます。
ぼくはしつこいので、2年前に考えていたことを今でもしつこく考えます。下記ツイートを見たときに、「ああ。これは「決めること」に解決を求めていると同義じゃないか」と思いました。

販売支援から購買支援へ

かなり印象的なツイートでした。

BtoBソリューションにおいては、売ることより買うことが難しい時代になっている
売り手、買い手双方の目線からみても、営業(購買)を直線的なフェーズで管理するのは、困難になっているとのことです。
別レポートでは、
Sales Enablementという概念ではなく、
売り手側はBuyer Enablementを、
買う側はSupplier Enablementを行っていくべきとされています。
僕も同意見。

売ることより買うことが難しい時代になっている。これはかなり印象的なフレーズです。「決めること」にユーザーは解決を求めていると繋がっているように思えます。

まだまだ勉強不足ですが、ぼくはこれを「販売支援から購買支援へ」のシフトチェンジのことだと思いました。

Sales Enablement(営業活動の強化・改善)
もっと情報があったら、役に立つツールがあったら、自分にスキルがあったら、チームや会社のバックアップ体制があったら「営業もうまくいくのになあ」と考えたことはありませんか?
セールスイネーブルメントの根本にあるのはその発想です。セールスイネーブルメントはBtoBビジネスでのsales(販売)をenable(可能に、容易に)するものです。ひらたくいうと「もっと売れるようにするための仕組みづくりと戦略」です。
国内でも注目されるセールスイネーブルメントとは?基礎知識と導入手順(HubSpot)
Buyer Enablement(顧客の購買活動の支援)
Linkedin社のレポートによると、「バイヤーイネーブルメントとは、購買担当者が良い意思決定ができるように支援することである」といった内容だとあります。
ITリテラシーの高いミレニアル世代が購買活動のメイン層となった現代で、営業担当者の営業トークや提案などは相対的な重要度が低下してきました。
そこで営業担当者からのプレッシャーや提案だけではなく、購買担当者自身がネット上の情報を活用して購買活動を前に進められる仕組みを作ろうという動きが出てきました。それがバイヤーイネーブルメントです。
つまりバイヤーイネーブルメントは、「インターネットを駆使して購買活動を進めていく(自走していく)購買担当者に、役立つ情報を提供して結果的に自社の商品を選んでもらおう」という考え方なのです。
バイヤーイネーブルメント(Buyer Enablement)とは?BtoB営業最新トレンドを徹底解説!

自社の販売活動の改善・強化から、顧客の購買活動の支援へ。
これはぼくにとってピンとくる考え方です。

どちらが、というより、どちらも重要ということなのだと思いますが、特に買うこと(決めること)が難しいBtoB企業Buyer Enablement(顧客の購買活動の支援)という視点をより強くもっている必要があると思いました。

Sales Enablement とBuyer Enablement については別のnoteにまとめていますので、よかったらご覧ください。

* * * * * * *

2021年の追記は以上です。
以下、2019年の松下さんへのお返事に戻ります。

BtoCからCtoBへ

その視点からも、ふっきさんによる「エクスペリエンスがCからBへ逆流する」という指摘は遠い未来の話ではないんじゃないか。と思っています。

B2CからC2Bへ
データインテリジェンスを活用し、スマートビジネスを運営するためには、自社と顧客のあいだに強固なデジタル・フィードバックループが必要だ。ただ顧客との直接的な相互作用を事業の中心に据えると、驚くような変化が起きる。あらゆる事業活動の方向性が変わるのだ。先駆的企業はそれを経験し、私は多くの中国の起業家と接するなかでそれを目の当たりにしてきた。私はこれを「カスタマー・トゥ・ビジネス(C2B)」への転換と呼んでいる。C2Bマインドセットは、これまでの「ビジネス・トゥ・コンシューマー(B2C)という事業の在り方とは根本的に異なる。

BtoC から、CtoB へのモデル転換。

あるのか。ないのか。
未来は確定していませんが、変化はすでに起きている。じゃないか。と思っています。

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以上、2年前にお返事した内容でした。
あれから2年。検索の時代は終わったのか。あれからどう変化したのか。ぼくにはよく分かっていませんが、 「決めること」に解決を求めているという状況はより色濃くなったんじゃないだろうかと思っています。皆さんはどう思うでしょうか。


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ぼくが所属している株式会社JBNでは「BtoB企業への成果貢献」を目的とした戦略策定・Webサイト制作・Web運用支援・Webマーケティング支援を一気通貫で行なっています。

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稲田英資について

株式会社JBNで戦略策定とWebマーケティング支援を担当しています。
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