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アイデアを育てるということ~「社長のカラオケ大会」が生まれた瞬間

ボクは今、「社長のカラオケ大会」というイベントを絶賛立ち上げ中です。
このマガジンでは、その経緯を書こうと思います。

まだ、立ち上げ中なのでうまく行くかどうかは分かりませんが、「社長のカラオケ大会」が全国規模のイベントになったら面白いなと思いながら取り組んでいます。その取り組みのプロセスをブログで書いていったら、ちょっと面白いかなと思ったのと、新しいビジネスを立ち上げたい人の参考になるのではないかと思ったのです。

というわけで、まずは「社長のカラオケ大会」を思いついた経緯から書いていきます。


最初はすべてくだらない思いつき

ある時、クライアントの方々とカラオケに行きました。その中に、Oさんというおじさんがいて、めちゃめちゃ歌が上手いのです。特に演歌がすごい!
「コンサルタントになりたい」とボクの塾に来た方なのですが、バリバリのコンサルキャラじゃありません。「太鼓持ち」って感じです(笑)
なので、儲かっている社長のコミュニティをやったら良いのではないか?と思いました。

せっかく歌がうまいんだから、カラオケの会とかやったら良さそう。「社長のカラオケ大会」みたいな感じが似合いそうだと思いました。

なかなか良いネーミングだと思いましたが、Oさんには実際にやる気配がありません。それで1年ぐらい経った時に、「じゃあ、ボクがやろうかな」という気分になってきました。

その時には、ただ名前だけが決まっていて、中味は何も決まっていませんでした。方向性とか雰囲気だけ。でも、雰囲気的にはなんとなく面白い。ただそれだけでした。

画期的なアプリや新しいビジネスを見ると、「最初からすごいアイデアを思い付いたのだろう」と思ってしまいますが、そうではありません。みんな、これぐらいな思いつきレベルからスタートしています。なので、このレベルのアイデアでもまったくOKです!そのくだらないレベルからスタートなのです。

まずは右脳のワクワク感から

「ハウルの動く城」や「もののけ姫」「となりのトトロ」などで有名なスタジオジブリの宮崎駿監督のドキュメンタリーを見ると、宮崎監督が最後までストーリーを作らないまま絵コンテを描き進めていることが分かります。作っている本人も物語の結末が分からないわけです。

宮崎監督が最初に取り掛かるのは、「イメージボート」と呼ばれる数枚の絵です。これらが物語の世界観を描いていて、そこからインスピレーションを受けて登場人物たちが動き始めるわけです。そこには文字はありません。ただ、イメージだけが広がっています。

本当に面白いストーリーというのは、こうやって右脳のイメージだけで大きく膨らませていくわけです。ワクワクして感動する場面がバーッと頭のスクリーンに投影されて、そのイメージを絵コンテに写し取っていくわけです。

うまく行く新規事業もこのプロセスは同じです。最初はそのサービスがお客様に喜びを与えているクライマックスのシーンだけを頭に描いて、ワクワクすることが大切です。これは楽しそう!これは役に立つ!これは便利!という気持をどんどん大きくして、そのエネルギーで事業を進めていくわけです。

「社長のカラオケ大会」も、経営者が集まって、歌って、懇親会で盛り上がって、そんな楽しそうな笑顔がイメージできたので、「これはやりたい!」と思いました。このイメージを現実にしたいと心から思ったのです。

なので、決して最初から収支計画、仕入れ先、運営方法、スタッフの稼働時間などなど、事業計画的なことは考えません。左脳を使って現実的なものに落とし込むのは後まわしです。

アイデアを育てるということ

アイデアはタマゴや赤ちゃんと同じです。大切に育てないとすぐに死んでしまいます。どうせ最初の思いつきなんて本当にくだらないものです。

「そんなのつまらない」
「儲からないんじゃないの?」
「意味あるの?」
という言葉だけで、シュンとなって孵化せずに終わってしまいます。なので、ほんの小さなアイデアを大切に大切に育てていく必要があります。

そこで、まずは情報収集をしようと、他のカラオケ大会を調べてどんなことをやっているか研究することから始めました。いろいろ検索してみたのですが、多くの大会は、エントリー費用は5千円ぐらいで賞品や賞金があります。デビューを目指している人が参加するような大会もあります。

なるほど、なるほど。
そんな感じなのか。

だとしたら、「社長向けのカラオケ大会はどんな感じが良いのだろうか?」と考え始めました。

「賞金目当てでは参加しないだろうし、、、」
「参加費はもっと払うだろうし、、、」
「何があれば参加するのだろう、、、」

まず、設定してみたのが「価格」です。というのも、イベントに「経営者が集まるプレミアムなカラオケ大会」というイメージがあったので、いったい価格はいくらなのだろうと想像してみたからです。そこで出て来た答えは「3万円」でした。というわけで、仮にエントリー費用を3万円と設定してみました。1つのイベントの収益としては、千人参加して3千万円です。まあ、そこそこの数字ですかね。他の収入は後から考えるとして、イベントとしての売上はこれぐらいで良いでしょう。

次に、どんなサービスがあれば、3万円出しても満足してくれるのか?ということを考えて行きました。その次の年も出場してほしいですからね。

・ライブハウスのステージで歌える
・経営者どうしの交流ができる
・歌っている時の写真がもらえる
・会社のPRができる
・大会のHPに掲載される
・ボイトレ的なフィードバックがある
・決勝まで行くと歌手や芸人さんと歌える
・予選でも有名な経営者に会える

などなど、いろんなアイデアを出していきました。

そうやって大会の内容に肉付けができると、だんだんとリアリティが湧いてきました。「これ、本当に面白そう」と思えるようになってきました。友人・知人に話すと、いろんなアイデアや情報をもらうことができました。

これらのアイデアは、1つ1つは多くの人が思いつくことです。ものすごく画期的なアイデアはありません。しかし、こうやって小さなアイデアを1つ1つ積み重ねていくことで、他にはマネできない事業に育てることができます。

今は超巨大企業になったAmazonであっても、最初は「ネットで本を通販する」というだけのアイデアでした。そして、同じアイデアでサービスを始めた会社はたくさんありました。しかも、資金が潤沢な大手書店も最初は参入していました。

しかし、今はAmazonだけが生き残っています。それは、とにかく試行錯誤してサービスを改善・改良していったからです。WEBサイトのデザインを試行錯誤し、配送システムを試行錯誤し、サーバー事業なども始め、さまざまなPDCAをスピーディに回して、唯一無二のサービスに育て上げたのです。

ビジネスを成功させる人は、大きくて画期的なビジネスを思いつく人ではないのです。1つ1つの本当に小さなアイデアを積み重ねていき、誰にもできないサービスに、粘り強く育てていく人なのです。

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