ワンダー

執筆や執筆支援をしています。ここでは主に映画館で鑑賞して感じたことを書いています📽作品…

ワンダー

執筆や執筆支援をしています。ここでは主に映画館で鑑賞して感じたことを書いています📽作品内容にふれることがあります。どうぞよろしくお願いします✨

記事一覧

映画「バービー」 この生きづらさとの葛藤

□そして人生は続く... ビルケンとシックな服をまとったM・ロビーが みんなに送り出されて笑顔で歩き出す 爽やかなラストシーンに心が快哉を叫ぶ と同時に思う そして人…

ワンダー
8か月前
6

映画「マイ・エレメント」分断に苦しむ大人など乗り越えて

□ルッキズムに依存しない 炎のエンバーちゃんの太ももに欲情していた そう告白したら みんな引いて去っていくんだろうか いやいや劇場はちびっこだらけだから ちゃんと…

ワンダー
9か月前
6

映画「さらば、わが愛/覇王別姫」 かつて確かにあったのだ

□言葉にできない 今日は珍しく隣にまで人が座っている その女性は上映中何度も口元を抑えた 頭でブロックを割る場面で 子どもたちがお尻を叩かれる場面で もちろん幼き…

ワンダー
9か月前
5

映画「658㎞、陽子の旅」 陽子という明るい名前の彼女

□「外で待ってる」 チャットでユーザーからの質問に答える仕事 画面越しの心ない言葉に傷つけられる 和室のアパートにはベッドとローテーブル トイレットペーパーをティ…

ワンダー
9か月前
7

映画 すごすぎて/あきれすぎてレビュー書けねえよ事案

こんにちは! 映画ご覧になってますか? 劇場に通ってると作家性全開で 感想を言葉にできないような そんな作品にも出会いますよね すごかったり あきれたり 憤ったり 理…

ワンダー
9か月前
2

映画「山女」 私たちの山と心はどこにあるのだ

□稀代の眼力 山田杏奈、森山未來、永瀬正敏である 品川徹、でんでん、三浦透子である そして山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋である この俳優陣を前に 観ない理由を見つけら…

ワンダー
10か月前
4

映画「時をかける少女」(2週間限定上映) 繰り返せないから美しい

□「7月13日」 劇場のロビーには若い人が目立ちます この作品は17年も前のものなんですが 2006年に公開された細田守監督の 『時をかける少女』が2週間限定で上映されてい…

ワンダー
10か月前
2

映画/ドラマ「シコふんじゃった」 気持ち悪い映画

□モッくんに匹敵する美しい所作 1996年に周防正行監督は 『Shall we ダンス?』で日本映画界を席巻した そのひとつ前の作品が『シコふんじゃった』 楽しいコメディだけ…

ワンダー
10か月前
2

映画「ぼくたちの哲学教室」 ボクたちはよく「考える」と言うけれど

□「平和の壁」の国 今朝もスキンヘッドの校長が エルヴィスを口ずさんで登校してくる ここは北アイルランドの小学校 この国は福島県と同じくらいの 国土面積と人口(約…

ワンダー
10か月前
1

映画「同じ下着を着るふたりの女」 愛を嗤う母

□卓越した人間観 髪を赤く染め娘に手をあげる母 それを毒親としてしまえばわかりやすいかもしれない おそらくキム・セイン監督の分身的な存在は 娘の方であったに違い…

ワンダー
10か月前
6

映画「逃げきれた夢」 主演俳優は光を冠しているのに

□光石研と間と 「光石さんと間で出来ている」 フォローさせていだいているkalindaさんが 評したこの言葉に優るものはない 長年の学校勤めを辞めようとしている男 彼に…

ワンダー
11か月前
2

映画「アフターサン」 私たちがソフィのために泣く

□どうして没入しているのだろう どこかの家族の旅行ビデオ そんなものを他人が観ていられるはずがない この映画はひなびたリゾートホテルでの 父と娘のひと夏を映し続け…

ワンダー
11か月前
8

映画「ウーマン・トーキング」 南十字星に拳を突きあげて

□2023年の重要な1本 2023年のとても重要な1本だと感じる この作品のテーマは女性の尊厳についてだ しかし本作は他にも重要なテーマと 向き合う機会を与えてくれた 紛…

ワンダー
11か月前
6

映画「マルサの女」 俗が黄昏のなかで美へ反転する

□午前10時の映画祭13『マルサの女』(1987年公開) 『マルサの女』ときたらこの音楽ですよね トゥートゥトゥトゥートゥトゥトゥートゥ♪ トゥトゥトゥトゥートゥトゥト…

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11か月前
3

映画「波紋」 狂うか狂ったふりでもしなければ

□荒ぶる潜在エナジー これぞいろんな人の感想を 聞いてみたいと思わせる映画でした 観客をそれぞれの思考に導くような 豊かさがありましたね 序盤からこの作品の求心力…

ワンダー
11か月前
2

映画「ガーディアンズオブギャラクシーVOLUME3」最先端の多様性は最高な音楽とともに

□変な映画! 変な映画だなぁと思う なんだってオレはこんな大画面で アライグマとカモノハシのラブシーンを 真剣に観てるんだろう ジェームズガンさん あんた変だよ お…

ワンダー
11か月前
映画「バービー」 この生きづらさとの葛藤

映画「バービー」 この生きづらさとの葛藤

□そして人生は続く...

ビルケンとシックな服をまとったM・ロビーが
みんなに送り出されて笑顔で歩き出す

爽やかなラストシーンに心が快哉を叫ぶ

と同時に思う
そして人生は続く...

M・ロビーの すなわち私たちの
「自分らしさ」を求める旅は
これからも再出発が繰り返されるのだ

バービー人形は
女性を「よき母」という呪縛から解放した
そしてフェミニズムを50年遅らせたと罵倒された

自分ら

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映画「マイ・エレメント」分断に苦しむ大人など乗り越えて

映画「マイ・エレメント」分断に苦しむ大人など乗り越えて

□ルッキズムに依存しない

炎のエンバーちゃんの太ももに欲情していた

そう告白したら
みんな引いて去っていくんだろうか

いやいや劇場はちびっこだらけだから
ちゃんとすかした顔して観てましたよ

でもエンバーのスカート短かくね?!
でもエンバーのスカート短かくね?!

ヘンタイ?
炎のキャラの太ももに反応するなんて?

いやいやいやいや
いやいやいやいや
オレのせいじゃないっすよ
ピクサーのせい

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映画「さらば、わが愛/覇王別姫」 かつて確かにあったのだ

映画「さらば、わが愛/覇王別姫」 かつて確かにあったのだ

□言葉にできない

今日は珍しく隣にまで人が座っている
その女性は上映中何度も口元を抑えた

頭でブロックを割る場面で
子どもたちがお尻を叩かれる場面で
もちろん幼き主人公の6本目が斬られる場面でも

客席には人が多く
リアクションもあった
パンフレットも売れているようだ

30年前はVHSで観た
言葉にできない衝撃
それを分かち合う人もおらず
ひとりで飲み込んだ

今回は劇場で多くの人と観られて

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映画「658㎞、陽子の旅」 陽子という明るい名前の彼女

映画「658㎞、陽子の旅」 陽子という明るい名前の彼女

□「外で待ってる」

チャットでユーザーからの質問に答える仕事
画面越しの心ない言葉に傷つけられる

和室のアパートにはベッドとローテーブル
トイレットペーパーをティッシュ代わりにする

夜はノートPCを枕元に横立てして
配信ドラマを見ながらいつのまにか眠っている

化粧をしていない菊地凛子は
別にきれいってわけじゃないけど

このみすぼらしい生がどこへ進むのかと
すっかり虜になってしまった

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映画 すごすぎて/あきれすぎてレビュー書けねえよ事案

映画 すごすぎて/あきれすぎてレビュー書けねえよ事案

こんにちは!
映画ご覧になってますか?

劇場に通ってると作家性全開で
感想を言葉にできないような
そんな作品にも出会いますよね

すごかったり
あきれたり
憤ったり
理解不能だったり
平伏したり

そんで口をあんぐりさせてると
レビューを書き損ねます

全部書いてる方はすげーなー!

気づけば書かないやつが随分たまってました
ま、怠けてたんですけど😆

でも本当に「いまの自分にはまだ書けない」

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映画「山女」 私たちの山と心はどこにあるのだ

映画「山女」 私たちの山と心はどこにあるのだ

□稀代の眼力

山田杏奈、森山未來、永瀬正敏である
品川徹、でんでん、三浦透子である
そして山中崇、川瀬陽太、赤堀雅秋である

この俳優陣を前に
観ない理由を見つけられなかった

ちなみに御年88歳の品川徹氏は
大杉蓮と同じく沈黙劇の「転形劇場」の俳優で
ドラマ『白い巨塔』の大河内教授のその人である

メインビジュアルの山田杏奈の眼力と眉毛

山田の強い眼差しにはいつも心を掴まれる
特に『ひらいて

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映画「時をかける少女」(2週間限定上映) 繰り返せないから美しい

映画「時をかける少女」(2週間限定上映) 繰り返せないから美しい

□「7月13日」

劇場のロビーには若い人が目立ちます
この作品は17年も前のものなんですが

2006年に公開された細田守監督の
『時をかける少女』が2週間限定で上映されています

特に今日7月13日は劇中での日付と一致する

主人公の真琴がタイムリープを繰り返すうち
生きることは取り戻せないからこそ
美しいと気づいてしまうその日です

私たち観客は幸福です
繰り返しこの作品を観ることができる

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映画/ドラマ「シコふんじゃった」 気持ち悪い映画

映画/ドラマ「シコふんじゃった」 気持ち悪い映画

□モッくんに匹敵する美しい所作

1996年に周防正行監督は
『Shall we ダンス?』で日本映画界を席巻した

そのひとつ前の作品が『シコふんじゃった』

楽しいコメディだけれど
周防監督の知的さがにじむ作風であり
そして幾何学的な構図も印象的だ

ボクはこの作品が大好きで
でもなにか秘められた意図があるようで
どこか「気持ち悪い映画」とも思っていた

2022年にディズニープラスで
新しい

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映画「ぼくたちの哲学教室」 ボクたちはよく「考える」と言うけれど

映画「ぼくたちの哲学教室」 ボクたちはよく「考える」と言うけれど

□「平和の壁」の国

今朝もスキンヘッドの校長が
エルヴィスを口ずさんで登校してくる

ここは北アイルランドの小学校

この国は福島県と同じくらいの
国土面積と人口(約188万人)を有する

カトリックとプロテスタントの対立
イギリスとの連合と独立をめぐる衝突

これらの問題で国内紛争が長期化し
多くの命が失われてきた国だ

今も禍根は残っている
両派を分断するための「平和の壁」がある

壁には銃

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映画「同じ下着を着るふたりの女」 愛を嗤う母

映画「同じ下着を着るふたりの女」 愛を嗤う母

□卓越した人間観

髪を赤く染め娘に手をあげる母

それを毒親としてしまえばわかりやすいかもしれない

おそらくキム・セイン監督の分身的な存在は
娘の方であったに違いない

しかし監督はこの母娘の善悪について
絶妙な均衡で描き続けた

だから観客は母娘どちらの気持ちも
おもんぱかる時間が終始つづくことになった

ここにキム・セイン監督の
卓越した人間観のようなものを感じる

□舞台挨拶:文化圏の違

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映画「逃げきれた夢」 主演俳優は光を冠しているのに

映画「逃げきれた夢」 主演俳優は光を冠しているのに

□光石研と間と

「光石さんと間で出来ている」

フォローさせていだいているkalindaさんが
評したこの言葉に優るものはない

長年の学校勤めを辞めようとしている男
彼には心の底から語れる”何か”がなかった

妻との関係は空虚なものとなっている
娘に話しかけてみても訝しがられる

松重豊演じる旧友とも北九州弁で
「しゃぁしぃ」と戯れに罵り合うが
本音で語り合うことはない

肝心なことは黙ってし

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映画「アフターサン」 私たちがソフィのために泣く

映画「アフターサン」 私たちがソフィのために泣く

□どうして没入しているのだろう

どこかの家族の旅行ビデオ
そんなものを他人が観ていられるはずがない

この映画はひなびたリゾートホテルでの
父と娘のひと夏を映し続ける

極めてパーソナルな映像だ

それなのに私はどうして没入しているのだろう
少し緊張さえしてずっと目が離せない

食事やビリヤードをしているだけの親子なのに
なぜふたりにこんなに惹かれるのか

しかもときおり垣間見せる闇の方に吸い寄

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映画「ウーマン・トーキング」 南十字星に拳を突きあげて

映画「ウーマン・トーキング」 南十字星に拳を突きあげて

□2023年の重要な1本

2023年のとても重要な1本だと感じる

この作品のテーマは女性の尊厳についてだ

しかし本作は他にも重要なテーマと
向き合う機会を与えてくれた

紛争のときにとるべき態度について
洗脳や教育がもたらすものについて
次世代のために今を生きることについて

またテーマの崇高さに溺れることなく
作品として実に豊かで美しい仕上がりだった

会話劇だが優れた編集で目が離せない

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映画「マルサの女」 俗が黄昏のなかで美へ反転する

映画「マルサの女」 俗が黄昏のなかで美へ反転する

□午前10時の映画祭13『マルサの女』(1987年公開)

『マルサの女』ときたらこの音楽ですよね

トゥートゥトゥトゥートゥトゥトゥートゥ♪
トゥトゥトゥトゥートゥトゥトゥール♫

久しぶりに鑑賞したんですがこのメインテーマ
本編中で何十回とかかるんですね

そしてもちろん宮本信子

奇抜な髪型で登場するも
大滝秀治に「板倉くん、寝ぐせ」と
再三注意されるところも楽しい

以下の曲者たちの演技合

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映画「波紋」 狂うか狂ったふりでもしなければ

映画「波紋」 狂うか狂ったふりでもしなければ

□荒ぶる潜在エナジー

これぞいろんな人の感想を
聞いてみたいと思わせる映画でした

観客をそれぞれの思考に導くような
豊かさがありましたね

序盤からこの作品の求心力はすごい

ストーリーは筒井真理子を軸とした単線なのに
彼女に対する理解と不可解でグイグイ引きつける

やっぱり荻上直子監督はタダものじゃない

「ていねいな生活」の作品って
イメージもあるかもしれないけれど
いやいや荒ぶるエグい感

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映画「ガーディアンズオブギャラクシーVOLUME3」最先端の多様性は最高な音楽とともに

映画「ガーディアンズオブギャラクシーVOLUME3」最先端の多様性は最高な音楽とともに

□変な映画!

変な映画だなぁと思う

なんだってオレはこんな大画面で
アライグマとカモノハシのラブシーンを
真剣に観てるんだろう

ジェームズガンさん
あんた変だよ
おもしろいけど

□共同の描き方

「一致団結」って言葉がすごく苦手なんです

時としてみんなで力を合わせようと
それはいいんです

だから「団結」はまぁ大丈夫です

気持ちが悪いのは「一致」ってやつです

それぞれ違う人間を一致さ

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