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母が教えてくれた、美しさの意味

わたしが『本当の美人をつくる』をテーマに
イメージコンサルティングをしているのには
理由がある。

美しさは人を動かす原動力であり
一歩前に踏み出すための鎧
つまり、美はチカラだと思っているからだ。


この、ずっと変わらない想いのベースには、
ファッションもインテリアもお料理も、
とにかく美しくある事を大切にしてきた
母の影響があった。


わたしの母はお洒落な人だ。

わたしがまだ小さい頃、
幼稚園のお迎えはミンクのコートで現れたし
いつも真っ赤なマニキュアを塗っていて
母のジュエリーケースやメイクボックスは
華やかなジュエリーやコスメで溢れていた。

わたしにとっての『お母さんの匂い』は
シャボンの泡でもたまご焼きでもない。
ディオールのプワゾンと、
お気に入りのピンクのカップで飲む
コーヒーの混じった香り。

母はいつも、わたしの美の基準だった。
『女の子はいつもキレイであるべき』
というのは、亡くなった祖父からの
教えでもあったらしい。

でも、そんな母の影響を強く受けた
わたしの美に対する想いが
実はたった1度だけ、揺らいだことがある。


きっかけはわたしが結婚し
もう1人の母ができた事だった。

家を出てから15年。
父と離婚してからも
わたしたちの生活を支えてくれた母の仕事は
もうすっかり先細りになり

気づけばあのパワフルだった母は
随分と小さくなって
経済的にもわたしたち兄妹が
守らなければいけない存在となっていた。

ところが、結婚したわたしは
義母が楽しそうに習い事をしながら
亡くなった義父が残した家で
悠々自適に暮らしているのを
目の当たりにする。

そんな義母の姿をみて、わたしは
なんだか違和感を感じてしまう。

わたしの母はいつも人一倍
身なりに気を遣ってキレイにしていた。
なのに、今こうして2人を比べたら
義母の方が幸せそうに見える...
今までずっとわたしが信じてきた
“美しくある事”は
必ずしも女性の人生にとって重要な事では
ないのかもしれない


義理の母は穏やかで優しい人だったから
それが逆に
ずっと美を仕事にしてきたわたしの心を
じわじわと締め付けていく。

抱えきれなくなったわたしは、
1人の友達に相談した。
すると彼女はこう言った。

『そうやって子ども達が
みんなお母さんの事を考えてくれる、
それだけでめいりんのお母さんは
すごく幸せだと思うよ。』


自らも一児の母である彼女が
優しく言ってくれた言葉が
なんとかわたしの気持ちを治めてくれる。
でも、本当の意味で納得はできなかったのが
正直なところだった。


ところが、それから5年。
なんと75歳にして、母は再婚したのだ。

そうだ、わたし大切な事を忘れていた。

母は美しいだけじゃない
その美しさを鎧にして
自分の人生を自分で切り開いていける
そんなとても強い人なんだった。

『この年で結婚したって言うとね、
周りの人がみんな「わたしも希望が持てる」って喜ぶのよ。』

そう無邪気に笑う母をみながら
ああやっぱり、母は母なのだと
そしてやっぱり、美しさはチカラなのだ
わたしは実感する。

母がわたしを産んだ年は
もうとっくに超えてしまった。
でも美しくある事の大切さを
誰かに伝える事は、まだまだこれから。

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