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クリエィティブという言葉の曖昧さが好きになってきた理由 ② 撮影前

こんにちは。
映像制作独楽の高地です。
引き続き、クリエィティブという言葉の曖昧さが好きになってきた理由について…先にいってしまうと曖昧さが可能性に変わってきたからです。

どう可能性に変わってきたのか、erakkoさんの2本の映像を
1:撮影前
2:撮影
3:撮影後
の3段階を通して説明してみたいとおもいます。

今回は1:撮影前から。

ちなみにerakkoさんの映像は発注された仕事ではなく、TABITOTEさんとerakkoさん、映像制作独楽の三者のコラボということで、各々が制作にかかる費用や実働時間の自己負担はありますが、お互いに少しづつメリットがあるよねという形で実現しました。ですので、お金事情についてはちょっと特殊なケース。

まずは三者でオンライン打合せをして、コンセプトである「孤独も愛する器」についてや、普段の商品を作る工程や環境、所要時間などを色々と聞かせてもらいました。

で、打合せで分かったこと、感じたことをふまえて作った企画がこちら。

表紙
当初はプロモーション映像という名称でしたが
完成後にイメージ映像という名称に変更
今回のインタビューはTABITOTEさんがメイン
追加で私もインタビューをしています
プロモーション映像を具体的にするための文字コンテ
材料から器が出来るまでの工程と
出来上がった器でシチューを食べるとき
自然の中で独りになって感じた
ありのままの自分の肯定感が
呼び起こされるという流れ
文字コンテにある、シチューを作り終えて
小屋の室内に入ってくるところからラストまでのシーンの絵コンテ
企画作成時にはcut3〜6以外は画角を正方形にして狭めるつもりでした

最初に悩むことになるテーマや狙いは、その後の撮影でも編集でも芯になるのでとても大事です。

そもそもerakkoさんは京都の柴田漆工房の三男である柴田明さんが脱サラして、自転車で日本一周の旅を始め、その途上で得た経験から、漆工房を継ぎ、「孤独も愛する器」というコンセプトを掲げて、木地と漆工を行うアウトドア道具ブランドを立ち上げました。
そのあたりは既にHPや柴田さんのブログ、TABITOTEさんでの記事「若手職人の絶望日記」に詳しく(しかも面白い)ある状態でした。

勿論、映像で初めて知る人もいるでしょうから、ある程度は映像のみで成り立つ必要はありましたが、何かしらの映像で作る意味をみつけないといけません。

そこで考えた点がいくつか
・「孤独も愛する器」というコンセプトは一番の魅力。
そのコンセプトがうまれた経験、日本一周という長い孤独な時間と旅で出会った様々な人との交流の中で感じた『社会から切り離された、ありのままの自分で良いんだ』という感覚はとても大きいものだったんだろうなとおもいます。しかし、それは柴田さんの内的な感動なので、すぐに共感できる人もいるだろうけど、なかなか伝わらないかもという懸念。

・逆にいうと柴田さんのその時得た感動を共有、もしくは何かしらの想像を喚起させたり、感じてもらえたら面白いのではないか。

・人には共感能力があるとおもっていて、実感した本人の感覚を再現、言葉にしてもらうと、その姿や表情、話し方から温度感やニュアンスが他者に伝わることがある。私は勝手に演劇的手法と呼んでます(笑)。

・もの作りをしている映像がない。木地を独学で始めて、家業の漆工を行っている様子を撮影すれば、その姿を通して何か見えてくるものがあるだろう。

・柴田さんの人柄、生き方、考え方が面白い。

以上から、もの作りと演劇的手法を取り入れて、言葉はタイトルのみのプロモーション映像と言葉がメインのインタビュー映像の2本構成にしました。

上手くいけば凄く良いものになりそうでワクワクしましたが、
正直、プロモーション映像の「孤独も愛する器」を感じてもらう大事な屋外シーンがロケハンなし(Google等で可能な限りは調べましたが)でどれだけ説得力のある画になるのか、またマジックアワーという短い撮影時間しかチャンスがないこと、演技未経験の柴田さんにお願いして演技してもらうことも、色々と未知数でしたが…やってみたいなとおもい決めました。
しかし撮影日がまさか最強寒波にあたるとは夢にもおもわず…。

続きはまた次回、2:撮影にて。


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