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コーラの炭酸が抜けることなんて、もうどうでもよくて。 [日記]

いろいろなことがありすぎて、何から書くべきか。 

音が大きかった。
大きな音は、強い振動となり、私の体に確かに刺さってくる。会場全体がまるで楽器みたいだった。ベースとドラムの音に、友人の声などまるで聞こえないくらいのボーカルの声。
音楽以外の音が全く聞こえないから、まるで無音の世界に来たみたいだった。音に包まれるとはこういうことなのだと思った。

今日は邦ロックバンドが多く出るライブに行った。
電車に乗りながら早くつかないかなとワクワクする。実は乗っていた電車が遅延してしまい、見たいバンドに間に合うかギリギリのラインだった。

なんとか間に合った。メイクが濃くて髪色の派手なお姉さんが受付をしていた。
「600円すぐに必要です!ドリンク代、600円です」と叫ぶお姉さん。早口で、ほぼ怒声に近いそれは、少しだけ聞き取りにくい。だけど、なぜかそんなのもいいと思ってしまった。
私の想像していた邦ロックライブのイメージはそんなものだった。

チケットを見せて、ドリンク引き換え用コインをもらう。
そのままドリンク交換しにいくと、「どれにしますか?」なんて聞かれたが、忙しそうだっためゆっくり選ぶ時間などなかった。
とりあえず、目が一番に見つけたコーラを頼む。コーラのペットボトルと、ドリンクホルダーをもらった。
人生初ライブ、勢いだけでドリンクを手に入れた。

そのまま急いで会場に入る。
もうすでにbokula.の時間が始まっていた。絶対歌わないよねと話していた、「夏の迷惑」が聴けて最初からテンションはマックスだった。

そのままどんどん前へ進む。
照明が私たちを照らしていた。
大きな音に加え、次々に色が変わる照明。上へ拳を掲げる人たちが、赤や青色、白色に染まる。
その光景はとても美しくて、上から眺めたらもっと美しいのだろうなと思った。

たくさんの人が周りで腕を振るので、私も何もわからないまま、真似をする。
大きな手拍子の音が、ドラムの音と、周りと揃うと一体感があり、私がまるで音になったみたいだった。邦ロックライブ、来るまで「ロック」ということを忘れていた。大きな音がそれを思い出させてくれた。

やはり、スマホで聞くのと実際に聞くのとではかなり違う。
生音で聞くと、ベースのずっしりとした音も、キーボードの繊細な音も鮮明に聞こえる。バンドは、ボーカルが目立ちがちではあるが、ライブに行くとそれだけではないことがわかる。
今日はもちろんボーカルの歌のうまさにも感動したが、エレキのうまさや、キーボードのうまさ、ドラムのうまさなど、楽器がメインの人たちの良さに、強く心が動いた。

ヤングスキニーの「らしく」では、ドラムに合わせて全員でジャンプをした。
カバンにつけたコーラの炭酸が抜けることなんてもうどうでもよかった。周りと同じように、夢中で宙を飛んだ。本当に楽しくて、現実なんて忘れて、私は笑って歌って手を叩いた。

「忘れちゃうくらい泣いたらいい。忘れられないんだから」そう言って曲を始めたmoon dropのボーカル。その言葉がずっと心に残っている。
本当にその通りだった。
私の思いは一方通行のままで、そんな現実にたくさん涙を流した。いっそ、出会わなければよかった、こんな気持ち忘れたい、そう思ったことが何度もある。けれどそんなことは叶わなかった。
忘れられないくらい泣いたって、結局忘れられないのだ。

「元カノ全開だね。」と横で呟く友人。ね、と答えながら、私のこの感情も元カノに向けたものであればよかったのになぁとか、思っていた。

夢のようではなく、もはや夢。そんな時間をくれたライブ、本当にありがとう。
演出者の皆さん、ライブに誘ってくれた友人、チケット代を頑張って貯めた自分、ありがとう。
邦ロックの沼に足が浸かった音がする。

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