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『JTB小さな時刻表』(全国版)ノート

『JTB小さな時刻表』(全国版)ノート

JTBパブリッシング 刊

私事だが、今春に桜と三内丸山遺跡を見に弘前に行った。
 その準備で新幹線や在来線を調べようとして、スマートフォンを開いて検索したが、いろんなサイトがあってわかりにくく、はたして最新の時刻表なのかもわからない。
 例えば時刻表サイトを開いても、検索した時刻以降の電車しか出ないし、乗ったこともない路線だから、いったいどちらに向かうのかわかりにくい。単に筆者がやり方を知

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「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

(長文になります)

はじめに 私のNOTEの記事のテーマは、「線スケッチ」に関連するものです。ですから表題を読まれた方はなのになぜ写真展なのかと疑問に思われるかもしれません。そこで最初にその理由を説明します。

写真と私

 中学、高校時代、私は義理の伯父の家に寄宿していたのですが、伯父はなぜか毎月かなりの数の雑誌を定期購入していました。その中に、今は無き「LIFE」、「アサヒカメラ」があり、毎

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【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

原美術館が品川にあった頃、その芝生の中庭にいつも大きな新聞紙が鎮座していた。
私が見た三島喜美代作品の最初は、それだと思う。
原美術館が閉館する時、作品はどうなってしまうのか?と思っていたら群馬県のハラミュージアムアークにちゃんと移設された。一安心。

あとは、現代美術館の常設展示室で見かけたりしていたと思う。
やっぱり、面白くてちょっとクスッと笑ってしまうことに惹かれる性分なせいか、作品は作品な

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パブリックドメインから歌川国芳の団扇絵を集めてみた

パブリックドメインから歌川国芳の団扇絵を集めてみた

はじめに

 歌川国芳(1797~1861)は、多彩なジャンルで活躍した浮世絵師です。現代人にも高い人気を誇ることから、さまざまに紹介されてきましたが、国芳が団扇絵も積極的に手がけていたということは、これまであまり注目されてきませんでした。
 そこで太田記念美術館では、世界で初めて、国芳の団扇絵だけを220点ご紹介する「国芳の団扇絵ー猫と歌舞伎とチャキチャキ娘」展を2024年6月1日から7月28日

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SDGsは、誰がどうやって決めたのか? 【SDGsとは一体、何だったのか?】第4回

SDGsは、誰がどうやって決めたのか? 【SDGsとは一体、何だったのか?】第4回

SDGsは「欧米の白人たち」が決めた?

 「SDGsは "欧米の白人" が決めたもの」という言説がある。
 それって、本当なのだろうか?

 今回は「SDGsは、誰がどうやって決めたのか?」という3つ目の問いについて、策定時の経緯をふりかえりながら考えていくことにしよう。
 とくにクローズアップするのは、OWG(オープンワーキンググループ)と、政府間交渉の過程だ。
 両者のなかでどのような議論が

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【足利セレンディピティ】コレクション展2024 足利市立美術館

【足利セレンディピティ】コレクション展2024 足利市立美術館

とにかく、昔から赤瀬川原平さんが好きで追い続けている。
今年は没後10年。
情報を追うためにしていることの一つに所属ギャラリーのInstagramアカウントをフォローするという方法がある。
そんな事をしていたら5月某日、足利市立美術館で作品展示があるという投稿が。

お、なんかあまり見た事ないコラージュだな?
でも現物が出てるなら見たい。
今年使い切らねばならない有休もまだあるし、夫の出張が増えて

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【展示ツアー!】江戸川乱歩生誕130年―乱歩から広がる世界―

【展示ツアー!】江戸川乱歩生誕130年―乱歩から広がる世界―

こんにちは、奈良県立図書情報館の藤本です。
5月30日の木曜日まで、当館3階にて「江戸川乱歩生誕130年―乱歩から広がる世界―」を開催中です。

「見に行きたいけど……ちょっと遠い……」「会期中に行けない……」
そんなあなたのために!写真と動画で味わう「乱歩」オンラインツアーはいかがでしょうか~

展示の様子……動画と写真※すべて5月1日に撮影しました。

こちらを見つめる怪人二十面相は、国立国会

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千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉百年後芸術祭・内房総アートフェス(千葉県木更津市・市原市・袖ケ浦市)

千葉県を中心に展開しているアートイベントである千葉百年後芸術祭。千葉県が誕生して百五十周年記念事業の一環として、百年後を考えるという芸術祭である。広大な千葉県の各エリアで開催されており、全てを回ろうと思うととても一日では回りきれないボリューム。

専用のHPがあるものの、そこだけは情報がよくわからないので調べてみたところ、百年後芸術祭には全部で以下のエリアがあることがわかる。
・内房総アートフェス

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お詫びいたします。「鈴木春信」2017(東京美術)の著者様

お詫びいたします。「鈴木春信」2017(東京美術)の著者様

(長文になります)

はじめに 表題を見た読者はおそらく一体何のことかお分かりにならないでしょう。

 実は、4月26日に投稿した下記の記事の中で、私は浮世絵版画の専門家に対して挑発的な内容を書いてしまい、内心言い過ぎたと後悔していたのです。

 それは、鳥文斎栄之作品の海外流出に関連付けて、鈴木春信の優れた作品も同様に海外流出されていることにふれ、新たな節「鈴木春信の海外所蔵の作品と「闇夜」の黒

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2024桜スケッチ(4)町田市・芹ヶ谷公園のソメイヨシノ、国際版画美術館の企画展

2024桜スケッチ(4)町田市・芹ヶ谷公園のソメイヨシノ、国際版画美術館の企画展


はじめに ソメイヨシノが満開になった今年の東京は、あいにく雨模様や曇り空の天候が多くカラッとした青空に映える桜をみることができませんでした。
 いつもなら、新宿御苑や千鳥ヶ淵、中目黒など典型的な桜の名所に出かけるのですが、今年は丁度知人の七宝展がこの時期に町田市で開催されるので、七宝展を見た後に昔行ったことがある町田市・芹ヶ谷公園のソメイヨシノが見られるのではないかと思い4月5日に出かけました。

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【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

【彫刻の上の散歩道】カール・アンドレ 彫刻と詩、その間 DIC川村記念美術館

千葉県佐倉市にあるDIC川村記念美術館。
古典、印象派からミニマルアート、カラーフィールド等アメリカの60年〜80年代中心のコレクションが進み、非常に豊かな常設展を形成している。

今年、中学生になった長男が「ここ、行ったことあるよね?」美術資料集を見せてきた。
掲載されていた写真は川村記念美術館のロスコ・ルームの写真。
え、あの部屋が美術資料集に載るのか…?なかなか面白いチョイスだな?資料集とは

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【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【一人旅レポ】青森の主要4美術館を東京から一泊二日、電車・バスだけで周る

【約6,900文字、写真約60枚】
実体験を基に「青森県の4つの美術館を」「東京から一泊二日」「電車・バスで周った」「一人旅」について、具体的なルート、食べたものとともに、感想などを書きます。

結論から言うと、青森の主要美術館は素晴らしいものばかり!美術館メインで旅行を組む価値は十分にあります。なお、車を使わない場合、2日で5つの美術館は周り切れず、4つが限界でした。注意点は、青森は都内と違い、

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【魅惑のハト・ルーム】開館50周年記念 HELLO! コレクション ZOZO×千葉県立美術館  千葉県立美術館

【魅惑のハト・ルーム】開館50周年記念 HELLO! コレクション ZOZO×千葉県立美術館  千葉県立美術館

千葉県立美術館が開館50周年を迎えるという。
ポートタワーや千葉市美術館の設立前からある県立美術館。
夏になると県内の小学生の図工展などが大々的に開催されてきた。
私も昔、この美術館に図工作品が飾られたことがあるのは良い思い出だ。
公募展の展示会場によくなっていた記憶なので美術館よりアートセンター的なイメージだったが、ちゃんと所蔵品がある。

そして千葉県湾岸地区の企業といえば一昔前はAEONだっ

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椅子の美術館、椅子の展覧会「アブソリュート・チェアーズ」

椅子の美術館、椅子の展覧会「アブソリュート・チェアーズ」


はじめに 「椅子の美術館」こと埼玉県立近代美術館にて開催されていた、「アブソリュート・チェアーズ」を母と一緒に観てきたという旅行記。その看板に偽りなし、企画展以外でもめちゃくちゃ椅子あった。というか企画展がとにかくよかったためたくさん語りたい。

 この企画展は愛知県美術館(7/18-9/23)へと巡回するため、逃した方はぜひそちらに行ってみてほしい。また埼玉県立近代美術館は、この展示を抜きにし

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