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イチ本好きの「都電荒川線」と「早稲田」に関する思い出

イチ本好きの「都電荒川線」と「早稲田」に関する思い出

この方向性、好きです。

昨年話題になった「新幹線プロレス」に続き、今年は史上初の「都電プロレス」が6月29日に開催されます。

闘いの舞台は都電荒川線(東京さくらトラム)。「荒川車庫前~三ノ輪橋」を往復する間に試合がおこなわれるとのこと。

↑によると、横浜出身の鈴木みのる選手は一度も都電に乗ったことがないそうです。上京してから何百回も乗った髙木三四郎選手にとって大きなアドバンテージになる予感が

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ハードボイルド書店員日記【188】

ハードボイルド書店員日記【188】

「あれ?」

穏やかな平日の午後。レジにかつての上司が現れた。最初に勤めた大型書店でお世話になった方である。

「御無沙汰しています」
「いつから?」
「4年ぐらい前ですね」
「○○書店で働いているって聞いたけど」
「そこも閉店してしまいまして」
「ああ」

10年近く会っていない。頬が黒ずみ、頭には白いものが増えた。でも安心させてくれる笑顔は変わっていない。

「ぼくは契約社員として再雇用されて

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集まる場所が必要だ : 孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学【#図書館員の気になる一冊】

集まる場所が必要だ : 孤立を防ぎ、暮らしを守る「開かれた場」の社会学【#図書館員の気になる一冊】

 1995年にシカゴを襲った熱波は、貧困や暴力の問題を抱えた地域で多くの死者を出しました。そのなかで少ない被害に留まった地区の存在を知った著者は、その理由を探るために現地を訪れます。そこで目にしたのは、整備された公園や活気ある商店で住民が交流する姿でした。
 公共空間で培われた人間関係が災害時に人々の孤立を防いだことから、命を守るコミュニティを構築・維持するには、「社会的インフラ」、すなわち「集ま

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『JTB小さな時刻表』(全国版)ノート

『JTB小さな時刻表』(全国版)ノート

JTBパブリッシング 刊

私事だが、今春に桜と三内丸山遺跡を見に弘前に行った。
 その準備で新幹線や在来線を調べようとして、スマートフォンを開いて検索したが、いろんなサイトがあってわかりにくく、はたして最新の時刻表なのかもわからない。
 例えば時刻表サイトを開いても、検索した時刻以降の電車しか出ないし、乗ったこともない路線だから、いったいどちらに向かうのかわかりにくい。単に筆者がやり方を知

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いまの人生は「一度目」か、それとも

いまの人生は「一度目」か、それとも

「村上RADIO」をご存知ですか?

あの村上春樹さんがDJを務め、毎月の最終日曜に放送されています。選りすぐりの名曲に耳を傾け、朴訥な語りに身を委ねる。日曜日の夜は毎週ぐったりしているゆえ(職場が最も混む)後日radikoで聴くことが多いのですが、いつも楽しませてもらっています。

ラストで春樹さんが紹介する「今日の言葉」もオススメです。先月は↓でした。

「人生って二回あるべきなのよね。一度は

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「古本まつり」「古書市」の思い出

「古本まつり」「古書市」の思い出

「三省堂書店・池袋本店」で毎年夏と冬に開催していた「古本まつり」ですが、現時点で今後の開催予定はないとのこと。

私にとって、古書市はまさに「衝動買い」の楽園です。「そういえば、これをずっと読みたかったんだ」という「思い出しての目的買い」を堪能できる場でもあります。

去年の秋に神保町でおこなわれた「神田古本まつり」では、ずっと探していて、いつしかそのことを忘れていた↓に出会いました。

版元は幻

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「歴史&時代小説」と「○○○○」の共通項

「歴史&時代小説」と「○○○○」の共通項

今村翔吾さんの新刊「海を破る者」が発売されました。

舞台は鎌倉時代。いわゆる「元寇」に纏わるストーリーです。

河野一族の水軍や伊予水軍というワードは日本史を学ぶ過程で目にしました。でも勉強不足ゆえ、今作の主人公・河野通有については知識ゼロ。名字の正しい読み方すらわかっていません。こうの? かわの? 

無知には無知ならではの楽しみ方があります。知る、学ぶという喜び。このまま真っ白な状態で挑む所

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【寄贈、購入…保管?】所蔵作品展「MOMATコレクション」(2024.4.16–8.25) 東京国立近代美術館

【寄贈、購入…保管?】所蔵作品展「MOMATコレクション」(2024.4.16–8.25) 東京国立近代美術館

始まりました、MOMATコレクション。
今季の展示概要は公式ウェブサイトをチェックしてもらって。
いつ行っても「面白いな!」「うーん?」「すごっ」「うぇぇ…」「この手のは苦手」「これ好きだわ」→最終的に「今回も目一杯だった…」
という感情、感想のジェットコースターに乗せられているような所蔵品展である。
今回も企画展が始まる前の時期に訪問。土曜日の夜間開館を利用。

4階のハイライト

今回は加山又

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「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

「木村伊兵衛 写真に生きる」(東京都写真美術館):白黒スナップショットから街歩きスケッチを考える

(長文になります)

はじめに 私のNOTEの記事のテーマは、「線スケッチ」に関連するものです。ですから表題を読まれた方はなのになぜ写真展なのかと疑問に思われるかもしれません。そこで最初にその理由を説明します。

写真と私

 中学、高校時代、私は義理の伯父の家に寄宿していたのですが、伯父はなぜか毎月かなりの数の雑誌を定期購入していました。その中に、今は無き「LIFE」、「アサヒカメラ」があり、毎

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「まず自分たちから」&「もし自分だったら」

「まず自分たちから」&「もし自分だったら」

4月の利用率が6.56%とのこと。

12月2日から現行の健康保険証の新規発行を停止すると決まっています。にもかかわらずこの状況。

不可解なシステム障害が多発するご時世です(皆さまと同様、レジを打つ我々も困惑しています)。ましてやセキュリティ等に対する不安を拭えぬマイナ保険証。現状のままで普及するとは考えにくい。もう一度紙のそれとの併用を検討すべきでは?

便利だと感じている人もいるでしょう。尊

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大阪関西万博はキャッシュレスのみ

大阪関西万博はキャッシュレスのみ

大阪関西万博のコンセプトは『未来社会の実験場』今回は会場では現金を使うことはできない。全面的なキャッシュレス決済になるようだ。

現在、日本で全面的なキャッシュレスを導入している主な施設は、楽天モバイルパークや東京ドームなどがありますが、現金支払いする人はまだ多い。(恥ずかしながら、私も現金メインです。)

合わせて、顔認証で決済できるシステムが導入され、事前に顔情報と決済方法を登録しておけば、対

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【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

【これからは◯◯の時代!】三島喜美代―未来への記憶 練馬区立美術館

原美術館が品川にあった頃、その芝生の中庭にいつも大きな新聞紙が鎮座していた。
私が見た三島喜美代作品の最初は、それだと思う。
原美術館が閉館する時、作品はどうなってしまうのか?と思っていたら群馬県のハラミュージアムアークにちゃんと移設された。一安心。

あとは、現代美術館の常設展示室で見かけたりしていたと思う。
やっぱり、面白くてちょっとクスッと笑ってしまうことに惹かれる性分なせいか、作品は作品な

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ハードボイルド書店員日記【187】

ハードボイルド書店員日記【187】

人手不足の週末。電話が鳴った。

諸々の感情を押し殺して受話器を取る。

「森博嗣さんの『人形式モナリザ』はありますか?」
「Vシリーズの二作目ですね。少々お待ちくださいませ」

カウンターを離れ、講談社文庫の棚へ。ない。下のストッカーにも。PCで検索した。半年ほど前に売れ、ずっと補充が入っていない。担当に伝えるべきだろう。

「お待たせ致しました。申し訳ございません、ただいま売り切れていましてお

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「ポッカ」と「ポカリスエット」の思い出

「ポッカ」と「ポカリスエット」の思い出

↓の創刊号が発売中です。

予定では全34号。TVシリーズ2作品とTVSP1作品、そして劇場7作品をHDリマスター版で楽しめるとのこと。

10年ぐらい前に講談社から同趣旨のDVDコレクションが出ていて、その時にTVシリーズ1作目をすべて入手しました。しかし金銭的な事情で2作目の「もっとあぶない刑事」は断念。この機会に見たいです。劇場版も6作目以降は押さえていないので助かります。

舘さんの「いい

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