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ロリコンポケベル大騒動 三重県明和町少女行方不明事件

 三重県明和町山大淀の県職員 (44歳) の長女で、県立松阪工業高校3年の北山結子さん (17歳) が突然行方不明となった。

1997年(平成9年)6月13日
 事件の日の朝は、友人が通学途中のグラウンドで待っている結子さんを見つけている。友人とは通学路が違うため、会うのは初めてのことだった。結子さんは友人に向けて「今から行っても、一限目の途中になるから、遅れていくの」と伝えている。

20時30分ごろ
 結子さんは小中学校で同級生だった親友と中間テストの試験勉強を一緒にする約束をしており、学習塾の採点のアルバイトが終わったあとに車で迎えにきた母親に「友人のところへ行く」と伝え別れた。
 母親から別れた場所から約200mの場所にある町役場近くの公衆電話からこの親友に「これからそっちに行くから」「あと10分ぐらいで着く」と電話した。それ以後、消息が全くわかっていない。
 なお、乗っていた自転車と、持っていたカバンは見つかっていない。なお、この時間帯に銀色のワゴン車が午後8時半から9時ごろにかけて公衆電話から国道23号につながる町道沿いに停まっていたという。また、同時刻ごろ、公衆電話の近くで夜間訓練をしていた消防団員がおかっぱ頭の女の子が一人で自転車に乗っていたのを見かけている。

最後に電話をかけたとされる町役場の近くの公衆電話

6月14日(土) 0時頃
 北山さんを待っていた親友が、北山さんの自宅に「結子さんがまだ来ていない」と連絡。家族全員で付近を捜したが発見できなかった。
同日 2時頃
 警察に通報。 北山さんの友人達はポケベルで北山さんにメッセージに送り、それぞれの家の電話番号を入れていた。しかし、事件に巻き込まれた可能性もあり、不用意に番号を入れない方がいいという判断で、途中からはメッセージだけにした。
 しかし、友人の内の1人だけはメッセージに自宅の電話番号を入れ続けた。行方不明になってから、友達が北山結子さんのボケットベルに毎日、数回は「ドコニイルノ」などとメッセージを入れ続けている。おそらく結子さんのボケットベルは鳴りっぱなしの状態だっただろう。

6月16日(月)
 電話番号を入れ続けた友人宅に何度も無言電話がかかるようになった。最初は無言電話だったが、友人は「結子なの?どこにいるの?」など話しかけていた。
 その後連夜2、3回ほどメッセージに反応して電話返答があった。何度かそういった状態が続いた後、数日後に電話口に男が出て「13日の21時ごろ、北山結子さんを明星駅に送って別れた」と応じるようになった。男は結子さんのポケットベルを持っている理由について「北山結子さんに5万円貸した。ポケットベルはその担保として預かった」などと話していた。
 さらに「会ってもいい」といいと言ってきた。この男性から電話を受けた回数は30回にも及んでいる。またこの男は、松坂高校周辺で生徒たちに「北山結子さんはいるか」と実名を出して訪ねている。

6月22日(日)
 この友人と北山結子さんの母親は、警察が取り囲む警戒体制のなかで指定された松阪市のショッピングセンター「マーム」に出向いたが男は現れなかった。

ショッピングセンター「マーム」

6月25日(水)夜
 男から「ポケベルを返す、取りに行ってくれ」と電話があり、友人と母親が指定された三雲町(現・松阪市) のバス停でゴミ箱の裏手でポケベルを発見した。
 発見されたポケットベルは北山結子さんのもので、高校2年の頃から制服のベストのボケットなどに入れて持ち歩いていた。高校3年からは金属製のハローキティーのキーホルダーに金色の鎖を付けていたが、発見された時にはなくなっていた。

6月27日(金)20時頃
 「ポケットベルはちゃんと受け取ったか」と男から電話があり、警察が逆探知に成功し、現場に駆けつけると、容疑者がちょうど受話器を置いたところだった。捜査員が「何をしている」と聞くと「これから電話をするところだ」と弁解したが、夏で軽装なのに、両手に手袋をしていた。この公衆電話前にいた自称露天商手伝いの男 (46歳) を逮捕した。電話の声とこの男の声紋が一致し、ポケットには結子さんのものと家族が証言がする自地に青色の柄のハンカチが入っていた。

※露天商手伝いの男について
 この男は連続婦女暴行や強盗などで12年間服役しており、出所後であった。男の過去の犯行手口は自転車に乗った女性に車で体当たりして転倒させ、乱暴を働いた上で金品を奪うといったものであった。
 逮捕時、男が所有していたワンボックスカーは購入して4ヶ月ほどしか経っていない新車で、周囲の証言によると頻繁に洗車していた。男の所持するワゴン車は左前のウインカーのプラスチック部分が破損し、バンパーにも衝突したような跡があったとされる。さらにワゴン車内に結子さんのものと見られる漢和辞典があり、中には結子さんの友人のポケットベルの番号が書き込まれていた。
 さらに6月13日以降の伊勢市内の有料道路「伊勢二見鳥羽ライン」の領収書が車内に残されていた。車の中から毛髪約100本や繊維片が採取されている。また男は松阪市内のガソリンスタンドを週1回のペースで利用していたが、事件のあった6月12日、14日、17日に給油している。
 この男は6月17日から6月18日にかけて結子さんが在籍していた松阪工業高校の周辺に現れ、下校中の学生に「北山結子さんという子を探しているんだけど、学校にいるか知ってる?もう帰った?」などと話しかけていたという話もある。また、電話中の結子さんの横にワゴンが停まっていたといった目撃証言もあった。
 結子さんが友人に電話をかけた公衆電話以降の足取りが全くないこと、行方不明になる数日前に結子さんが友人に「白い怪しい車につけ回された。怖い」と話していたことや、男のワゴン車についた傷から、警察は男が公衆電話近くにいた結子さんを車ではね、自転車と一緒に車に乗せて連れ去ったのではないかと考えていた。
 しかし警察の取り調べに対して男は「北山さんとは会ったこともない」「ポケベルはどうやって手に入れたのか覚えていない」といった供述を繰り返し、やがて黙秘をするようになった。
 真犯人だと思われた男は「ポケベルは拾った」「結子さんの友人に連絡をしたのは、女子高生と知り合えるチャンスだと思ったから」といった供述を残して、勾留期限を終えている。

7月8日
 公開捜査となる
7月15日
 捜査本部が男のワゴン車を調べたところ、左前ウィンカーのプラスチックが破損し、バンパーにも衝突した後のような傷が見つかった。
7月17日
 同時刻帯の午後8時ごろから、捜査員15人で行われ、容疑者の銀色ワゴン車を実際に公衆電話内に停め、道路を走る車からどう見えるか、公衆電話前で直接ワゴン車をぶつけることができるかどうかを検証している。
7月18日
 男は証拠不十分で処分保留で釈放された。その後彼女の消息は分かっていない。結子さんのキャッシュカードが行方不明後使われた形跡はない。
7月19日
 「電話中の女子高生の横にワゴン車が停まっていた」という目撃情報が寄せられた。

 その後、櫛田川の3kmにわたり付近の捜索、五桂池を捜索しているが、彼女の消息はわかっていない。

 北山結子さんは身長150センチ、おかっば頭、自い半袖ブラウス、黒色ベスト、黒 いスカートの制服姿。自いルーズソックスに自い紐付きの黒色の靴。ハートマークに「as know as」と書かれたの黒いビニール製ショルダーバッグを持っていた。カバンの中には水色で二つ折りの財布、定期券、櫛、鏡などが入っていた。自転車はブリヂストン社製の黒色男女兼用自転車でハンドルが横一文字型で、前かごが付いている。車体番号はC559004、防犯登録番号は17A-02354。

妄想と考察
 どう考えてもこの露天商、犯人にしか見えないのだが、余程の愉快犯か破滅に向かいたい人間でもない限りポケベルをわざわざ誰かに返さないだろう。
 そして、もしこの男が犯人であれば自分に繋がる証拠をわざわざお披露目しない。この男、拾ったポケットベルから本当に女子高生とお近づきになりたいがため行動したと思われる。なにしろ当時のポケベルは外見だけで若者のものであることがわかるし、高校生を中心に劇的に広がった時期だった。
 道端で拾ったポケベルからひっきりなしに女子高生の連絡が入れば間違いなくおじさんはやる気になるだろう。その後ポケベルの持ち主が事件に巻き込まれた可能性があることがわかり、返したのだと考えられる。
 しかも事件も知らずに性欲に支配された結果、この男は友人に電話してしまっている。また、事件の重要な証拠品だとわかったため、自分に結びつく痕跡を消そうとして、手袋をはめてポケベルを置こうとしたのだと考えられるが、発見されてしまった。
 一度服役した経験もあり、警察・検察の猛攻にもある程度慣れがあるはずだ。「余計な事を話さなければ足元は掬われない」という事を経験から身をもって知っていたのだろう。更に、おそらく有効な物証として車内にあった漢和辞典もハンカチも、毛類も彼女に直接繋がらなかったために釈放されている。

 私は、この男は犯人ではないと考えている。少なくとも殺害し遺棄したのなら、暫くは捜査の行方を注視し痕跡を消そうとするはずだ。一度満たされたのなら数日後に連続して2人目を探すことはそうそうない。
 当時、友人との貴重な情報ツールであったポケットベルを簡単に置き忘れたりはしないだろう。男はどこでポケベルを入手したのかが非常に気になる。公衆電話で置き忘れていたのなら、そこが誘拐現場のはずだ。電話直後に攫われた可能性が高いが、それ以外の場所で拾われたのなら犯人が捨てた可能性が高くなる。他の遺留品が現在まで見つかってないことから、ポケベルだけ捨てた可能性もある。何度も鳴ることで煩わしくなったか、または位置情報がバレることを避けた可能性もある。
 性的欲求のための拉致で、殺害されたのであれば、自転車も彼女の所持品もどこかに廃棄された可能性が高く、監禁でないのなら、事件後も周辺で同様の犯罪を何度か犯しているはずだ。犯人はまだ近くにいる。この公衆電話周辺は夜になればかなり人気の少ない場所のように感じるため、脅したりフリーズを起こせば拉致は容易だろう。
 犯人は男性で車を所持している。さらに自転車を積み込めるサイズの車両を持っている。20代後半から40歳代。性犯罪の前科がある。ポケットベルを回収していないがその他は何も残していない。
 この事件、性欲に駆られたおじさんの出現で急にボヤけてしまい、真犯人に繋がる手がかりが急速になくなってしまった。

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