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36.さいごに。育児休業を全員にオススメする理由。

全35回にわたって、僕の双子たちが生まれる前後の話を書いてきたが
最後にまとめとして、なぜ僕が長期育休をすべての人にオススメするかを
書いていきたいと思う。
僕は可能なら夫婦2人で育休を1年取って育児するべきだと思っている。
その理由を本で言うあとがきのようなものにしたいと思う。

とにかく育児しかしない時間は貴重

人生で育児のためだけに使う時間は本当に貴重。
主に今まで女性が経験してきた産後1年ほどの時間。
人によってはもっと長いその時間は人生で本当に大切な時間。
これから女性も普通に育児をしながら働く事が求められる世の中で
ピタッと止まって一度育児に専念するその期間は本当にその時しかないのだ。

夫婦で育児をする楽しさ

また、育児とは大変孤独な戦いである。
言葉の話せない赤ちゃんとワンオペで向き合うには辛すぎる。
その時期にちょっとした失敗も大人2人で対応できれば
笑って過ごせたりするのだ。

新生児育児=命を預かる。この心理的負荷が大きすぎる。

新生児育児をすると、本当に自分の判断1つや油断1つで命が失われてしまう。
その心理的な負担が本当に大きく、
1人で見ているといつまで経っても心が解放されない。
それを2人で見ている事で、完全に安心して眠れる時間を確保したり、
自分1人の責任ではないと感じられる。
それだけで2人で育児をする意味は十二分にある。

少し余裕があるくらいの方がいい。

これは全てにおいて言えることであるが、少し余裕があるくらいの方がいい。
なぜなら、その余裕のある部分で次の準備ができたり、
トラブルに対処できるようになるから。
例えば仕事でも一緒。
リソースの8割くらいで普段の仕事が回るようにしておけば、
残りの2割は次の営業先の開拓や、新規事業のための研修などに充てられる。
またそれこそ育児休業取得や親の介護休業、交通事故など
様々な原因で人員が欠けても、通常の仕事はなんとか回っていく。
それこそが組織に求められるマネジメント能力であると思う。

子育て中ワンオペだったら、2人お子さんがいる場合
片方がお熱を出したら、急に会社休めますか?
上の子が保育園を休んで、下の子を見ながら病院に連れて行けますか?
親が体調不良になったらどうしますか?
日々の生活でいっぱいいっぱいの中、保育園の見学に何園も回れますか?
この辺りに全てYesと答えられなければ2人で育児をした方が良さそうだ。

女性が育児のために前線を離れないでほしい。

これが僕が今、一番社会的に男性全員が長期の育休を取るべきだと考える理由。
僕は仕事で優秀な女性をいっぱい見てきた。
でもよくよく考えるとその人達の多くは未婚か結婚していても子どもがいない。
そして子育て中の女性で前線でバリバリやっている人の少なさを
自分が子育てするようになってから気づいたのだ。
あまりに残酷すぎる社会の縮図に驚き、自分の大局観の無さに虚しさすらある。

この社会は未だに男性中心で回っていた。
学校の出席番号は男女合同で50音順になったし、
採用試験では男女関係なく採用されているように感じていた。
男女雇用機会均等法という法律ができて
すっかり日本は男女平等だと思い込んでいたのだ。

でも違った。日本には正規雇用されている女性が男性に比べて圧倒的に少ない。
それが能力の違いによるものなら納得できる部分もあるのだが、
実は女性に出産や育児の負担が全ていっていることが原因らしい。

企業は女性社員を「いつか結婚して出産すれば一度、戦線離脱する」と
思い込んでいる。

それが原因で良いポジションが用意されなかったり、
昇進や昇給が男性より遅かったりするらしい。
それはあんまりじゃないか。
僕はすべての人が「こう働きたい」と思って努力すれば、
それは平等に評価されるべきだと思うし、性別で差別されるべきではないと思う。やる気がある人には平等にチャンスを与えるべきだ。

これを実現するために「男性も当たり前に育児で休む」は本当に大事なことで
企業が、男性も女性も「育児のタイミング」があると認識してもらいたい。
別に「育児のタイミング」で一時的に前線を離れたっていい。
でも、元に戻るチャンスは常に作っておいてほしいのだ。
誰もが「子どもを持つ幸せ」を得るチャンスがあっていい。
誰もが「子どもを育てる幸せ」を体感するタイミングがあっていい。
それは仕事をその時頑張る以上に人生に幸福をもたらしてくれると思う。

そのタイミングが終わった時にまた子どもが生まれる前と同じような努力をしたら
そのキャリアの延長線上に自分の居場所を確保するチャンスを与えてほしい。

「子どもを持つ幸せ」を選んだ瞬間に、
今まで築き上げたキャリアを0にしなければならないような社会ではなく
いつでも自分の築き上げたキャリアの途中から再挑戦できる社会に。


多くの場合、このキャリアを0にする事を選択せざるを得なかったのは女性だ。
それを変えていきたい。
キャリアを0にする必要もないし、女性だから諦める必要もない。
一度立ち止まるだけでいいし、
その一度立ち止まる選択をするのは女性だけの役割じゃない。
それは男性だって必要があれば立ち止まればいいし、
立ち止まったらそこで終わりじゃないのだ。

誰もが、いつからでも
やりたいことをやれる、やり直せる社会の方が優しいでしょ。

僕はそんな優しい社会を作る第一歩が
みんなが育休を当たり前のように長く取る社会だと思っている。
だからみんなが育休を取って育児を楽しみ
いつか社会に戻った時に、より働きやすく、より成果を出そうと思えるように。

みんなに優しい社会を目指して、
これからも長期の育休をオススメしていきたいと思う。

2022年6月6日

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