内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます…

内藤郁子 Ikuko NAITO

内藤郁子INClaireです。 音楽について日々思うことや生活の中の音楽の話を書きます。 音楽のたくさんのジャンルで壁を作らず線引きだけして、どれも体験して魅力の違いを比べるのがおもしろい。 音楽って一曲ずつそれぞれの魅力だと思います。

最近の記事

イロハとABC

Chère Musique イントロダクション 今日は初歩的なちょっとしたお話です。 音楽用語や音楽の話の中で使われる言葉は、いくつかの言語を使います。 ピアノ、フォルテ、クレッシェンド、モデラート、、、用語はイタリア語が圧倒的に多く、これには音楽の歴史に理由があります。 そう難しく考えなくても、調の名前を言うときや和音の話をするときなど、イタリア語や英語やそのほか、いろいろ無意識に使う方が多いと思います。 その中でも一番基本である「音の名前」も、きっといくつかの言

    • ラクに歌う音域へ

      Chère Musique 「この曲はキーが高いから、私にはムリかも。。。」 「この曲、大好きなんだけど低いところが出ないのよね~。。。」 よく聞くこれらのお声、本当はどういう意味なのでしょうか。 曲にはすべて、、、厳密には「皆さんが歌いたくなるような曲にはすべて」、“調”というものがあります。 一般的には「Key」という英語の方がよく使われるかもしれません。 音階という音の並び方のセットが、たくさんの種類あるのですが、その、‘どの’並び方セット(音階)を素材として作曲

      • ソルフェージュとインヴェンションの今昔

        Chère Musique イントロダクション 今日はおもに、約50年前のピアノ教室生徒だった方々へのメッセージ。 その方々のほとんどが、「ソルフェージュ」という言葉を聞くと、いやーな顔をします。 そして「バッハ」「インヴェンション」を「つまらない、難しい」と言います。 高校生くらいでピアノ教室を辞めてしまって、何年も経って大人になってから今度は自分で稼いだお金で、自分の意志で自分の癒しや趣味として、大人のためのピアノ教室の門を叩く。 そして、 「素敵な曲を弾きた

        • オーケストラは弦楽四重奏から始まった

          Chère Musique イントロダクション 初めて聴いた友人のピアノ三重奏“OttoTrio(オットー・トリオ)”の演奏会。 とても感動したということと、生徒さんに重奏の生演奏を聴いていただけて嬉しかったことから、重奏というものについて少し書きたいと思いました。 現代ではオーケストラの方が聴ける機会が多いかもしれませんし、そういう経験という意味でも重奏とはどんなものなのかを知らない方も多いかもしれません。 例えばピアノ五重奏というと「ピアノが五人!?」という勘違い

          二人組の演奏の相性

          Chère Musique イントロダクション 私の主宰する音楽アトリエヴォアクレール(vc)では、生徒さんのためのコンサートやクリスマスイベントでソロだけでなくアンサンブルも多く出演されます。 “二人組”の演奏もたくさんあります。 その二人組に二人に対して一緒にレッスンしていて、皆さん良い感じに大切なところで相性が合っている、と思える時がたびたびあります。 歌の二人組とは? 演奏の二人組の種類というと、何があるでしょうか。 vcの音楽イベントでは、二人ともが対等に

          二人組の演奏の相性

          アートカフェフレンズへの感謝

          Chère Musique 私の演奏のホームグラウンドだった恵比寿の“アートカフェフレンズ”が、先日2024年3月31日でその幕を下ろしました。 素晴らしいお店でした。 ここでは、私と相方ピアニスト村西則美さんの理想、「音楽を聴く」ということの基本の在り方を叶えることができていました。 それは、「くつろいで、美味しいものを食べながら飲みながら、大好きな友だちと語らいながら」、上質の空間で音楽を聴ける。 こういうお店は、日本にはそんなに多くありません。 ジャズやロックや

          アートカフェフレンズへの感謝

          故郷を恋うる歌たち

          Chère Musique 『故郷』高野辰之、岡野貞一 『椰子の実』島崎藤村、大中寅二 『故郷の人々』勝承夫、S. フォスター 『峠の我が家』岩谷時子、アメリカ民謡 どれも皆、歌の講座でよく取り上げる作品です。 『故郷』『椰子の実』は日本の歌、『故郷の人々(スワニー河)』『峠の我が家』はアメリカの歌。 共通しているのは、歌詞の内容が故郷を恋うる歌だということです。 日本の場合は、山村から都会へと働きに来た人々が、今とは違って簡単には帰れない状況の中で、親や兄弟家族たちに

          故郷を恋うる歌たち

          演奏のための基礎知識リスト

          Chère Musique 最近なぜか中級や上級のレッスンで多いのが、楽典の教本にあるような基礎知識を、初心に帰ってあらためてもう一度教える場面。 私の普段の指導の中での話題は、演奏テクニックに関すること以外だと、歴史、音楽家、概念的なことが多い気がします。 なので少し新鮮な気分。 楽典基礎知識というのは、簡単なこと(整理すればよいだけなこと)から、少し頭を使って覚えたり練習問題をしたりしたほうがよいことまで、いろいろあります。 最近出た話題では、例えばレッスンしてい

          演奏のための基礎知識リスト

          歌解説『朧月夜(おぼろ月夜)』

          Chère Musique 朧月夜(おぼろ月夜) 作詞:高野辰之 作曲:岡野貞一 菜の花畠に 入日薄れ 見渡す山の端 霞深し 春風そよ吹く 空を見れば 夕月かかりて 匂い淡し 里わの灯影も 森の色も 田中の小道を 辿る人も 蛙の鳴く音も 鐘の音も さながら霞める おぼろ月夜 日本の歌の表すもの 『赤とんぼ』や『里の秋』と同じように、この歌もクラスでは“歌曲”のコーナーで取り上げました。 “唱歌”でもあります。 日本の歌曲をはじめとした歌には、ただ淡々と情景を語る

          歌解説『朧月夜(おぼろ月夜)』

          オーケストラ代理のピアノ

          Chère Musique 最近はモーツァルト作品の合唱レッスンを受けることが多いのですが、そんな中でオーケストラの代理のピアノ演奏についていろいろ思うことがあります。 原曲が管弦楽や室内楽とのアンサンブルである作品は、ほとんどの場合、練習段階ではそのパートをピアノで代行します。 歌やソロ楽器などの主役のパートのために開催される演奏会では、本番もピアノで代行することもあるくらいです。 (身近なよくある例では、協奏曲のオーケストラパートをピアノにした編曲があります。 編曲

          オーケストラ代理のピアノ

          シニアのための音楽講座いろいろ

          Chère Musique イントロダクション 渋谷区民シニアのための音楽講座“歌ってラララ”、2023年度後期が今月で終わります。 6ヶ月ごとのクラスで、4月から9月の前期と10月から3月の後期。 受講される方は毎回抽選で決まりますが、ありがたいことにご希望くださる方が多いため倍率は高いそうです。 すでに2024年の選曲も進めており、新しいクラスでの出会いや再会を楽しみにしています。 シニア音楽講座 歌とピアノと身体音楽の、週一や隔週や月一の定期レッスンを、個人と

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          ミサ曲という音楽

          Chère Musique “ミサ曲”というものを演奏する機会に恵まれています。 私はキリスト教徒ではなく、音楽家の一員として演奏したり勉強したりしているだけです。 ただ音楽家である、ただ音楽好きであるというだけでは、体験できることの多くない音楽なので、機会を得られていることに感謝しています。 19年間という長い間、モーツァルトの作った18曲のミサ曲をすべて演奏しようという企画演奏会に、合唱団の一員として関わってきました。 その間に勉強できたことがあるので、その一部を自分

          ミサ曲という音楽

          大きく広い視点から近づく

          Chère Musique どんな聴き方? 二月の週末講座CSMは、 いつもの“音楽瞑想”から始まりました。 これは私が勝手に考えた瞑想もどきで、ここでも何度か話題にしたことがあります。 私は本物の瞑想とは?という哲学的なことや心理学的なことはよく知りません。 ですが、たぶんこのようなものを瞑想と言うのではないか、と勝手にそう呼んでいます。 心と体を普段モードから音楽をするモードに切り替える、というつもりでやっています。 講座ではほとんど毎回、個人レッスンでも頻繁に、始め

          大きく広い視点から近づく

          歌うときの上半身

          Chère Musique 歌の中での空の高さ コンサートで、空や星や月などの歌詞を歌うときの首と目線の角度を、いつも考えます。 歌詞をどこまで深く解釈できるか、その解釈をどこまで声で表現できるか、そして私が自分の特徴だと思っている顔つきや態度で見た目にもその解釈を表すことを、とても大切にしています。 私に言わせれば、声で表現している内容と、お客様から見た歌い手の顔つきや身振りなどの見かけが、合っていないなどということは、本当に良い表現者なら無いはずなのです。 ですから

          歌うときの上半身

          演出されるという体験

          Chère Musique 演奏するということは声や楽器の音を奏でること。 どんな音をどんなふうに奏でるか。 でも実は、演奏の中にはそれ以外にもすることがあります。 「歌ったり楽器を奏でたりすることだけでも大変なのに!」という方が多いかもしれませんが、私はこの「それ以外のこと」も、少しだけでもいいので大切にしていただきたい。 そうれけるようなレッスンをしたいと心掛けています。 私の企画するイベントで演奏する時には、衣装の相談がご本人達との間で繰り広げられます。 もちろん

          演出されるという体験

          イギリスの舞踏音楽の思い出

          Chère Musique イントロダクション このところ、“音楽と心や体”という感じのお話を続けています。 1月の週末講座を「音楽の中にたっぷりと浸って、体と心を活性化させるというメニュー」でおこないました。 寒さやいろいろで固まっている心と体のために、音楽の力を借りる、という内容。 事前に不要な硬さや重さを少しでも取り除いておくと、良い演奏をすることができます。 演奏でなくても普段の生活でも、自分を軽く、柔らかくしたいと思う季節なので、とても好評だった講座でした。

          イギリスの舞踏音楽の思い出