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踊る人必見!舞踊基礎の「8大要素」

舞踊講師のIKUです。 中国大陸の舞踊を踊り、教えています。

今回は舞踊の基礎を紐解いていきます。
実際に踊る方だけでなく、鑑賞が好きな方も、運動が好きな方にも読んでいただけたら嬉しいです。

8大要素

広義の舞踊で必要となる8要素です。中国の舞踊では基本功と呼ばれる身体作りで総合的にレベルアップさせます。

①站 zhan(立つ)
②立li(立ち上がる)
③直zhi(真っ直ぐに伸ばす)
④行xing(ステップ、歩き方)
⑤韧ren(柔軟性、しなやかさ)
⑥快kuai(スピード)
⑦轻qing(軽さ)
⑧稳wen(安定性)

1つ1つどんな基礎になるのか解説していきますね。

①站 zhan(立つ)


この立ち姿、立ち方ができていないと他の基礎や動作について語ることはできません。なので「立つ」は第1要素に挙げました。
どのように立っているのでしょうか…

・重心を真ん中に骨を下から重ねるように積み上げる。
・膝裏を伸ばし、お尻をしまい、骨盤を真っ直ぐに、腰を立てる。
・さらに背骨を立て、肩を開き落とし、首を長く引き伸ばす。
・さらにさらに、呼吸は沈ませ、頭頂から上に引っ張られるような感覚

やってみると意外と難しいんですよ。
力まずこの立ち方が自然にできるのは日頃の鍛錬の賜物です。

②立li(立ち上がる)


「立ち上がる」は1、站 zhan(立つ)の延長の動きです。
見た感じはただのつま先立ちなのですが、踵を浮かせ足の甲を伸ばし、「立つ」の状態を保ったまま、重心を安定させます。
「立ち上がる」が出来ていると足元が安定し、回転もバランスがとれ、ステップの足取りも軽く見えます。
バーレッスンのつま先立ち(バレエで言えばルルベ、中国語なら半脚尖立)や片足でのつま先立ち、フロア練習でのつま先立ちで身につけていきます。

③直zhi(真っ直ぐに伸ばす)


基礎の3つ目「真っ直ぐに伸ばす」とは身体を強張らせるのではなくラインを美しく見せる事です。
重要なのは脚と背中が真っ直ぐに伸びている事。脚には足の甲と膝も含まれます。
足の甲は出来る限り伸ばし、膝は凹凸をなくすように。
背中は「立つ」の練習をさらに追求し、背骨の隙間を開くように引き伸ばします。
身体は緊張させると縮みますので、伸ばすためにはまずはリラックスです。
リラックスした状態で骨の間を離す用に伸ばしていきます。

④行xing(ステップ、歩き方)


ある人は振り付け動作は良いのですが、舞台上を移動するとどうも不恰好になってしまう…あるあるです。
「歩く」には素早い重心移動が必要です。足元だけ動かせば良いのではなく、身体をコントロールし保ったまま歩きます。足だけで歩かないのです。
このステップ、歩き方の練習が出来ていると舞姿の正確性が増すと同時に、踊る過程での重心移動コントロール能力もレベルアップします。


⑤韧ren(柔軟性、しなやかさ)

足の甲、脚全体、骨盤、腰、背中、肩、手等の筋や関節の柔軟性を高めていきます。身体の柔らかさや、しなやかさを手に入れることで空間表現が豊かになり、動作中の抵抗が少なくなります。
ただ、ペタンと足が開いたり柔らかいだけでなく、立ったまま行う、ジャンプしながら行うなど、支える筋力も必要となります。
・動きの中で行う動的ストレッチ→蹴り上げる、勢いよく降る等
・停まって行う静的ストレッチ→引き伸ばす、押す等
各種ストレッチで全身バランス良く柔軟性、しなやかさを身につけていきます。

⑥快kuai(スピード)

そのまんま、スピード性のことを指します。
動作が速くても固めず、キレを出すために力を抜きすぎない様、訓練を重ねて、さまざまなスピード性を身につけます。
回転やステップなどスピード感のある動作、舞姿の変化は踊りに不可欠です。

⑦轻qing(軽さ)

そのまんま、動きの軽さのことを指しています。
身軽に空中を跳ぶ姿、ジャンプ後の無音の着地。動作を簡単に軽くやってのけるよう見せるコントロールを行ないます。
基礎としてはバーレッスンのしゃがむ動作(プリエ)や舞姿のキープ、ジャンプのコンビネーションで軽さの質感を高めていきます。

⑧稳wen(安定性)

動作が安定して、舞姿が正確である事を指します。
雲や水が流れるように動き、正しい位置へ舞姿をかえる。
速い動きから一瞬の停止の際にブレない軸作りや、片足やつま先立ちのバランスポーズ、回転軸、着地の際の関節の送り方などのレベルを高めます。
重心移動のある組み合わせや呼吸、コントロールの組み合わせで質を高めます。


「美しく踊りたい。上手になりたい。」
その想いを叶えるためにはコツコツと基本功で基礎を作るしかないのかもしれません。シンプルにね。
すんごいダンサーも、目を惹くダンサーもみんな基礎があります。
天賦の才があるように魅せているだけで、きっと苦しい基本功を続け、身体の自己実現を達成してきたのではないでしょうか。

中国にはこんな言葉があります。
「台上一分钟,台下十年功」
「舞台での1分間は、舞台裏での10年の努力」

わかるよ、わかるけどしんどいよね。と心の中で思いつつ今日も基本功から励みます。



©2024 Iku Matsuda




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