カープダイアリー第8458話「オイシックス薮田、西武中村祐太が同時に投げた日に遡り思うこと」(2023年12月9日)
来季からNPB二軍戦に参加するオイシックス新潟アルビレックスBCが地元のハードオフ・エコスタジアムで新入団選手会見を行った。
NPB経験のある選手ら21人が出席。その中にはカープから新天地を求めて新潟に“移住”した薮田もいた。
「まだまだ現役でできる。一生懸命野球に向き合い、チームの勝利に貢献したい」としっかり抱負を語る姿は広島時代と変わらない。
マツダスタジアムのお立ち台でもファンに向けて熱い思いを伝える姿はお馴染みだった。
ただし髪は金髪に近い色に染められており、やはりその姿勢は“相変わらず”。集合写真で見ても茶髪はいても金髪は薮田だけ。
それが薮田、そんな調子だからとうとうオーナー枠からも外された。それがわかっていないようでは、すぐに日本海の冷たい風の中で現実と向き合うよういなるだろう。
前年から始まった現役ドラフト。カープ球団が薮田をもう1年、と考えるなら現役ドラフトでリストアップする手もあった。前年はもしかしたらリストに名前があったかもしれない。だが、今回はそうはならなかった。“もうさすがに面倒は見切れない”ということなのだろう。
現役ドラフトは何から何まで非公開だから、その内情は見えてこない。特に各球団が提出するリストアップされた選手名は極秘事項だ。
よって、どんな形で現役ドラフトが行われたか、は関係者の話に頼るしかない。
そんな話をまとめると、最も多い獲得希望票を集めた巨人が取り決めにより1番目の指名権を得て、阪神の馬場皐輔を指名。指名された球団が次の指名権を得るため、続いて阪神がオリックスの鈴木博志を指名してスタートした。
各球団とも2人以上の対象選手をリストアップすることになっているが、3人以上をリストアップした球団も複数あったという。
ではカープはどうだったのか?
西武移籍が決まった中村祐太は東京都出身。関東一高から2013年のドラフト5位で広島にやって来た。今季が10年目で推定年俸は1000万円。ひと言でその特徴を表現するなら万能型右腕で、どんな場面でも投げることができる。
最大の武器はスライダーとハイレベルの野球脳。メディア取材の際にあれほど明確な言葉で対応できる選手はそうそういない。要するに自分のことをよく理解している。
4年目の2017年には緒方監督の下で14試合に先発してプロ初登板初勝利を含む5勝をマークした。そのままの成長曲線が期待されたがそうはならなかった。
そしてついに2022年は一軍登板なし。ただしウエスタン・リーグでは20試合100回を投げ懸命に一軍昇格の道を模索した。
新井監督になっての新体制はまさに「勝負の年」だった。その証拠に2月12日に天福球場であったキャンプ最初の紅白戦で1イニングを投げて末包・右飛、坂倉・左直、上本・中飛というスタートを切っている。
この試合で投げたのはほかに遠藤、島内、松本、高橋昂也、森、ケムナ、藤井黎來、そして薮田…だった。
おそらくこの日登板した9人の中には中村祐太以外にもリストに名を乗せた投手がいるはずだ。9年目の塹江、7年目の高橋昂也あたりはリストアップされても不思議ではない。ともに”のびなやみぃ”の枕詞がつく。
新井監督は「全選手で戦う」の言葉通り、中村祐太にも一軍登板のチャンスを与えた。
4月12日のバンテリンドームナゴヤで早々に一軍のマウンドに立った中村祐太は1回15球1安打1四球、無失点で最初のテスト登板をクリアした。
さらに6月の交流戦では4試合に投げた。だが4試合目、6月18日の西武戦で1回19球3安打4失点、自責0。これがマツダスタジアムでのカープファンとのお別れ登板になった。
この試合、先頭佐藤龍世の遊ゴロをショート矢野がエラー。続く一番源田は送りバント。そのあとライトフェン直適時二塁打、捕邪飛、レフトへの適時二塁打という流れになり打席には五番岸。
ボールカウント2-1からのカットボールがど真ん中に入って左翼越え2ランを許した。
ただ結果的には西武がその右腕を買ってくれたことになる。
龍馬は「環境を変えて、新たな自分探し」という言葉を残して大阪に帰って行った。「野球人生…短い」とも言っていた。
立場は大きく違うが、その思いは中村祐太にもそのまま重なる。そして未来のことは誰にも分からない。
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