カープダイアリー第8365話「9月のスーパー残暑、陽炎の先で揺れる反転攻勢への道」(2023年9月3日)

新井監督が手塩にかけてきた選手たちと目指す反転攻勢への道は、9月のスーパー残暑とともに陽炎の先で揺らぎ始めた。

プレ―ボールは午後1時半。「本人も鼻息荒くしていた」(新井監督)という九里は、しかしマウンドでの立ち姿が重たそうに見えた。中4日でうだるような暑はさぞ堪えたことだろう。初回、二死満塁で宇佐見を空振り三振に仕留めたがいきなり27球を要したから最後までリズムに乗れずじまい。5回7安打3球1失点、自責0での降板となった。

失点は三回。内野安打の大島に送りバントで二進され、三番カリステの三ゴロをマットがファースト松山の遥か頭上に高投した。ボールはそのまま内野席へ。2つの進塁が与えられたことでミスミス大島の生還を許した。

だがマットを責めることはできない。濃い色のサングラスを着用していてもほぼ正面を時間の経過とともに左から右へ移動する太陽の光が普段とは異なる目の動き、体の動きを強いるからだ。

悪戦苦闘はグラウンドレベルだけじゃない。カープパフォーマンスなどの外野席、コンコースなどにも陽射しが照り付けて、マツダスタジアム内に設けられている救護所に担ぎ込まれたり、連れて来られる客が相次いだ、その数およそ50人。さらに救急車要請がおよそ30回。死人が出るんじゃないか?という勢いだ。

酷暑対策として場内5カ所に設置された氷配布所。スタジアム内では製氷機も稼働しているが、外部からの購入分も含めて五回までには品切れになった。

陽射しは次第に角度を落としながら、それでも容赦なく選手たちに降り注ぐ。七回、先頭のマットが汚名返上とばかりに三塁線を突破する二塁打で出塁。代走に矢野が送られて堂林の送りバントで一死三塁になった。

中日打線はここで柳からフェリスにスイッチ。新井監督も動いて曾澤の代打は坂倉…

坂倉の赤いヘルメットは9月の陽射しを反射していた。そう午後4時を回ってもまだグラウンドは灼熱状態…

坂倉のバットは落ちる球に空を切り、八番末包は外角攻めに遭い、心持ち短く持ったバットを振ることなく見逃し三振に終わった。

直後の八回には島内が第1戦に続いて失点。3点のビハインドを跳ね返すだけの力はなく、今季12度目の完封負けとなったのである。
 
今季7度目の対戦となった柳を打線が捉え切れなかったことは確かに問題だ。次もまた立浪監督は右腕をぶつけてくるだろう。
 
だが、主たる敗因はほとんど猛暑日の中でカープナインにゲームを強いた松田元オーナーにある。照明費用などナイトゲームはデーゲームより運営コストが高くつく。入場者数もデーゲームの方が多い。正に利益第一、ファンや選手の健康、コンディションはそっちのけ…
 
8・6に大瀬良を先発させ、河野佳を中継ぎ登板させ、中村奨成をその日まで一軍に帯同させた“オーナー枠”と根はいっしょ。野球の神様がそんな悪行を許すはずもない。

中国新聞9月1日の紙面には「8月は13勝11敗3分け。6連戦が続く日程で27試合中22試合が屋外球場と厳しい環境での試合が続いた。9月も5カード連続で屋外での試合」と記されていた。
 
ならば、この日の惨状も大見出し付きで書くべきだろう。「猛暑日デーゲーム、チームはバテバテ完封負けで緊急事態、観客は救急搬送30回」と…
 
ピースナイターショックは1分けを挟んで6連敗と尾を引いた。だが残り試合を考えれば連敗はもうできない。
 
月曜日を挟んでDeNAがマツダスタジアムに乗り込んでくる。午後5時試合開始の横浜スタジアムでは7-8で敗れて連勝が4でストップしたが三浦ベイスターズは勢いを取り戻しつつある。
 
午後6時から神宮球場では阪神がヤクルトに7―1で快勝して優勝マジックは15に減った。
 
だが必死で、明るく元気に戦うチームの最大の敵は身内にあり。秋の気配が広島の街を包み込むころ松田元オーナーはどんな総括を番記者たちに述べるのだろうか…

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