カープダイアリー第8343話「8・6ピースナイター0対13完敗、8・9神宮球場5対11大敗、首位まで4・5差」(2023年8月9日)

「うわー捉えたぁ…満塁、ホームラーン!プロ初ヒットがグランドスラムでしたぁ」

DAZN中継の谷岡慎一アナ(フジテレビジョン)が叫んだ。

その瞬間、森翔平が積み重ねてきたものは全部吹き飛んだ。神宮球場のスコアボード、三回裏の「7」に中継カメラズームイン…

狂喜するスワローズファンと悲鳴を上げるカープファン。着弾地点は赤く染まったレフトスタンドだった。

今後の投手編成を見据える新井監督は五回、4回8失点の森翔平から河野佳にスイッチした。結果は火に油。先頭村上に21号ソロを運ばれると、グランドスラム弾の北村にも適時打された。

松田元オーナー演出の「8・6ピースナイター」登板で、中田翔の通算300号と岡本和真の1試合3発を“配給”した河野佳。期待の右腕には決定的な弱点がある。球の出所が見えやすいから満振りされる。2月のキャンプイン当初から改善されないままの課題だ。

ピースナイターは0対13の完敗に終わり、神宮球場に乗り込んでの初戦は4対5惜敗、この日は七回に龍馬、坂倉の連続ソロなどで反撃したものの5対11大敗となった。

3試合合計で29失点。交流戦から続けてきた#守りを固めてのカウンター“のチームスタイルが一気に破綻しかねない状況だ。

首脳陣は、森翔平の起用に関して細心の注意を払ってきた。

今季初先発は6月25日のマツダスタジアム。巨人相手に5回2失点でプロ2勝目をマークしああと、この日までの4試合のイニング数は4・5・5・6。前回2日のDeNA戦(マツダスタジアム)でやっと五回の壁クリアとなった。

自身3連勝の勢いに乗り今季6度目の先発マウンドに立った森はどんな心理状況にあったのか?7月、2度の対戦でいずれも3ランを打たれたオスナが故障離脱中という追い風が吹く一方で、村上を筆頭に中村、長岡らレギュラー組にはしぶとい打撃をされ球数が増える傾向にあった。

その不安が露呈したのが、打順2回り目の三回だった。来日初先発のロドリゲス三振でワンアウト。そこから一番塩見の左前打と濱田四球、山田死球で一死満塁のピンチを招き、初回の対戦で見逃し三振に仕留めた村上に初球を2点適時打された。

動揺はそのままプレーに反映される。サンタナを迎えてフルカウントから投ゴロを打たせたのに自らバウンドする打球を弾いてまた満塁にされ、粘る中村には7球目を適時打された。

そして打席に迎えたのがルーキー北村だった。

オスナとの入れ替わりで北村が2度目の一軍昇格を果たしたのが5日前。二軍戦10本塁打の長距離砲はこの試合までに5打席に立ちノーヒット。通算6打席目の二回、プロ初打点をマークして盛り上がるヤクルトベンチに迎えられた。

坂倉のリードに頷きながらチェンジアップ2球のあとフォークを3球続けてライトに犠飛を上げられて先制点を許した。

第2打席でもバッテリーが選択したのは初球チェンジアップ。甘く入ったところを振り切られた。死四球を挟みながらの4連打のあとの満塁弾、そんなストーリーはあってはならない。

北村はドラフト5位入団。阪神から1位指名された森下翔太は中央大学チームメイトだ。

鈴木誠也の抜けた穴の大きさを考えれば当然、森下翔太や北村を指名すべきだろうに、松田元オーナーの下したドラフト戦略は斉藤優汰ありきだった。その”将来性豊かな“右腕は現在、二軍戦でストライクがまともに入らない。

ヤクルトとの3度目の対戦で大炎上となった森翔平は2021年のドラフト2位。同ドラフト1位指名の黒原ととともに「一軍で通用する人材ではないのでは?」と疑問を投げかけるアマ野球重鎮の声が重くのしかかる。

さらに「即戦力」の期待が高かった2022年ドラフト組も、防御率が12・54に跳ね上がった河野佳とともに益田武尚、長谷部銀次も一軍登板できる状況にない。

これで新井一家の船出から101試合を消化して55勝44敗2分けの貯金11。この日延長勝ちした首位阪神とのゲーム差が4・5に開いたとはいえ、マット以外に“新鮮力”なしの大健闘!

優勝、日本一を目指す現場の最高責任者は新井監督だが“後方支援”が枯渇するなかでの戦闘には様々な制約がかけられる。一方の高津監督は、7月13日の契約のあと来日初登板で5回1失点ピッチングを披露したロドリゲスに助けられてチーム3連勝となった。

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