カープダイアリー第8347話「秋山、坂倉抜きの打線、柳の前にあわやノーノー、マルティネスから堂林延長勝ち越し弾も矢崎連続被弾で”歴史的”サヨナラ負け」(2023年8月13日)

「放送席、放送席、歴史歴なゲームになりました、きょうは4人」
 
バンテリンドームナゴヤに場内合うアウンスが響いた。

そのころ新井監督は番記者たちに「ぜんぜん辛くない、関係ないから。何でもどんとコイ、という感じ」と言い残してバスに乗り込だ。サヨナラ負け7度はリーグ最多。辛い広島までの移動となった。
 
お立ち台には、初回に球団新記録となる26試合連続安打を放った岡林、延長十回同点ソロの石川昂、同じくサヨナラホームランの宇佐見、そして9回121球ノーノー4三振3四球の柳が並んだ。
 
ー柳さん、9回ノーヒットピッチングを振り返ってください。
 
「はい、みなさんのおかげでノーヒットノーランを達成することができました!」
 
柳はこのタイミングでもまだ状況を把握しきれずにいた。それだけゾーンに入っていたのだろう。スコアボードにはゼロが18個並び、延長十回のマウンドにはライデル・マルティネスが上がった。
 
ノーノーは試合完了まで投げることが条件になる。続投よりも守護神投入を優先した立浪監督はこう振り返った。
 
「負けがつくという嫌な予測をしてはいけないんですけど、それよりもきょう9回をゼロで抑えたという、その方が次につながるのかな、という思いはありました」
 
試合は両先発右腕の投げ合いになった。
 
遠藤は5月5日のマツダスタジアムのマウンド(阪神戦)を最後に長い二軍調整を続けてきた。ゆえに立ち上がりこそ手探りだったが、曾澤のリードで中日打線と柳に立ち向かい七回一死まで4安打無四球。そのタイミングで宇佐見に四球を与えたが高橋周平を併殺網に引っ掛けた。
 
八回、二番手栗林が3人で片付けて九回の攻撃。二死から野間が四球を選び代走羽月が二盗に成功。打席には上本。チーム初ヒットが決勝タイムリーかも?とWリーチがかったかっこうだったが結果は左飛に終わった。
 
延長十回、ここまで36試合で自責ゼロのライデル・マルティネスから堂林が左中間スタンドに6号ソロを叩き込んだ。

秋山を欠き坂倉もベンチスタートとなる打線は柳の快投を許し、残された道は一発長打。ベンチと、レフトから一塁側スタンドを埋めるカープファンの願いが乗り移ったような放物線だった。
 
ところがその裏、矢崎がいきなり石川昂に赤く染まったレフトスタンドに同点弾を撃ち込まれ、続く宇佐見にはライトスタンドぎりぎりに持っていかれた。新井監督以下、ベンチの全員が矢崎に負けないほどのショックを受けただろう。だが、それ以上だったのが曾澤ではないか。
 
前回スタメンマスクは3日前の神宮球場で初回6失点の床田とともに悔しさを噛み締めた。いきなりのサンタナ3ラン。それが、またしても取り返しのつかない被弾となった。流れとはこういうもの。だが、そこには必ず理由が存在する。野球の神様は、じっと見ているのである。
 
ナイトゲームの阪神が10連勝をマークして2位とのゲーム差を今季最大の8とした。2日後には優勝マジックが点灯する可能性が生まれた。
 
8・6、0対13大敗は、やはり単なる1敗ではなかったことになる。そのあと神宮球場で計29失点と長らく磨き上げてきたディフェンスが破綻、広いバンテリンドームナゴヤに移ると今度は3試合で計6得点8失点。カウンター攻撃3発も実らず、得失点差2が2敗1分けに直結した。
 
新井監督1年目の挑戦はこれで105試合を消化して残り38試合。阪神との直接対決は週明けのマツダスタジアム3連戦も含めてジャスト10。7勝3敗以上でないと反転攻勢とはならない。本拠地での7試合はひとつも落とせない。

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