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臨床医から別世界へ〜アラフォー女医の場合〜

 地方大学を卒業し、そのまま地方で入局、臨床医生活を送っていましたが、結婚出産を期に想定していたライフスタイルがガラッと変わったアラフォー女医の話です。臨床医、研究医、さらに第三の道があることをご紹介します。

医師15年目の今思うこと

 大学受験をする際に、医学に興味はもちろんありましたが、医師免許証をもっていれば、仕事に困ることはないな、と割と手堅く考えて将来の進路を決めた10代でした。その後医師となり、安定した仕事ができるなと実感していました。そして10年前、いや5年前ですら、このまま臨床医(勤務医)を続けていき、いずれは開業かな?というくらいの人生設計でした。それがまさか、臨床医を半分退いて、全く違う仕事をしているとは。人生何が起こるかわからないなと実感し、そしてそれにワクワクしている自分がいるのです。

臨床医としての自分

 地方大学を卒業後、初期研修を経て、消化器内科を専攻して入局しました。どの地方でもそうかと思われますが、地域の病院はほぼ大学と連携しているような場所だったので、当時は入局することが当たり前でした。大学病院と市中の二次・三次病院で数年ずつ勤め、手技が上達していくことや知識が増えていく、あるいは経験が増えていくことに面白さを感じました。同期も多く、経験を語り合い、他の同僚とも飲みにいき、夏休みは海外旅行など独身生活を自由気ままに謳歌でき、充実した毎日でした。
 博士取得が必須の医局なので、2年間は研究が主体の生活を送り、1年の休学を経て無事に学位を取得することができました。この研究生活も臨床医とは違った視点など垣間見ることができて有意義で新鮮でした。

人生の転機

 第一の転機(hop)はありがちですが結婚でした。相手(医師)の入局大学が都内で、私自身の地元も都内だったため、大学から居た地方を出ることになりました。さて、自分の働く先ですが、たまたま医局の関連病院が都内近郊にあり、結局、医局人事ということで収まりました。新たな土地での勤務医生活は、医局関連ということもありそこまでは変化はありませんでしたが、他科は異なる大学系列だったり、医局所属ではない医師も多く、雰囲気は今までとやや異なる印象でした。
 第二の転機(step)は妊娠です。年齢的にも妊活優先で仕事をしていました。消化器内科では、透視を使用する検査や治療もあるので、本格的に妊活していた頃は透視を避けて、同僚にお願いする時期もありました。そして妊娠したちょうどその頃、ユビーに入社した大学同期から連絡があり、ユビーの存在を知ったわけです。医師の経験・知識を生かして医療系コンテンツを造る、臨床第一線を退いてそのような仕事を身近でやっている人がここに居た、へぇ!という第一印象でした。
 妊娠生活を送る中で、出産後は子供中心の生活になること、夫の転勤もあるため、いつかは今の病院を辞めなければならないこと、その後の職場選びは医局を離れ自分で環境を整えていくこと、など考えて今後はどうしようかなと初めて具体的に考え出した時に、ユビーで働く同期をみて、こういう選択もあるんだ、と気づきました。そして当初は育休の間に、業務委託という形でユビーに携わっていきました。
 育休から復帰後、病棟も当直も拘束もない外来診療・内視鏡検査医として1年間は病院勤めを継続しました。消化器内科医としてフルで働くとなると、どうしても緊急などの業務が多いので、制限せざるを得なく、このような勤務スタイルで続けていました。特定の分野のエキスパートになりたい!というほどの野心はありませんでしたが、バリバリ働きたいという感覚は10年経ってもあったので、やはり自分としては物足りなさを感じざるを得なかったのは事実です。ただ、子育てを優先したかったので、納得の上でしたが。
 そんな中、夫の転勤が決まったため、自分も転職しなければならず、医局人事を離れる時に、ユビーの同期から社員として一緒に働かないかと声をかけてもらいました。タイミング的に良いチャンスと、思い切って臨床医を一旦退き、転職しました。これが、第三の転機(jump)となりました。

転職してからの自分

 業務委託で仕事内容は少しわかってはいたものの、医学的知識を使うけれど全く違う仕事で多少戸惑いながら過ごしていました。しかし同期をはじめ、チームのエンジニア達にも助けてもらい、少しずつ馴染んでいきました。実は2人目を妊娠していたので、入社半年で産休に入ってしまいましたが、育休も取得でき、出産後半年で復帰、現在に至ります。
 実質1年ほど働いた今、転職を振り返ると、思い切って飛び込んで良かったと確信しています。臨床医として蓄積された知識と経験は、今の業務に確実に役立ち、臨床感覚はこんな場でも活用できるのだと気づきました。目の前の患者さんの病気を治す、という直接的な医療は行えませんが、数年後の未来、不特定多数の患者さんがより適切な医療にたどり着くために今の仕事をしているんだという認識がモチベーションにつながります。自分の場合は、制限しながら消化器内科医としての業務を続けていくより、新しいことにチャレンジするのが楽しく、高く羽ばたいて行けそうと感じています。
 また、毎日朝から夜まで長く居て、夜や土日も呼び出され、という病院ベッタリ時代を思い出すと、今は全く違う生活スタイルなので、家や子供の用事を仕事の合間に済ませるなど、時間を調整してやりくりできるというのがメリットです。今後また夫の転勤があっても職場を変えずに済むことも魅力的な一面です。
 医師免許証という最大の保険を持っているので、もし今の仕事を続けていく中で将来やはり臨床医に戻りたいと思えば、戻るチャンスはいくらでもあるので、いろんな働き方を試すのは今のうちだと感じています。

医師の転職について

 当初は病院が変わることがあっても、臨床医以外の働き方は、研究医くらいしか知りませんでした。大学院生活で自分には研究は違いそうと感じていたので、臨床医以外の選択肢はないなと思っていたところ、大学同期を通じて新たな働き方を知って、大きく世界は広がりました。臨床医としての充実感は感じられないかもしれませんが、違った充実感は確かにありますし、自分の場合は、臨床医としてだと100%出し切ってない感、周りに迷惑かけている感がどうしても払拭できなかったので、今の仕事はその点は気にすることなく100%目の前の仕事に打ち込めていると感じます。自分の生活スタイルに合わせた働き方をする上で、臨床医の選択肢以外にユビーのようなヘルスケアスタートアップもあるのだ、ということを是非知っていただけたら本望です。

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