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書籍レビュー『フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか』堀内都喜子(2020)よく働き、よく学び、よく遊び、よく眠るフィンランドスタイル



最近、北欧が熱い!

個人的に北欧は最近、
気になっている地域なんですよね。

昨日紹介したゲーム
『It Takes Two』は、
スウェーデンのゲームですし、

以前紹介した映画『ラム』は、
アイスランドが舞台の
作品でした。

(制作はアイスランド、
 スウェーデン、
 ポーランドの合作)

近年、私が気に入っている
フライングタイガーという
雑貨屋さんは
デンマーク発祥のお店です。

そんなわけで、
北欧が気になっていた私が
以前から読みたいと思っていたのが、
この本でした。

フィンランド大使館に勤める著者が
フィンランドの暮らしについて
書いた本になっています。

お互いの「個」を尊重する文化

フィンランドといえば、
教育や福祉が素晴らしい
という話を以前から
聞いていました。

この本を読むと、
その理由が少しわかります。

とにかくフィンランド
というのは、
「個」を重んじる文化なようで、

だからこそ、
教育や福祉が平等に
行きわたるような
政治が行なわれているのでしょう。

「個を重んじる」
というと、
好き勝手に振る舞うような
印象を持たれるかもしれませんが、

その逆なんですね。

自分の「個」を大事にしつつ、
相手の「個」も尊重する、
そんな文化に感じました。

よく働き、よく学び、
よく遊び、よく眠る
フィンランドスタイル

なんと言っても、
多くの人が興味を持つのは、
この本のタイトルにも
なっている部分でしょう。

ズバリ!
「フィンランド人はなぜ、
 午後4時に仕事が終わるのか」

実際、著者もフィンランドでの
生活を経験して、
職場ではこのような光景が
当たり前だったそうです。

午後4時ともなれば、
職場は閑散としはじめ、
遅くても4時半くらいには、
オフィスが無人になる
という話でした。

フィンランド人が
そんなに早く帰って
何をしているのかといえば、

家族との団らんや、
個人の趣味に興じている
とのことでした。

「北欧」というと、
自然が多くて、

ゆったりとしたイメージを
持たれる方も
多いかもしれませんが、

この本によると、
フィンランド人は
かなり忙しいようです。

しかし、その忙しさは
日本人のそれとは、
異なっており、

仕事とプライベートの
両方が忙しいようですね。

フィンランド国民の多くは、
知的好奇心も旺盛で、
「やりたい」と思ったことは、
すぐに行動に移すようで、

仕事が終わったあとに、
スポーツに励む人、
勉学に励む人も
多いんだそうですね。

私などのように、
仕事でヘトヘトに
なっているのとは、
かなり違います。

さすがは幸福度ランキング1位の
フィンランドなだけのことはあります。

人生が充実している感じがしますね。

そして、夜は早めに就寝し、
フィンランドの平均睡眠時間は、
7時間だそうです。

本当にうらやましい限りです。

ここまで書くと、
何かフィンランドの人々が
ただただ恵まれているかのように、
感じられるかもしれませんが、

当然のことながら、
そこにはたゆまぬ努力が
あってこそ、

仕事とプライベートの両立
なんですよね。

仕事もしっかりやるのが、
フィンランド流です。

ビジネスにおいては、
徹底的に合理化が図られており、

日本とは違って、
電子化や時短が進んでいます。

中でも印象的だったのが、
社外の人との打ち合わせや
会議なんですが、

フィンランドでは、
こういうものを極力
省力化してやっているそうで、

用件だけ話して、
サッと終わらせるそうですね。

それが社外の
取り引き先であってもです。

日本ならばとても考えられません。

会議はいつまでも結論を出さずに
ズルズルやるイメージですし、

社外の人との打ち合わせともなれば、
世間話の一つでもしないと、
「不愛想」と思われかねません。

そういう面では、
フィンランドの人々は、
やはり、お互いの「個」を
尊重する文化なのでしょう。

時間を無駄にしないことが、
何よりも相手のためにも
なりますし、
それがフィンランド流なんですね。

日本も相手のことは
考える文化とは思うのですが、

妙に本音が言いにくかったり、
まだまだ仕事中心の文化
だと思うんです。

「仕事中心」というのが、
常識の根底にあると、
(暗黙の了解的な)

なかなかフィンランドのような
ビジネススタイルは
確立できないと思いますね。

日本人も少しは、
フィンランドを見習って
多様な生き方が許される国に
なってほしいものです。

そのためには、
まず、自分の行動ですね。

この本を読んで
「いいなぁ」と思ったところで、
取り入れられるところは、

少しずつ取り入れていきたいと
思っています。


【書籍情報】
発行年:2020年
著者:堀内都喜子
出版社:ポプラ社

【著者について】
長野県生まれ。
フィンランド・ユヴァスキュラ
大学大学院で修士号を取得。
フィンランド系企業を経て、
フィンランド大使館の広報に
携わる。

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