【イタリア】エレベーターは衝撃が基本です

前回日本に帰国した時に、
どのエレベーターに乗っても、
昇降の滑らかさと静かさに驚きました。


擬音で例えるなら、

シューッと縦に移動して

フンワリと止まり、

サーッと扉が開く。


どのエレベーターもこれだから、
日本のレベルが高すぎるのかもしれません。

両親が住む田舎のマンションから雑居ビル
駅の構内でさえ、おもてなしのような丁寧さを感じます。

関空で乗った物は、あまりに静かだから、
思わず動画まで撮りました。
何度見返しても動きが美しいとまで感じます。


こんな素晴らしい乗り物に満足して、

イタリアに帰ってきたら…



ガクッがフツーです。



我が家の集合住宅は、一階にテナントがあり、
その上は全て住宅で、一つの階に4戸並び
6階建てなので全20世帯が住んでいます。

建物自体はビール工場の跡地に造られたものなので、
骨組みはしっかりしてまだ20年弱の新しい建物です。

中心部分にエレベーターが入っていて、
最大9人まで乗ることができます。
私の折り畳み自転車を曲げずに乗せても、
まだ3人入れるほどです。
20世帯に30人くらい住人がいるでしょうか。

このエレベーターは、信号を受けて目的地まで一直線なので、
途中で人が乗ってきたり、降りたりできません。
つまり、誰かが乗っていたり、先着の人が
ボタンを押したならば、待たなければならないのです。
けれども何分も待つことはなく、すぐにやってきます。



衝撃と音がストレス


乗ってボタンを押して移動するのは
他のものとさほど変わりはないんですが、
止まる直前に、一度ガクンッとなるんです。

感覚としては、「数センチ越しましたので、
規定の位置まで下げます」と言わんばかり。
まるで不意に膝カックンをされて
くねッと身体が曲がるような衝撃です。

結構強いんです。

毎日毎回毎時なるんです。もうこういう特徴です。
だから、こっちはソレ込みで待ち構えています。
よって、私はエレベーターがつく直前に
少し膝を曲げ踵を上げて、ガクンッの衝撃を足で受け止める。
そうでもしないと、背中の軟骨が縮むのではないかと恐れています。

それだけでなく、扉が開く時に、
「ヒョロヒョロ〜」と音が出るし、途中で
「ガコンッ」と何かが当たる音もするんです。
これも毎回なのに、毎回驚いて見てしまいます。
扉の内側での動作なので見ることはできませんが、
明らかに異常な音をさせているんです。
ヒョロヒョロに関しては、もう到着音と受け取れます。



イタリアのエレベーター、ちゃんとメンテナンスしている?
と疑問を抱きますよね。


これでも最新の状態です!


先月、突然の停止期間を経て再起動しました。
少し柔らかくなったと思ったガクンッは、
数日で元通りに。


苦情でも言いたい…
メーカはというと、

シンドラー社のもの。
どこの国のものかと調べてみると、
意外や意外、
スイスの会社でした。

ロレックスやオメガの高級時計をはじめ、
刃物のヴィクトリノックスなど、
精巧技術による製品を生み出す国。


ですが、日本でシンドラーと言えば、
アラフォー以上なら記憶の片隅にあるでしょう。
2006年以降、エレベーターでの事故や
不具合を何度も起こし続けてきた会社です。

幾度となく報道され、責任逃れをする姿勢に
我々は倦厭していきました。

当時のことを綴った記事を読み返してみると、
興味深いことを書いていました。

ドイツ語の日刊紙ノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥングはさらに詳しく「シンドラーのイメージは大きく崩れた。こうした事故の際に立ちはだかる問題が2つある。1つは日本では人の生命にかかわる技術については他の国と比べて、非常に厳しく完璧さを求められること。もう1つはグローバル化にあっても依然ある文化の大きな違い。記者会見で頭を下げ日本式に謝罪したことをシンドラーの米国の顧問弁護士は、会社が過ちを認めたことになると戦慄(ホラー)を持って受け止めた」と書いた。
Swisseinfo.ch

日本は一つ一つの企業が、いかにして対策を講じ
「安全」を手に入れてきたのか、改めて気付かされました。

その後メーカーは日本撤退。
しかし現在も同社のエレベーターは存在し、
日本のメンテナンス会社により運行しています。

日本人の私は求めすぎているのでしょうか。
静かで衝撃のないエレベーターは、
日本の誇る技術です。どうぞご堪能ください。


最後はやはりこの言葉で片付けなくてはならないのか…
「郷に入っては郷に従え」
用心するしか手立てはないのかもしれません。

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