ほとんどのマーケティング担当者が誤解しているソーシャルメディアの「真の力」
SNSもソーシャルメディアも、プロモーションやPRに活用することがアタリマエの時代になりました。
一方で、多くの企業は、まだまだ狭義(狭い世界での)の活用しかできていないようにも思います。
本記事では、いま起こっているソーシャル化の本質(あらゆるモノやコトに「人と人のコミュニケーション」が介在することによって価値の本質が変わること)を理解し、狭義のSNSマーケティング、ソーシャルメディアマーケティングの思考フレームから、「ソーシャルメディアセントリック(ソーシャルメディア中心思考)で全施策を考えようよ!」へリフレーミングすることについて、個人的な考えをまとめます。
※長いので時間があるときに読んでください
※ソーシャルセントリック(ソーシャルメディア中心思考)へ移行しようよ、という話ですが、無条件でソーシャルメディアを礼賛している記事ではありません
※冒頭は「おさらい」なので、「そんなこたー知ってるよ!」という方は読み飛ばしてください
SNSとソーシャルメディアの違い
まず前提の確認から。
多くの人が同じ意味で使っている「SNSマーケティング」と「ソーシャルメディアマーケティング」は意味が違います。
下記が国内における代表的なソーシャルメディア。
Wikipedia先生の定義をおさらいしておきましょう。
ソーシャルメディアは、個人の、個人による、個人のための情報発信・情報共有の場所と解釈できます。個人が主役で、組織は脇役。
kakaku.com、@cosmeやLIPS、食べログ、Amazonレビュー、Google(マイビジネス)のクチコミはSNSというよりソーシャルメディアで、TwitterやInstagramなどは人(個人)や個人の興味関心でつながるSNS。
SNSはソーシャルメディアの一部なんです。
ソーシャルメディアは何を変えたのか?
毎日の生活も、大きな世界的変革も、自分や誰かの行動によって変わります。
行動は意思決定によって引き起こされ、意思決定は持っている情報によって変わります。
ソーシャルメディアは、「情報の生産者」「情報の特性」「情報の流れ」「情報のありか」「情報のスピード」の5つを根本から変えてしまいました。
1. 情報の生産者:企業や組織主体から個人が主体へ
2. 情報の特性:メディアから発信される情報から個人の生の情報へ
3. 情報の流れ:垂直から水平へ。1:nからn:nへ。
4. 情報のありか:企業・組織と個人における情報の非対称性が解消(または逆転)
5. 情報のスピード:瞬時かつリアルタイムへ
※上記では便宜的に「AからBへ」と書いていますが、正確には「A+Bへ」です
情報が変われば意思決定が変わる、意思決定が変われば行動が変わる。
マーケティングも同じです。情報が変われば意識や態度(の変わり方)が変わる、意識や態度が変われば行動(買い物の仕方)が変わる。
無かったものが突如としてこの世に現れ、普及し、多くの消費者の購買意思決定に大きな影響をおよぼしはじめた。なんとか「この新しいモノ」をうまく使えるようにならなあかん。
これが2000年から2020年に起こった、ソーシャルメディアマーケティングブーム、SNSマーケティングブームの背景です。
ソーシャルメディアの本質はソーシャル化にあり
本題に入ります。
以前、下記の記事を書きました。
一部、引用します。
「マーケティングにおけるSNSやソーシャルメディア活用」ではなく、「ソーシャルメディア時代のマーケティング」と捉える。
大事なので、もう一度言いますよ。
「マーケティングにおけるSNSやソーシャルメディア活用」ではなく、「ソーシャルメディア時代のマーケティング」と捉えるのです。
広告とソーシャルメディアの連携、PRにおけるソーシャルメディア活用、ではなく、
ソーシャルメディア時代の広告
ソーシャルメディア時代のキャンペーン
ソーシャルメディア時代のPR
ソーシャルメディア時代のOOH
ソーシャルメディア時代のオウンドメディア
などと捉える。
「同じじゃね?」「言葉遊び?」「屁理屈こねるな」という声が聞こえてきますが、違うんです。
いくつか事例を見てみましょう。
※いまから紹介するものは、僕が勝手に「ソーシャルメディア時代の広告・キャンペーン・PR・OOH・オウンドメディア」(としてFitしている)と感じた事例です。企業や広告会社がそれを意図して企画・制作したかどうかはわかりませんが、「ソーシャルメディア時代のXX」としてこれからこういう事例がたくさんできていくと良いな、という意図で紹介します。
ソーシャルメディア時代の広告(広告のソーシャル化)事例
「広く告げる」広告から、「広がるように告げる」。ソーシャルメディア時代の広告を感じさせるCMをいくつか。
①KIRIN プラズマ乳酸菌
「半袖短パン」「デュクシ」など、懐かしの小学生あるあるネタ プラズマ乳酸菌『SPECIAL STUDENT』動画。完成度高すぎです。
1,000万再生。
②日清食品 チキンラーメン
アクマのキムラー「プッツンタイマー」。絶対に電車の中では見ないでください。1,500万再生超えています。
③P&G パンパース
MOM'S 1ST BIRTHDAY ママも1歳、おめでとう。父親、もっと頑張れよ!なんですが、泣けますので見てください。700万再生。
P&G Commercial (Sochi 2014 Olympic Winter Games)
余談ですが、個人的に大好きなやつ。何回観ても泣ける。。(公式の動画は削除されてるので再生数は少なく見えますが、当時めっちゃ話題になりましたよね)
④大塚製薬 ポカリスエット
「でも君が見えた」篇 60秒。600万再生。
「広く告げる」広告から「広がるように告げる」広告たちでした。
ソーシャルメディア時代のキャンペーン(キャンペーンのソーシャル化)事例
SNSで話題になることを狙い、見事に成功した事例たち。
①丸亀の桃屋トッピング祭
丸亀製麺のコラボ新メニューに対し、熱狂的なファンと裏技アレンジ4選をつくり、同時展開。ファンたちのツイートとTwitter広告の力が合わさり、SNSで大いにバズり、来店客数増加に貢献しました。
②きのこの山・たけのこの里 国民総選挙
投票数1,000万票超えはすごいです。
2020年には、きのこの山 たけのこの里 2020国民大調査をやっていましたね。調査参加者は30万人。
③日清食品 キャベバンバン
個人的に大好きなやつ。
日清食品が年間4.17トン捨てられている「フタ裏のキャベツ」を減らす謎プロジェクト「キャベバンバン」を始動。
それに合わせて、ふた裏に付着したキャベツを落とす専用アイテムの発売を告知。ダイソン風のCMをぜひご覧ください。
オチ。
クラファンで予約を受け付け、1,000件を超えたら発売するとしていたが、予約が830件しか集まらなかったため、計画を断念すると発表。
キャベバンバンというコンセプト発表で話題の第一波、専用アイテムの発売告知で第二波、計画断念で第三波。
日清食品、かしこすぎます。
ソーシャルメディア時代のPR(PRのソーシャル化)事例
メディアで取り上げられたニュースがソーシャルで拡散、という流れだけでなく、ソーシャルで話題になった話題をメディアが取り上げる、という流れを(たぶん意図的に)狙っている事例。
PR業界には「メディアを一番見ているのはメディアの人間である」という格言があるらしいですが、それは本当にそうで、Twitterを一番よく見ているのは、テレビの情報番組のプロデューサーやディレクターや放送作家や制作会社の人たちだと思います。
いきなりマスメディアで取り上げてもらうのはハードルが高いので、まずはTwitterやYouTubeでの話題創出を狙い、「いまネットで話題の〜」とマスメディアに取り上げてもらう。
SNS(TwitterやYouTube)→マスメディア(ブロードリーチ)→SNSが、ソーシャルメディア時代のPRの定石です。
①別府市・湯~園地計画
皆さんご存知の。
地方自治体は予算に限りがあるので、こういう創意工夫あふれる取り組み、昔から活発です。
100万再生行ったので本当にやってましたね。
②フィアレスガール
米国の金融会社ステート・ストリート・グローバル・アドバイザーズが、国際女性デーに合わせて、ウォールストリートに設置されている富の象徴「チャージング・ブル」の前に相対する女の子の銅像を設置したもの。
企業の取締役会の女性比率の低さや、金融業界における給与の男女格差の問題を提起しました。
壮絶な賛否両論を巻き起こし、業界を超え、NY市長も巻き込み、めちゃくちゃ話題になりました。
考察記事はこちらで。
③Shutter Ads Heineken
コロナで多くの料飲店がお店を開けられず、経営難に陥る中、ハイネケンは通常の屋外広告の出稿を取りやめ、その代わりに、自社のビールを仕入れてくれている全世界の料飲店のシャッターを広告枠として買い取り、5,000店を超えるお店に(屋外広告に出稿する予定だった)10億円の「媒体掲載費」を支払ったというめちゃくちゃクールな事例。
考察記事
PRとしてのメディア露出効果だけでなく、店主の「苦しいときに助けてくれた」という感謝と信頼まで獲得してしまった良事例ですよね。
ソーシャルメディア時代の交通広告(交通広告のソーシャル化)事例
最近は駅に人が戻ってきましたが、リモートとのミックスがニューノーマルになりつつあるいま、交通広告の意義も変わってくるのかなと。
交通広告の強みは、視認性、反復訴求効果、エリアターゲティングの3つですが、最近では、通行人の注意や興味を獲得し、スマホで撮影してもらい、ソーシャルで拡散させることを狙った展開が増えてきています。
①Oisix かあちゃん、楽しい夏休みをありがとう。
僕もTwitter(の誰かの投稿)でこの広告を知りました。
②広島県観光連盟
「帰っておいで」と広告しようと思ってたら、コロナ再拡大で言えなくなった悔しさを素直に展開。
TwitterやFacebookで「同郷の友人・知人」とつながっている人も多いことから、広島県人を中心にSNSで広がったと予想されます。
③トヨタの南武線沿線広告
日本企業では珍しい、他社からの引き抜きを示唆する攻めた広告だったこともあり、SNSで話題になりました。
ソーシャルメディア時代のオウンドメディア(オウンドメディアのソーシャル化)事例
企業のWebサイト(Webコンテンツ)がバズるなんてことはまず起こりません。では、何が「ソーシャルメディア時代のオウンドメディア」なのか?
BESSの家のWebサイトがお手本です。みんなで目を皿のようにして観察してみましょう。
BESSの家▷BESSで暮らす人
ここで紹介されている主要コンテンツは、BESSで家を建てた顧客です。BESSの家が持つ独特の”文脈価値”を(企業が高いコストをかけて作り込むコンテンツよりも強く、豊かに)伝えてくれています。
BESSの家▷#ログログ
こちらは「BESSで暮らす人」(お宅訪問インタビュー記事)よりもライトなInstagram風コンテンツです。全国の拠点スタッフだけでなく、既存顧客の中で協力を快諾してくれたBESSユーザーが日々の生活を投稿しています。リアリティあふれるコンテンツが購入検討者の心をくすぐります。
BESSの家▷BESS OWNER'S BLOG
BESSオーナー(既存顧客)が、BESSの家が持つ特有の文脈価値(DIY・メインテナンス、薪ストーブライフ、料理、家庭菜園・園芸など)についてブログを書いています。これも、企業がつくる「売り込みコンテンツ」よりも遥かにリアリティが高く、理解度、好意度、購入意向度が上がります。
BESSの家▷BESSな暮らしQ&A
さらには、BESSの家を購入しようか悩んでいる新規顧客(候補)が、既存顧客に質問ができるQ&Aコミュニティまであります。
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住宅という商材は、普通の人なら、人生で1度あるかどうかの買い物です。ほぼすべての人が素人で、初めての経験。
しかも1度買ったら、買い替えなんてほぼしない(できない)リスクが高い買い物。失敗したくない。だから徹底的に情報を集め、検討し、失敗を回避する行動をとる。
それでも、住宅業界は、まだまだ情報の非対称性が大きい(多くの場合、住宅メーカーの方が情報強者になりやすい)。そして、多くの住宅メーカーのWebサイトは「おきまりのコンテンツ」ばかり。綺麗で良いことばかりが書いてあり、リアリティが薄い。
それに対し、BESSの家のWebサイトはすごい。
住宅という商材の特性上、
1. Evoked Setに入ること(選択肢化)
2. 自社の特長(差別的競争優位性)を理解してもらうこと(理解と信頼)
3. 営業によるクロージング
の3つが重要となる。
この1と2、まさに以前書いたこの記事とドンピシャなんですよ…。
BESSの家を売っているのは誰か?
そう!既存顧客なんです!!
BESSで家を建てた既存顧客のTMOT(Third-Moment-Of-Truth:ブランド体験)が、新規顧客(候補)のZMOT(Zero-Moment-Of-Truth:ブランドを知ったり、理解を深める前哨戦)に影響を与えている。
住宅を買う人は(関与度が高く、失敗リスクも高いため、徹底した情報探索を行うため)ほぼ100%、検索してWebサイト(オウンドメディア)にやってきます。
そこで、自社で家を建てて人生を謳歌しているファン(既存顧客)たちの文脈価値とリアリティあふれるコンテンツに触れる。
それにより、認知・興味だけだった新規顧客(候補)に(BESSが一番訴求したいだろう)文脈価値が伝わり、ブランドが持つ真の価値の理解向上と、それによる購入意向の向上が図られ、問い合わせLOGWAY(モデルハウス)への来店を獲得する。
完璧なコンテンツ戦略と導線設計です。
TwitterやInstagramのフィード投稿をオウンドで掲載するだけがソーシャル対応じゃありません。
ソーシャル化の本質は、個人が主役になった時代において、個人(顧客)と協働することも含まれます。既存顧客の”リアル”(文脈価値)を、【企業のオウンドメディアを介して】次の新規顧客候補に伝える。これぞソーシャルメディア時代におけるオウンドメディアだと思います。
ちなみに、下記の記事の中で紹介したソニー損保のユーザークチコミも、ソーシャルメディア時代のオウンドメディアだと捉えています。
経営資源のソーシャル化
これらの変化って、経営資源のソーシャル化(ソーシャルメディア時代の経営資源)と解釈することができると思うんです。
いままでの経営資源は、ヒト、モノ、カネ、情報の4つに加えて、最近では企業文化、時間、知的財産などが挙げられますが、ステークホルダー(ここでは主に「既存顧客」)も含まれていくんじゃないかと思ったり。
BESSの家の場合、明らかに既存顧客も大きな営業機能を果たしているわけで、これを経営資源と言わずなんと言いましょう。
早稲田大学の恩藏先生とADKが提唱するR3コミュニケーションのフレームも、ソーシャルメディア時代におけるブランドマーケティングのひとつの考え方だと思います。
アンコントローラブルな対象(=顧客)を経営資源に加えることの是非はあろうかと思いますが、うまく協働できれば大きな価値を生む。これこそ、ソーシャルメディア時代(すべてが自社で完全に統制できない時代)における経営資源と捉えることもできるんじゃないかと思います。
企業動画の真の敵?
「経営資源のソーシャル化」の流れで、昨今の動画マーケティングブームについても触れておきます。
まず、多くの動画コンテンツはスマホで視聴されています。では、スマホの「どこ」(どのアプリ)で見られているのか。
サイバーエージェントによる2020年国内動画広告市場の調査結果を見てみましょう。
出典:https://www.cyberagent.co.jp/news/detail/id=25548
動画広告は多くの動画が視聴される場所(=人通りが多く、かつ動画が観られている場所)で拡大するわけですから、上記の市場規模がそのまま動画の視聴場所と捉えることができます。
動画広告市場の拡大は、ニアイコール、インストリーム広告とインフィード広告の拡大です。
インストリーム広告は、YouTubeなど動画サイトの再生画面内に表示される広告のこと。一方のインフィード広告は、SNSやニュースアプリのフィード上に挿し込まれる広告です。
となると、動画広告が出ている場所は、YouTube、Twitter、Facebook、Instagram、TikTokなど、ということになります。
さて、よく考えてみましょう。
これらの場所で、企業動画が観られるために、誰との競争に勝利しなければならないでしょう。
……。
そう、競合企業や他企業の動画(CM)に勝つことじゃないんです。ユーザーから投稿されている膨大な数のUGC(User Generated Content)やUGV(User Generated Video)の海の中で、「おっ」と興味を喚起し、指をとめてもらい、数秒から数十秒観てもらう必要がある。
つまり、企業動画を観てもらうにあたって(アテンションエコノミーの中で)戦っている相手は、大量のUGCやUGVなんです(観てもらいたい相手が競合だったなんて皮肉な話です)。
動画の時代は、企業にだけやってきたのではありません。その波は、個人にも(いや、個人にこそ)やってきています。
若い世代は、承認欲求を満たすことよりも、友人とのコミュニケーション手段として動画を用います。我々が音声で話すように、テキストを送るように、彼ら、彼女らは、カジュアルに、素早く、時としてプロ顔負けのクリエイティブで動画を制作し、投稿する。
そして、人が投稿した動画を観て暇をつぶしたり、感嘆したり、コミュニケーションを楽しむ。
動画時代の主役も、企業ではなく、個人なんです。
ソーシャルメディア時代の動画プロモーション(動画プロモーションのソーシャル化)
そんな個人が主役の動画全盛時代において、大量のUGVを敵や視聴の障害とするのではなく、味方につけてしまおう。
そんな取り組みを行ったのが、江崎グリコが2018年11月11日のポッキー&プリッツの日に合わせて行ったTikTokプロモーションです。
11月6日から11日の間にオリジナル楽曲を活用した2万3600本以上の動画が投稿され、「#ポッキー何本分体操」とタグ付けされた動画の累計再生回数は2730万回を超えるほどの盛り上がりを見せました。
企業が渾身の一撃CMを制作し、それをユーザーに観てもらうのではなく、UGV全盛時代にユーザーが参加したくなるような企画や場を提供し、みんなで楽しむ。これもひとつのソーシャルメディア時代の動画プロモーションの形だと思います。
ソーシャルメディア時代の影響力
インフルエンサーの影響力が増大してきた理由も同じです。
アラブの春も、Black Lives Matterも、ソーシャルメディアが無かったら、ここまで大きなムーブメントになることは難しかったでしょう。
ソーシャルメディア時代の影響力は、企業よりも個人の方が恩恵を受けているわけで、たとえひとりの個人であっても、純粋な問題意識や熱量さえあれば、強い影響力を持つことができるようになりました。
PESOのバランスが変わったんです。
芸能人やタレントではない一般個人のインフルエンサー化は、市場のソーシャル化によるEarned&Shared領域の影響力拡大によるものです。
ポジティブメッセージ100%で塗り固められた広告よりも、自分と同じ立場のインフルエンサーが語る中立的・客観的意見の方が信頼できる。
巷では「インフルエンサー(マーケティング)はPaidかEarnedか」という議論があるようですが、インフルエンサー(が発する意見や情報)はそもそも中立的・客観的なEarnedであったはずで、それを個人のアカウント(Shared)で発信するわけですから、インフルエンサーマーケティングはEarned+Sharedであるはず(べき)です。
そのあたりのことはこちらにまとめてありますので、興味がある方は読んでみてください。
社会の主役はIndividualへ
地球の歴史46億年、人類の歴史20万年、農耕民族になって1万年、活版印刷技術が発明されてから600年弱、産業革命が起きてから200年、黒電話とテレビが普及し始めて60年、インターネット26年、ソーシャルメディア20年、SNS17年、スマホ13年を経て、ついに人類は個人が主役の時代に突入しました。人類史上初のことです。
コンテンツも、伝達経路も、個人が主役。
消費者・生活者(Consumer)でも、顧客(Customer)でも、ユーザー(User)でもなく、個人(Individual)とその(人と情報の)ネットワークと知の集積が社会を動かすようになりました。
ソーシャルセントリックに移行しよう
マーケティングはMarket(市場)+ing(進行形)。
買ってもらえる仕組みをつくり、環境変化にフィットさせ続けることがマーケティングの至上命題です。
環境変化とは何か。
世界のソーシャル化です。
ソーシャル化した世界でやるべきマーケティングは、TwitterやInstagramなどのSNSをハックし、マーケティング効率を向上させること【だけ】ではありません。
ソーシャルメディア時代の広告
ソーシャルメディア時代のキャンペーン
ソーシャルメディア時代のPR
ソーシャルメディア時代のオウンドメディア
ソーシャルメディア時代の動画プロモーション
と、いままでやってきた広告、キャンペーン、PR、オウンドメディアなどあらゆるマーケティングコミュニケーション活動を、ソーシャルメディア時代にフィットさせるべく、リフレーミングするのです。
多くの人がイメージするソーシャルメディアマーケティングやSNSマーケティングの位置関係はこんな感じかもしれません。
これは正しくありません。
Webマーケティングが単独で行われていた時代、「リアルとネットを融合させよ!」という旗印のもと、さかんに統合論が叫ばれましたが、あらゆるものがデジタル化していく中における正しい捉え方は、デジタルマーケティングに取り組むことではなく、デジタル時代のマーケティングに変わることです。
これをIMC(Integrated Marketing Communication:統合マーケティングコミュニケーション)で捉えると、下図のようなイメージになります。
新しく普及したSNSをIMCのひとつのパーツとして組み入れるのではなく、全マーケティング活動をソーシャルメディア時代にフィットさせる。リフレーミングする。それが、そろそろ我々が移行すべき次の思考(ソーシャルメディアセントリック)のフレームなんだと思います。
ソーシャルセントリックは「新しい考え方」なのか?
「そんなことはとっくのとーちゃんで知ってたよ!」という声が聞こえてきます。
mixiとFacebookが誕生して17年、ブログが普及してから15年、Twitterが日本に本格上陸してから12年、すでにここに書かれているようなことは手垢がつくまでやり尽くしてきた。
そう考える人もいるでしょう。
そして、それは事実かもしれません。
でも、僕がなぜあえていまここで「ソーシャルセントリック」という言葉まで使ってこのnoteを書いているかと言うと、「ソーシャルセントリック」という名前をつけてまで、業界人【みんな】が【強く意識すること】を普及させたいからなんです。
宣伝会議や日本マーケティング協会で講師をやらせていただくようになって10年以上が経ちました。企業研修を含めると年間50〜60回は人前でお話させてもらっています。
1回30人が参加しているとして、30人✕50回✕10年=15,000人には、ソーシャルメディアは決して万能ではないこと、ソーシャル化の本質はSNSのハック(だけ)ではなく、ソーシャル化であることについて、できる限り丁寧に話してきたつもりです。
でも、企業の現場では(人事異動もあり)依然として狭義のソーシャルメディア、SNSマーケティング(個別プラットフォームのハック)に関する議論が大半です。
ソーシャルは万能じゃない。でもそれを含めてあらゆるモノやコトがソーシャル化していく時代において、良いところも悪いところも含めて、受け入れながら環境変化にフィットさせていくしかないのだと思います。
僕とトライバルには、日本におけるソーシャルメディアマーケティングやSNSマーケティングを牽引してきた自負があります。だからこそ、日本企業の皆さんには、次のフェーズ(思考)に進んでもらいたい。
部分最適でソーシャルメディアやSNSを「使う」のではなく、従来のマーケティングやPRのやり方をソーシャルメディア時代にフィットさせる。
広く告げるのではなく、広がるように告げる。メディア露出からソーシャル拡散を狙うだけでなく、ソーシャルで話題になるニュースをつくり、マスメディアに逆流させる。自社に興味を持った人たちがやってくるオウンドコンテンツに顧客を起用し、ブランドが持つ真の文脈価値を伝える。
取り組むことは、なんら新しいことではありません。すべて、いままでやってきていることの延長線です。
でも、これらを、すべての社内関係者、広告会社や制作会社を含むすべての外部パートナーと高度に意識を共有し、やり切る。
それは、まだまだ、そんなに簡単なことではないと思っています。
ソーシャルメディアはパーツではありません。企業や組織、ブランドが、マーケティングやPR活動を行う【場所そのもの】なのです。
ソーシャルセントリックなマーケティング、ソーシャルセントリックなPRを行うための思考、感性、組織、文化、そこから生み出される仕掛け、仕掛けがドライブし、継続する仕組み、効果検証方法、KGIやKPI、ROIの考え方、変わるべきことはたくさんあります。
すべての社内関係者、広告会社や制作会社を含むすべての外部パートナーと高度に意識を共有し、ソーシャルセントリックへの完全移行をやり切るべく、頑張ってまいる所存です。
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ということで、ソーシャルメディア時代のマーケティングや広告やキャンペーンやPRやオウンドメディアやパーパスブランディングや熱狂マーケティングに興味があるぞ!という方はぜひトライバルにご相談ください(池田にDMくれてもOKです)
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当社(トライバルメディアハウス)では(池田がフルコミットして)マーケターの「知る→わかる→できる」を支援し、マーケターの成長やキャリアアップを実現するためのオンライン無料学習サービス「MARPS(マープス)」を提供しています。会員登録するだけで、池田+豪華ゲストのコンテンツをすべて無料でご利用いただけます。マーケティング担当者が抱える、現場で発生しがちな課題解決を助ける学習プログラムがてんこ盛りですぞ!どんな学習プログラムを提供しているのか、まずは以下リンクからチェックしてみてください。マーケティング全体を”体系的に”学びたい方、お待ちしてます〜!
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