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パウエルズ・ブックス(Powell's Books)

P大学の授業で使う教科書を買おうと、日本の友人に強く勧められていたパウエルズ・ブックスに行ってきた。ポートランドのダウンタウンにあり、街の1ブロック全体を占めるこの巨大な書店は、なんとUsedの本も扱う独立書店。このタイプの書店として世界で一番大きい、らしい。

Amazは使いたくないので、こういう品揃え豊富な本屋さんが近くにあるのはとてもありがたい。大学で使うテキストも棚に並んでいたので、取り寄せてもらう時間もかからなかった。大手のBarnes & Nobleでもなく、独立書店というのが本当に嬉しい。

元はカーディーラーの建物だったそうで、その後何度か改装はしているようだが、その当時の面影が残っている。窓が大きいので中も明るく、何より日沈後は本棚を照らす明かりがキラキラと通りに漏れて、つい惹き込まれてしまう。

書店内はたくさんの部屋がタテヨコに繋がっていて少し複雑だが、部屋が色分けしてあるので分かりやすく、迷子にはならずにすみそう(こんな素敵な書店なら迷子になるのも発見があって楽しそうだけど)。

中にはカフェも入っていて、好きな本を5冊まで持ち込んで何時間でも読むことができる。5冊までといっても、読んだ分を返したらその分また持ち込めるので、読める冊数に制限があるわけではない(ちなみに昔は何冊でも持ち込めたのだそう)。

店に入る時、もし自分の鞄に本が入っていたら、その本を報告して小さな紙をもらう。万引きを疑われないための工夫だろうか。

カフェやアート関連の部屋では、朗読会などのイベントもやっているそうで、通うのがとても楽しみだ。今日はカフェで自作の詩の朗読会が盛り上がっていた。本だけでなく色んなグッズも売っている。楽しいところだな。

P教授も若い学生だった頃、ここで毎日のように本を読んでいたのだそう。彼の知識とボキャブラリーの量は半端ないのだけど、それはこの書店のおかげなのかもしれない。日本のうちの近所にもこういうところできてほしいな(他力本願はいけません)。

松田青子さんの「おばちゃんたちのいるところ」英語版もあった!

スポーツ関連の本棚もズラーーーっと並んでいて、メーガン・ラピーノやキャスター・セメンヤ、ホープ・ソロなど多くの女性アスリートの自伝も並んでいる!ラピーノの本を買いたかったけど、今回はなんとか堪えて本棚に戻した(積読が相変わらずすごいのよ)。1月後には買えるといいな。積読解消に励もう…。

でも本棚に戻せなかったのがこれ。

キャシー・フリーマンが全身白いタイツを着て、オリンピックトーチを持って立っている。
キャシー・フリーマン

まだ何の疑問を持たずにオリンピックを見ていた2000年(懐かしい)、シドニー五輪の400m決勝で緑と白と黄色の全身スーツを着て激走するキャシー・フリーマンの衝撃的な姿を今でもはっきり覚えている。アボリジニーとしてコモンウェルス大会初優勝を飾った選手として歴史に名を刻んだ選手である(覚えてないよ、という方は↓をどうぞ!)。

そのフリーマンのバイオグラフィー。

この本は1998年の出版なので(ソフトカバー版は2000年)、シドニー後の彼女の様子を知ることはできないが、あの時代に彼女がどう描かれていたのか、改めて読んでみたいと思った。

この本を買ったのにはもう一つの理由がある。フリーマンは前の記事で書いたポートランドのStreet Rootsでボランティアをしていたらしいのだ(P教授情報)。ナイキとの契約でしばらくポートランドに住んでいた彼女は、ホームレスの人権問題に関心を寄せ、アクションに移したということなのだろう。

一生かけても使い切れないような巨額の給料をもらい、税金対策程度に寄付をするプロ選手は多いが、特に自分の活動を宣伝するでもなく、1回きりのチャリティーボラでもなく、日常的にStreet Rootsでボランティアをしていたというフリーマン。彼女のストーリーにますます興味が沸いた。

ここにいる間に、その当時を知る人に話を聞くことができるといいのだけど。

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