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ドン速度 〜ワンピカードの教科書3rd〜

割引あり

お久しぶりorはじめまして、IKEイケです。
「ワンピカードの教科書」などを代表に不定期でnoteを書いている者です。モネと誕生日が同じです。

今回はワンピカードの醍醐味である「ドン!!」の使い方を解説。
・リーダーやキャラにドンを付けるべきか
・キャラのプレイにドンを使うべきか

この二択の判断基準についてです。

私は前者に使うドンを「速いドン」後者を「遅いドン」まとめて「ドン速度」という概念で捉えて判断しています。

リーダーやキャラに付けるドンには速効性があり、キャラのプレイに使うドンは本質的に遅く、恩恵を得るのに数ターンのラグが発生する」という考え方に基づいたものです。

これは通称「ドン効率」とは別物です。ドン効率は「場にどうドンを振り分けると効率的に相手にカウンター値を要求できるか?」という、そのターンの攻撃効率を最大化するための「点」の計算。

一方「ドン速度」における判断基準は「線」です。
「次の相手ターン→次の自分のターン→その次の相手ターン」と未来の数ターンを見据えたゲームプランから『今この状況で、遅いドンの使い方をしても大丈夫なのか?』を判断します。想像力とストーリー構成力が要求されるやや難しいテクニックです。

ドン速度はワンピカードで戦っていくうえで必須の考え方だと思うのですが、疎かになっている人も多い印象です。また、青や黄色など「高コストキャラが強力で、全てのドンをキャラに使うことが最善手と一致しやすい」デッキではこの課題自体に気付きにくいこともあります。

人によっては「出したいキャラがいたらそれにドンを使う→余ったドンを場に付ける」「リーサル(そのターンで勝ちに行く全力アタック)のときは全ドンを場に付ける」の2パターンで動いているのではないでしょうか?

確かにその二つで正解なこともあります。しかし「ドンを付けるべきかキャラをプレイすべきか悩ましいタイミング」というのはどんなデッキを使っていても訪れます。ドンの速度感を読み違えるとそのタイミングに適切な対応ができません。

そういった場面で役に立つドン速度の概念を、以下の二部構成で解説していきます。
基礎:「バニラで学ぶ」ドン速度
応用:効果付きのカードも同じ

基礎:バニラで学ぶドン速度

使われるバニラと使われないバニラ

ワンピカードは「マナレシオ」の査定が厳格です。第5弾環境になってもバニラ(効果無し)のカードが活躍していたり、第1弾のカードが現役なことがそれを物語っています。

マナレシオはカードゲーム用語の一つで、カードの強さを示す指標です。1マナ(ワンピカードでいう1ドン)が出せるカードパワーの比率のことで、ワンピカードのバニラは必ず「コスト+2000のパワーとカウンター1000」で統一されています。
1コスト3000→2コスト4000→3コスト5000→(中略)→10コスト12000といった具合です。

このようにどれも同程度の性能に見えるバニラ達ですが、実際に環境で使われるラインには下限も上限もあり、基本3/5000〜6/8000が採用範囲です。尚、赤ゾロは1/3000や2/4000を採用したり、紫ルフィは7/9000など後ろに伸びますが、これはリーダー効果ありきの特例なので一旦脇に置いてください。

何故コストが軽すぎると使われず、重すぎても使われないのか。これを紐解くことがドン速度の理解につながります。

当たり前を成り立たせる「前提」がある

まず4/6000を例にします。
後攻2ターン目の4ドンには使い道が2つあります。

【速いドン】リーダーに全て付けてL9000でアタック
【遅いドン】4/6000を出してL5000でアタック

※LはリーダーのLです。L9000はリーダーのパワーが9000のアタックという意味です。

感覚的にも【遅いドン】を選ぶ人が多数だと思いますし、実際それが正解です。当たりまえ過ぎる二択ですが、相手に要求するカウンター値という観点だけでみると面白い結果になります。

【速いドン】2ターン目にLで+5000要求
【遅いドン】2ターン目にLで+1000要求→3ターン目に6000のキャラがアタックして+2000要求

このように「キャラを出すターンとその次のターン」という瞬間だけ切り取れば、同じ4ドンでもキャラを出さないほうが攻撃速度が出ています。
【速いドン】は即時に5000要求、【遅いドン】は1000→2000とターンを跨ぐうえに要求値が2000も負けています。

実際にはここに「序盤の+5000要求に意味があるのか?」が絡みます。相手視点、当然カウンター5000分を手札から使うよりライフで受けてしまったほうが得。序盤は5000や6000でも通すのに、ライフがパワーを吸ってくれてラッキー程度に思われるでしょう。このため、序盤は【速いドン】の利点が1つ潰れています。

【速いドン】は手札消費ゼロいう点でまだ優位なように見えますが、その優位もすぐに無くなります。
6000のキャラを放置すると毎ターン2000のカウンター値を要求され続けるため、それをさせまいと相手はキャラにアタックしてくるはず。その時点で手札消費の差も埋まります。セオリーなら8000でアタックしてくるため本来なら手札が2枚ないと守れないアタック。そのままKOされても【速いドン】より手札1枚分のカウンターを得します。

もし相手のアタックが手札1枚で守れるパワーなら当然守ります。6000のキャラが生き残りもう1回アタックできれば、さらに+2000を要求できるからです。これで合計+5000の要求値となり【遅いドン】が2ターンかけて【速いドン】の攻撃速度に追いつきます。

当たり前のことのようで、まずこの前提を理解しておくことが重要です。

❶「+5000要求(過剰なパワー)はライフに吸われてしまうから、キャラを出した方が得」
❷「自分のキャラに相手がアタックしてくるから、手札差が埋まる」
❸「キャラが2回アタックできるから、攻撃速度が追いつく」

全て「〇〇だから」の前提条件がつきます。では、この前提条件が崩れた場合は…?当然、話が変わってきます。

終盤の勘所

前提条件が崩れる最もシンプルな状況が「ゲームの終盤」です。どの辺から終盤と捉えるかは人それぞれですが、ここでは「自分のリーサルターン(全力でアタックして通ったら勝ちor守られたら返しで負けのラストターン)を終盤の終わり、その2ターン前の自分ターンを終盤の開始とした、合計5ターンを終盤」と定義します。

『え、そんなに前から終盤なの?』と思う人がいるかもしれませんが、ココこそが重要です。ココを過ぎては間に合いません。『次の自分ターンがリーサルだからそろそろ…』ではなく「次の次」から考えるべきです。

何故なら、もう前提条件の崩れは始まっているからです。
終盤に4ドンが残っているとしましょう。この4ドンには使い道が2つあります。

【速いドン】リーダーに全て付けてL9000でアタック
【遅いドン】4/6000を出してL5000でアタック

序盤と同じ質問ですが答えは変わっているのではないでしょうか?
まずは、前提条件❶

❶「+5000要求(過剰なパワー)はライフに吸われてしまうから、キャラを出した方が得」

この前提は「序盤の9000アタックに意味がない」からスタートしている論です。しかし、終盤のライフ2や1の状況ではどうでしょうか?手札1枚で守れる5000や6000アタックは有効打になりづらく終盤は7000アタックが基準になっている時間です。

便宜上リーダーに4ドン付けて9000と書いていますが、リーダーに2ドンと場にいるキャラにもドンを振って7000↑アタック2回がよくある状況。

《ラディカルビーム》《熱息ボロブレス》《神の裁きエル・トール》など+4000カウンターが構えられる終盤では、そのパワー7000ですら心許ないこともあり、自分の攻撃回数が少ないなら9000以上のアタックも選択肢に入ります。

このタイミングで4/6000をプレイしても、最初に説明した通り攻撃速度で大きく劣っています。さらに、手札消費の有無も無視できない論点になってきます。

ここに繋がる話が、前提条件❷

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