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「労働時間の再分配」についてChatGPTに聞いてみた

ルトガー・ブレグマンの『隷属なき道 AIとの競争に勝つベーシックインカムと一日三時間労働』という本を読んでいるときに、「20世紀には富の再分配が進んだ。今世紀は、労働時間の再分配が行われるだろう」という一文が目に止まりました。索引を見ると、ジェームズ・W・ヴァウペルという人口統計学者の言葉の引用ということが分かります。同氏は、「近い将来、人々は、自身の収入のために、また、自身の健康のために、80歳まで働くようになる。そして、若い世代との間で、労働時間を分け合うことになる」ということを説明するのに、「労働時間の再分配」という表現を使っています。しかし、捉えようによっては、労働量の総量を巡って、高齢者と若年層との間で、世代間闘争が起こるようにも読みとれます。
 
原典には以下の主張が見られます。

・80歳まで働き続けるなら、週に25時間以上働くべきではない。
・若いうちは余暇の時間を増やし、年を取ったら少し働くことを目標にするべき。
・人生のどの時期に仕事をするかではなく、誰もが生涯の間で一定の仕事をする。
・労働時間を人生の長い期間に分散させる。

Niels Ebdrup 『We should only work 25 hours a week, argues professor』ScienceNordic.com

定年退職までは一生懸命働いて、その後、(豊かな?)老後を過ごすのではなく、若い時から、週の労働時間は25時間程度に抑え、余暇や子育てなど、今の世代よりもプライベートの時間に重きを置くことが推奨されています。将来のために、いま頑張るという多くの日本人が持っている考え方とは、真逆です。ジェームズ・W・ヴァウペルは、マックス・プランク・センターという人口統計から人間の加齢と寿命を研究している研究所の所長です。健康や寿命の観点で、労働の平均化を提唱しているわけですが、たしかに、専門家が言うのなら、という部分はあります。
 
ただし、労働時間の再配分問題には健康問題以外の側面もあります。AIによって、労働の総時間が短縮されることが予測される近未来において、高齢者の労働市場への参入、言葉を選ばずに言うなら「居座り」は、若年層から仕事の機会を奪うことにつながりかねません
 
以下は、その問題について、ChatGPTと会話したものです。

これだけでは、「労働時間の分配」について何も分からなかったので、そこをさらに詳しく聞いてみました。

プロンプトが悪く、25時間という時間制限だけについての回答となってしまいました。それで、改めて、「世代間」を対象に聞きなおしてみました。

若い世代に対する労働制限は、経済活動や生産性、おそらくはGDPなどの国際競争力に影響を及ぼしてきそうなことは分かりました。一方で、高齢者に対する労働制限は、社会保障や年金といった、若年層への負担増につながることも分かってきました。そして、それらがお互い綱引きを始めると、それが世代間闘争に発展する可能性を秘めていることが分かりました。
 
それだけでなく、この構図は特に若い世代には深刻なように思いました。高齢者に多くの労働を譲ると自分たちの収入がなくなってしまう。かといって、自分たちが精いっぱい働くと、稼いだ収入の大半は社会保障に持って行かれてしまう。と、経済活動で見る限り、どっちつかずのディストピアが待ち構えているような気がしました。

一旦は、制度・政策への提言がありましたのでChatGPTへの質問はここで終了したいと思います。ただ、「教育と訓練の提供」や「柔軟な労働時間制度」などは現在でも行われているもので目新しさは感じません。特に、「社会保障~労働市場の調整~持続的な経済成長」の文脈で、本のタイトルにあるようなベーシックインカム制度の導入のような抜本的な政策の実施が必要になってくるのかもしれません


最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。