【3.1】 旅の前に信頼を築く(Building trust before you start)

※ティール組織の著者Frederic Laloux によるINSIGHTS FOR THE JOURNEYの日本語訳の個人的なメモを公開しています。(サイトにある日本語対訳に句読点等をつけ、読みやすいように、一部、接尾語や接続語などを足し、加工したものです)
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■元のURL
https://thejourney.reinventingorganizations.com/31.html

■翻訳メモ
“旅の前に信頼を築く”、短いですが重要な動画です。“メンバーの信頼を築いてから旅を始めよ”という、このアドバイスは多くの場所で耳にします。目的の実現や呼びかけはそれからです。

本でも言及しましたゾブリスト氏はFAVIの CEOに就任したあとおよそ1年をかけてから大きな変革に乗り出しました。それだけ時間をかけて自分や自分の目標を信頼してもらったのです。世界で30以上の発電所を買収したAESもそうでした。場所によっては運営にとても苦労しました。国によっては警戒心が強かったのです。AESは本社からリーダーを2〜3人買収した発電所に送ってトップを任せました。1〜2年ときにはそれ以上変革には乗り出しませんでした。十分な信頼が生まれて初めてモードを切り替えて呼びかけをおこない助言プロセスや自主経営を実践していくのです。とても的確な助言だと感じました。

“十分な信頼ができてから始める”理由は2つあります。従来型の組織においては長年多くの人が不信感を募らせてきた可能性があります。なので急に変革を呼びかけても次のように受け止められることでしょう。“どうせまたトップの気まぐれだからしばらく耐えよう”。そのため信頼が必要になります。“今回は違う、ぜひやろう”と感じてもらうのです。

2つ目の理由は基本的にこの変革の呼びかけは、ずいぶん従来と考え方が違うものなので、すぐには周りの理解を得られないかもしれません。え?自主経営?上司がいないの?全体性?この状況で? 深い対話をしろって?妻や夫や親友とも試したことないのに?
つまりまったく未知のものへメンバーを誘うわけです。前向きになってもらうにはリーダーや目標への信頼が不可欠になります。どうすればメンバーたちは目標を信頼し不信感を取り払ってくれるでしょう?唯一にして最高の方法はFAVIのゾブリスト氏のように交流することです。現場に出て社員と会話し姿を見せて交流しひたすら耳を傾ける。そして信念を語って反応を見る。すると、やがて信頼が生まれます。より大きな組織では全社会議もいいでしょう。台本はなくどんな質問も受け付ける。誰もが参加できるビデオ会議だっていいと思います。リーダーが信頼を得るためのひとつの方法は構えずに接することです。弱さを晒し自分を偽らず何でも話に来てもらい、それをきちんと受け止める。そうした双方向のやり取りをすることが信頼形成には決定的に重要です。

もうひとつの利点は、こうして交流をするほどリーダーが従来の仕事に使う時間が減る点です。会議や意思決定にかける時間が減る。つまり交流の時間を作っていくために意思決定を人に任せてやることを減らす。そういう権限の分散は変革の旅を始めてから役立つことでしょう。

■翻訳メモの全体の目次
https://note.mu/enflow/n/n51b86f9d3e39?magazine_key=m3eeb37d63ed1

最後まで読んでいただいて、どうもありがとうございました。