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ショッキングピンクの春は白かった。春を思った季節は春じゃなかった。死春季。

 君は永く濃い季節だった。まだ君の気温のなかに、気候の中に居るような気もするほどに 永かった。でも、終わってしまった。  恋の痛々しく敏感な感度に似たあの恋愛映画はずっと大好きなまま、君の季節だけが終わっていた。永い永い季節の感触は暖色のショッキングピンク。品のない片想い。品のない色はわたしの心臓の中核を占領し続けた、乙女の色。

 季節とは終わって初めて気が付く煌めき。それは、目が痛く焦がれるほどに刺激的な煌めきだった。ずっと追い求めても手に入らない、自分色にできないとわかっているから固執する恋の色。 ぎらぎらな春は存在しない季節。何もないまっさらな春。思春期。わたしのショッキングな白い春。

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