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「コイノニアが才能を見つけてくれたの」

コイノニア1日目。なぜケニアのナイロビにあるコイノニアにいるかは過去のポストをご覧ください。


コイノニアの授業

コイノニアの授業はかなりの少人数。ひと学年多くても11人で、少ないと3人の学年もあります。コイノニアは数年後に移転を考えており、現在その工事の真っ最中。寄宿制の学校になる予定なので、小さすぎる子は現在受け入れられないし、ナイロビの子達も新規で積極的に受け入れていないのが理由です。少人数だけあって、子どもたち同士はとても仲がいいし、授業も自然と体験型が多くなります。スワヒリ語の授業では例文を自分で作り即興で演じたり、ダンスの授業では学年を混ぜながら発表に向けて練習したり、サッカーをやりに廃校に行ったりと子どもたちが学びを楽しめるような工夫がされています。スラムの子どもたちは、最初は勉強することの意味も知らなかったかもしれません。しかし、コイノニアの先生方が毎日のようにその意味を伝え、今では子どもたちは楽しんで、積極的に授業を受けています。


"It is the child who is so dull, stupid, hungry that I must work for."

コイノニアの職員会議室にはこんな言葉があります。

「誰も見捨てない」ということだけではなく、どのような子どもたちを見つめ、手を差し伸べるべきか書かれています。日本でも「可愛らしい子ども」は愛されるのも上手です。成績がいい子、素直な子、何かに秀でたものを持っている子は、大人も関わりやすいし、褒めやすい。しかし、本当に目を向け、愛さなければいけない子は、成績は良くないし、反抗的で、特別なものを持っていない「可愛げがない」子です。その子たちはほとんどの大人に見向きもされず、愛をもらってないから、愛され方も知りません。結果、可愛げがない態度や行為をとってしまいます。コイノニアでは、どんな子でも見捨てず、指導をし、最後まで面倒を見るという先生方の思いや愛が子どもたちに伝わっています。


コイノニアでの一日

朝は6時半にバスに乗るところから始まります。皆スラムから来るのですが、各家庭で朝御飯を食べ、もしくは5シル(日本円で五円程)で、揚げパンを買って食べながらバス乗り場に歩いてきます。中には遅刻しそうになり走ってくる子もいますが、どの子も学校で学ぶことを望んでいて、朝から楽しそうにしています。

途中で子どもたちのpick upを続けながら1時間ほど走るとコイノニアに到着します。時間割は8:20〜16:30までたっぷりありますが、1コマ40分ですし、休み時間が30分、ランチタイムが60分なので、集中は切れない工夫がされています。午前中は座学、午後は身体を使った活動が多いのも特徴でしょう。ダンスで講師を招いたり、サッカーをやりに近くのグラウンドまでバスで行くこともあります。

30分の休み時間にはチャイ、ランチには給食、そして授業後にはスナックタイムがあり、お腹をすかせた子どもたちのために、食事面を充実させていることもわかります。可愛いのは、牛肉入りのピラフが出た時に、ほとんどの子が牛肉を最後まで残しておいて、最後に美味しそうに食べていたことです。普段は好きなものを残していたら兄弟に取られてしまい出来ないかもしれませんが、コイノニアでは誰にも取られる心配のない安心がありますから、好きなものを最後に嬉しそうに食べることもできるわけです。


「コイノニアが才能を見つけてくれたの」

授業が全て終わると、またバスに乗り帰ります。この日の帰りのバスで隣になったのは、シルビアという女の子。彼女は14歳で、シャイな子です。

「学校は好き?」と僕が尋ねると、「好き」と応えてくれます。理由を聞くと「コイノニアは勉強だけではなく、体育やダンス、そして劇など色々なことを学べるから」と言います。「それに、コイノニアが私の才能を見つけてくれたの」と続けます。どんな才能があるか尋ねると「ダンスだよ」と教えてくれました。数学で活躍出来なくても、英語で活躍できればいい。座学で活躍できなくても、スポーツで活躍できればいい。そうやって色々な可能性を引き出すことで、彼女も自信がついているようです。

「自分の住んでいるところは好き?」と尋ねると、「スラムだから好きではない」と応えてくれました。比較対象がないとはいえ、彼女もスラムに住むことに関して、好意的ではなく、できればそこを出ていきたいと考えていました。

最後に夢を尋ねると「医者になりたい」とはっきりと話してくれました。誰かのために生きることの大切さを彼女はすでに知っています。自分のために生きなければ、死んでしまうような思いもしていたかもしれません。しかし彼女は教育によって自分自身に余裕や自信を持つことができ、もう夢に向かって生きているのです。

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