−白茶− やっぱりパーカーが好き
ぼくが好きな服装は、圧倒的一位でパーカー。
フードをかぶって、萌え袖にした手をさらにポケットに突っ込んだら、
パーカーに守られてぼくだけの世界に入り込める感じがとても安心する。
あたかも、敵が襲ってきたら甲羅の中に隠れられる亀みたいなものだ。
それに、パーカー+ジーパンにすれば、良い意味で没個性的で中性的で、
匿名性を帯びた「市民A」になって、自分という社会的役割から少し逃れられる気がする。
仮に結婚式を挙げるとしたらドレスコードは白のパーカーにしたいくらい、
とにかくパーカーへの信頼は厚い。
ここ最近涼しくなってきたから、今シーズン初パーカーを着た。
夜のお散歩、フードを被るとさすがに怪しいので我慢して、萌え袖inポケット。
(こけると危ないので良い子は真似しないでね)
萌え袖inポケットしていると、不安を抱えて身を縮こめていた時のことを思い出した。
学生時代、大学の保健センターに通っていて、すがるように保健センターまで歩いていた時のこと。
診察の時、苦しさと怖さと悔しさと安心とがないまぜになって、
ポケットの中で、爪の跡ができるくらい手を握りしめながら、
心の奥底に隠してきた自分の気持ちをポツポツと話したこと。
図書館の自習スペースで、フードを被って周りの世界を遮断して
無の心で修論を書いたこと。
いつもパーカーはぼくを守ってくれた。
ぼくだけの世界を作ってくれた。
袖の涙と、たくさんの思い出とがぼくのパーカーには詰まっている。
「明るい色のニットが好きです」なんて言えたらいいのかもしれない。
でもぼくはやっぱりパーカーが好きだ。
【白茶】しらちゃ
薄くて明るい茶色。
パーカーの色は特にベージュが好き。
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