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「ちょっと?ややこしいATのプラネタリーギヤセット」の話。

MTの簡単な説明のようなことをしたので、AT(オートマチック・トランスミッション)の方もゆるい感じでしてみたいと思います。今はいろいろな精密な方式がありますが、昔ながらのATはプラネタリーギヤセットの組み合わせで変速します。あらかじめ1速、2速、3速、4速…というように用意されたギヤセットがあるMTとは大分違います。

オーソドックスなATはどこかのギヤやギヤキャリアを止めたり回したりすることで変速する機構

「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治著/日刊工業新聞社)」より

プラネタリーギヤセットは、中心にあるサンギヤ(太陽ですね)、その周囲にあって噛み合うプラネタリーピニオンギヤ(惑星です。以後ピニオンギヤに略します)、それのさらに外側にあって、内歯でピニオンギヤと噛み合うリングギヤという構成が基本です。あとピニオンギヤはプラネタリーキャリアによって支えられています(図1構造参照)

例えばプラネタリーキャリアを固定して、サンギヤを右に回すとピニオンギヤが左回転をして、その外側のリングギヤ減速しながら左回転するので逆向きの出力になります。つまりバックするということです。また、サンギヤを固定してプラネタリーキャリアを右に回すと、今度はピニオンギヤが回転した分が足されてリングギアが増速して右回りします。シフトアップに相当します。(図2作動参照)

図にはありませんが、シフトダウンする場合には、サンギヤを固定してリングギヤを右に回すと、ピニオンギヤの回転の分だけプラネタリーキャリアから減速して出力されます。サンギヤとプラネタリーキャリアを同じスピードで回せば、ピニオンギヤは動かず、リングギヤから同速で出力されます。いわゆる直結状態です。

そういえばトルコンの説明もまだしていなかったので、別の機会に

パターンはこれだけではないですが、なんとなく3速ATのイメージとしてはこんな感じです。大変頭のいい人が考えた機構だと思います。本格的なATは、当時GM傘下の1940年型オールズモビルに採用したのが最初のようです(ハイドラマチック)。このときすでに4速だったようです。そういえば、昔、オールズモビルを「古びた中古車」と訳した本を見てびっくりしたことがあります。全然関係ありませんが…。

もちろん、プラネタリーギヤセットによるシフトチェンジを実現するためには、ATの中にシフトチェンジ用のギヤを止めるためのブレーキや、回転を断続させるためのクラッチ、ワンウェイクラッチなどを設け、それらを適宜作動させることが必要です。下に図だけ置いておきます。あとトルクコンバーターの説明も必要ですね。それらの説明は次の機会があればまた…。

「きちんと知りたい!自動車メンテとチューニングの実用知識(飯嶋洋治著/日刊工業新聞社)」より


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